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シンポジウム:心理学と対テロ戦争と「国家安全保障の尋問」

 心理学と対テロ戦争と「国家安全保障の尋問」をテーマとして,下記のシンポジウムが開催されます.戦争と心理学の関係や心理学の倫理に関心をおもちの方のご参加をお待ちしております.

シンポジウム 心理学と対テロ戦争と「国家安全保障の尋問」

話題提供:
五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「理論心理学・批判心理学からみた『国家安全保障の尋問』」
指定討論1:
杉田 明宏(大東文化大学)「平和教育の立場からみたAPA拷問問題」(仮題)
指定討論2:
いとう たけひこ(和光大学)「平和心理学の立場からみたAPA拷問問題」(仮題)
会場:
和光大学A棟4階,第2会議室(https://www.wako.ac.jp/access/campus.html
開催日時:
3月5日(土),午後4時~午後6時
参加費:
無料
主催:
日本心理学会 批判心理学研究会
共催:
心理科学研究会 平和心理学部会,平和のための心理学者懇談会
問い合せ:
五十嵐 靖博 yigarashi[at]yamano.ac.jp(@マークに変換)

企画趣旨
 9.11同時多発テロの後,対テロ戦争においてCIAに雇用された軍事心理学者が「強化尋問技法」を開発しアルカイダ幹部らに自ら過酷尋問を行ったことや,国防総省の心理学者がアブグレイブ(イラク)やガンタナモ(キューバ)の収容所で「行動科学コンサルテーションチーム(BSCT)」の主要な要員として過酷尋問に関与したことが報道によって明らかになった2004年以来,「心理学的拷問」は大きな論争を巻き起こしてきた.
 APAは会長直属のPENSタスクフォースを設置し,2005年に心理学者が倫理に適った仕方で「国家安全保障に係る尋問」に寄与できるとして倫理政策を変更した.一方,アメリカ精神医学会やアメリカ医学会,イギリス心理学会などは尋問への関与を禁止したため,人権NGOやジャーナリストや拷問に反対する人々がAPAに拷問の禁止を求める活動を始めた.2014年にアメリカ上院インテリジェンス委員会はCIAの拘禁作戦において空軍SEREプログラム出身の軍事心理学者が行った過酷尋問を詳細に報告し,内外で大きな反響を呼んだ.マスコミ報道によって強化尋問技法が「学習性絶望感」をモデルとしていることや複数の元APA会長の過酷尋問への関与,国防総省やCIAやホワイトハウスの職員とAPA幹部の協働関係が明らかになり,1892年の設立以来,APAは社会的信頼や倫理的正当性をめぐって,かつて経験したことのない危機に直面した.
 昨年7月にAPAが弁護士に委嘱した独立調査委員会が報告書を発表し,APA幹部職員らと軍事・情報セクターの密接な関係を指摘した.このホフマン報告の後にAPAの運営を長年,担ってきた同学会の最高執行責任者と副執行責任者,倫理部局責任者,広報部局責任者の辞職や引退が発表された.APA代議員会は「国家安全保障に係る尋問」に会員が関与することを禁止する決議を行い,倫理政策を変更した.昨年10月にAPAは合衆国大統領や国防長官,司法長官,CIA長官,FBIの重要拘禁者尋問チーム長などに書簡を送り,この立場を明確に表した.
 戦争などの「学問外部の要因」は心理学のあり方に大きな影響を与えてきた.国家安全保障に関する尋問を例として,心理学のメタ学問である理論心理学と,現行の心理学がかかえる問題を解決して研究を促進し,幸福に寄与する心理学を目指す批判心理学の立場からこの問題を討議する.

参照ウェブサイト:
  1. ホフマン報告とAPAのプレスリリースのアーカイブ
    Report of the Independent Reviewer and Related Materials
    http://www.apa.org/independent-review/
  2. 心理学的拷問に反対する活動を行ってきた「Coalition for an Ethical Psychology」のウェブサイト
    http://ethicalpsychology.org/index.php