行事案内
【Web開催】(公社)日本心理学会 奥羽ネガティブ心理学研究会「第5回 公開研究集会」
公益社団法人日本心理学会 奥羽ネガティブ心理学研究会では,研究の視野を広げることを目的として,人々のネガティブな心理に関心のある東北地方の心理学研究者が中心となって,研究集会や読書会を開催しています。このたび,公開研究集会をオンラインで行うこととなりましたので,下記の通りお知らせいたします。多くの皆様のご来場をお待ちしております。
- 開催日時:
- 2021年3月27日(土)13:00―16:00(自由に入退室可能)
- 開催方法:
- Zoomによるオンライン開催
- 申込方法:
- 参加希望の方は,申込用URL(https://zoom.us/meeting/register/tJIrc-2srz0vGN32Seg22GC81-btJ_yfwa44)から参加登録をお願いいたします。登録後,参加用URLとパスコードをブラウザ画面および確認メールにてお知らせいたします。
注1)最新バージョンのZoomにアップデートしてからの参加をお願いいたします。
注2)一部のメールソフトでは目的とするURLへのリダイレクトが正常に動作しない場合がありますので,参加登録後に画面表示される参加用URLを保存しておくことをおすすめいたします。
概 要
食の心理学研究の意義と実例:分析的評価と過剰な選択肢によるネガティブな効果
我々人間にとって「食べること」は単なる栄養摂取の手段ではなく,生きることの喜びと密接に結びついた重要な営みである。ところが,心理学において食に関する研究がなされることはこれまで,そして現代においてもあまり多くはなく,その意義が明らかでない可能性がある。そこで本発表では,食の領域において心理学が果たす役割とその意義について,国内外の研究知見を紹介しながら論じていく。また,発表者自身の食の心理学研究のうち,1) 食品を分析的に味わい評価する姿勢や2) 豊富すぎる食品の選択肢の存在が,意外にもネガティブに作用することがあることを示した研究について紹介させていただく。
アスリートの攻撃性は,パフォーマンス発揮に貢献するのか?
発表者は,アスリートの心理サポートに従事する中で,彼らの攻撃性は,ネガティブに作用するだけでなく,パフォーマンス発揮のエネルギーとしてポジティブにも作用し得るという感覚を持っている。スポーツ場面は非日常を有し,スポーツ場面だからこそ許される攻撃行動が存在し(例えば,ラグビーのタックル),彼らの攻撃性が発露しやすいと受け止められる。元来,攻撃性はネガティブなパーソナリティ要因として位置付けられてきた。一方で,心理臨床領域においては,「人間が生きる基盤となるエネルギーとは何か」という問いを出発点として扱われている。このように,攻撃性は二義性が認められ,スポーツ場面の攻撃行動は,諸刃の刃として作用し得る。競技場面でのパフォーマンス向上を望むならば,攻撃行動を抑制するのではなく,競技の推進力としてうまく変換していくことが,より建設的で有用である。本セッションでは,アスリートの攻撃性をパフォーマンス発揮に変換する要因などを中心に発表させて頂く。フロアの先生方とのディスカッションを通して,攻撃性の可能性を深められるような場になれば幸いである。
パチンコ店の「ヌシ」に関する言説
本発表は,パチンコ店にかつて当たり前に存在していたという「ヌシ」に関するものである。ヌシというのは簡単に言えば,客のなかでもリーダー格の人物のことを指す。これにはいくつか種類があるが,本発表で特に焦点を当てたいのはパチプロとしてのヌシである。なぜなら,パチプロというのは店の収益を減らす存在であり,本来は歓迎されるべき客ではないからである。それにもかかわらず,彼らは同じ店に毎日通い堂々と店内で幅をきかせる目立つ存在であったという。本発表は,こうした当時のヌシたちの様子について元パチプロ,および当時の店員らの証言から明らかにし,なぜ/どのように彼らが存在していたのかを考察する。
<お問い合わせ>上原 俊介(鈴鹿医療科学大学)(uehara[at]suzuka-u.ac.jp)