倫理網領

公益社団法人日本心理学会会員倫理綱領及び行動規範

<前文>
 公益社団法人日本心理学会会員は,すべての人間の基本的人権を認め,これを侵さず,人間の自由と幸福追求の営みを尊重し,また,人間以外の動物についても,その福祉と保護に留意し,心理学の専門的職業人としての自らの行為に対する責任を持たなければならない。もし,心理学の専門職としての行為やその結果が倫理的判断を必要とする場合は,本"倫理綱領及び行動規範" 及び別に定める"倫理規程"注1の定めるところに従うこととし,以上の主旨に基づき以下の条項を定める。
1. 責任の自覚と自己研鑽
 本学会の会員は,専門的職業人として,自ら心理学の研究・教育・実践活動が個人や社会に対して影響を及ぼしうることを自覚しなければならない。また,その活動は人間の幸福と福祉の向上をめざすものでなければならない。そのような社会貢献を行うため,本学会会員は常に品位の醸成と自己研鑽につとめ,資質と知識及び技能の向上を図らねばならない。そのためには,最新の専門的知識と技能の獲得,さまざまな関連情報の入手,倫理思想や国内外の関係法令の学習,さらに積極的に後進への教育,一般社会への啓発などに努力すべきものとする。
2. 法令の遵守と権利・福祉の尊重
 本学会の会員は,一市民として各種法令を遵守するにとどまらず,専門的職業人として所属する機関・団体等の諸規定に従い,研究及び実践活動の協力者注2の属する集団の規範や習慣・文化・価値観も尊重すべきである。また,個人の尊厳や動物の福祉を軽視してはならない。共同で研究・教育・実践活動を行う同僚や学生,活動に関係する他者に対して不当に権利や利益を侵害しないように配慮しなければならない。また,同僚・学生・関係者の人権や福祉に配慮すべきである。とくに,動物を用いた研究・教育・実践活動に関しては,関係する各種法令に従い,適切な飼養・保管につとめ,虐待防止と動物福祉の向上を心がけるべきである。また,野生動物を対象とするときは,自然保護に留意し,地域住民や生態系への影響を考慮しなければならない。
3. 説明と同意
 本学会の会員は,心理学にかかわる活動を行うとき,協力者に対してその活動について十分な説明を行い,原則として文書注3で同意を得なければならない。協力者から研究内容について十分な理解と了解(インフォームド・コンセント)が得ることが困難な場合には,協力者の代理人(近親者等)の判断と同意を得なければならない。また,協力者は,活動の途中であっても,協力(参加)の中断あるいは放棄が自由に可能であることを事前に説明しなければならない。
4. 守秘義務
 本学会の会員は,同意なく個人のプライバシーを侵す研究・教育・実践活動は行ってはならない。また,協力者等に心理的・身体的危害を加えてはならない。協力者等に対して権威的立場にある場合,それを私的利益のために用いてはならない。
 また,研究・教育・実践活動から得られた情報については,他者に漏らさないよう厳重に保管・管理しなければならないと同時に,原則として目的以外に使用してはならない。
5. 公表に伴う責任
 本学会会員は,研究・教育・実践活動で得られた情報の公表に際して,あらかじめ協力者等の同意を得なければならないと同時に,了解なしに協力者が特定されることがないよう配慮しなければならない。また共同研究の場合には,公表に際して,共同研究者の同意を得るとともに,その権利と責任に十分配慮しなければならない。
注1: 公益社団法人日本心理学会倫理規程(平成21年8月26日に施行された社団法人日本心理学会倫理規程を,平成23年4月1日の公益法人化に伴い,公益社団法人日本心理学会倫理規程と改正した。)
注2: participant(参加者,関係者あるいは協力者)のことで,従来はsubject(被験者)と称していたが,前文の主旨に従って,ここでは「協力者」と呼ぶことにする。
注3: 質問紙法による集団調査法,郵送法などによる研究,事前に研究内容を具体的に説明することで研究自体が成立しない研究などの場合も想定して,原則として文書による同意を得るよう工夫・努力することを求めて,ここではこのようにする。なお,事前に説明できない場合は,事後の説明を行い,了承を得るものとする。
附則
1 本倫理綱領及び行動規範は,平成23年4月1日より施行する。
2 本倫理綱領及び行動規範の改正は,平成24年12月7日より施行する。