理事長挨拶

理事長挨拶

横田 正夫 理事長 横田 正夫

公益社団法人日本心理学会では、主な活動として学術研究大会の開催、3つの機関誌、「心理学研究」”Japanese Psychological Research”および「心理学ワールド」の刊行を行ってきています。また、社会に向けた発信として、現代的でホットなテーマを扱った公開シンポジウムを全国で開催しており、さらには高校生向けに、心理学の魅力を知ってもらう試みとして「高校生のための心理学講座」を開催してきております。その他にも、研究会制度を設け研究会活動を支援し、公開シンポジウムの内容を一般に伝えるための心理学叢書の刊行、ならびに認定心理士資格に準拠した教科書の刊行なども行ってきました。国際交流も広く行ってきています。例えば、日中韓3か国の間での相互にシンポジウムを開催する活動もその一環であり、特定のテーマで毎年いずれかの国でシンポジウムが企画され、そこへ参加してきています。他にも、中国、韓国、オーストラリアなどの国々と交流協定を結び、交流を密に進めてきています。このように日本心理学会は心理学全般にわたる活動を行ってきています。

もともと日本心理学会は1927年に創立された歴史ある学会で、基礎から応用まで幅広い研究者が集う総合学会という特徴があります。現在の会員数は8,000名ほどであり、さらには日本心理学会の認定する認定心理士の取得者数は50,000名を超えています。認定心理士は毎年3,000名ほどの有資格者が出ており、こうした認定心理士への新たなサービスを提供するために「認定心理士の会」が2016年に立ち上がり、シンポジウムや講演会などの企画を全国で展開し始めました。その組織化の一つとして、地方部会としてシンポジウム等の開催が企画され、全国的に認定心理士への働きかけが展開されようとしています。認定心理士と会員が、地方部会で、共同して活動できるような場を提供したいと考えています。

国家資格の公認心理師は、心理学界に大きな影響を与えることと思います。心理学領域ばかりではなく周辺領域でも強い関心を持たれていることでしょう。公認心理師では、心理学の専門性を生かしながら医療領域などの多職種との連携が求められてくるでしょう。心理学の枠にとらわれず他領域の専門家との交流が必要となり、心理学を学びながら広い視野に立って全体を見渡せるような役割が求められてくることもあるでしょう。また、公認心理師を育てる大学では、広く臨床分野で働く人を育てる教育をしていくことになります。これまで長年にわたり心理学の国家資格がないために、医療領域を始めとした多くの領域で、関係者の方が多くの苦労を強いられてきました。公認心理師という国家資格ができたことで、心理職の方の働く場が広がることは喜ばしいことです。公認心理師の資格が臨床を中心にしたものであったとしても、心理学の基礎的な知識や技術の習得は必須のものとなります。心理学の基礎的な知識や技術の習得のモデルを提供しているのが認定心理士です。そうした学習モデルのひとつとして、認定心理士の認定基準が参照されるようになると、公認心理師と認定心理士とでうまく棲み分けができるようになると思います。心理学の専門が広く分化している中、基礎から応用まで広い分野にわたる研究者が集う日本心理学会の総合学会としての役割は大きいといえましょう。

このように日本心理学会は、多様な活動を行い、日本の心理学の教育と研究を支え、社会に向かって情報を発信し、また社会との接点を広く求めてきています。まだまだ不十分なところも多いとは思いますが、会員ならびに認定心理士の皆様および社会の一般の皆様からのご意見をいただきながら、日本の心理学を盛り立てて行きたいと考えております。