公開シンポジウム・ICP2016/日本心理学会第80回大会公開講座

第31回国際心理学会議/日本心理学会第80回大会(2016年7月24日―29日;パシフィコ横浜)で行なわれる公開講座です。すべて日本語で行われます。

■ 公開講演

会場:パシフィコ横浜 会議センター1階 メインホール

■アニメーションにおける運動はどう創造されるのか

2016年7月24日(日) 13:30-14:30
山村 浩二(ヤマムラアニメーション・東京藝術大学)

概要:
私は主に紙の上に手書きで短編アニメーションを描いてきた。平面映像の時空間に自由の幅を感じている。そこで創造される運動は,現実空間の運動とは異質のものである。単なる現実の模写だけではなく,心象の動きを反映したり,平面の特性に影響されたものだ。
自作のアニメーション制作の経緯と思考,特に『頭山』と『カフカ 田舎医者』を中心に解説しながら,実際の動画や原画のイメージを分析することで,アニメーション独自の運動の成立を検証する。

■「見るなの禁止」について:恥の文化における深層心理学

2016年7月25日(月) 17:20-18:20
北山 修(白鴎大学)

概要:
「見るなの禁止」の物語は,動物が正体を隠して嫁に来るが,その傷ついた正体が露呈して去るという形式が基本である。夫は約束しながらその禁止を破り,異類の妻の傷つき,あるいは正体を暴いてしまい,二人は別れることになる。その結末は,恥じる主人公たちの別れ話が日本では定番であり,我が国のような恥の文化では「見るなの禁止」には生き方の美学が伴う。実際に臨床でも,傷つきや醜さは恥の不安の中で隠され,なかなか取り扱いにくい。
このような状況でも,フロイト派の精神分析の劇的視点は有効であり,それは単なる劇的な比喩の使用をこえるだろう。つまり,現代精神分析はこういう「人生劇場」における演劇の「無意識の台本」を読むようにすすめるのだが,「出演しながらの観察」を行って,「反復する筋書きを読み取り,人生物語の紡ぎ出し」により,悲劇的な人生を語り直す機会を提供するだろう。

■日本の教室における多様な学びと心理学の役割~その歴史,現在,そして今後~

2016年7月26日(火) 17:20-18:20
柘植 雅義(筑波大学)

概要:
21世紀の初頭,日本は,それまでの障害のある子どもの教育を根本的に見直し,新たな特別支援教育へと歴史的なパラダイムチェンジを図った。これにより,学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD),そして高機能自閉症やアスペルガー症候群(ASD)が,新たに法律や制度に明確に位置付けられた。そして,特に2005年から2015年の10年ほどにおいて,そのような発達障害に関する学術研究や教育実践が急増した。そこで,この講演では,日本における学習障害(LD)をはじめとする発達障害の心理学的な理解と対応について,明治期以降の歴史的変遷,現状の把握,そして将来の展望の視点から論じる。そして,その際には特に,現代の日本における教室の中の多様な学びの様相について,及び,その様相の解明に対する心理学の役割と貢献の可能性について,論じる。

■児童虐待からの再生――児童虐待は脳の成熟にどのように影響を与えるか――

2016年7月27日(水) 17:20-18:20
内田 伸子(十文字学園女子大学)

概要:
1972年10月に,日本の農村で育児放棄された二人のきょうだいが姉6歳・弟5歳で救出された。二人は体重は8,000g・身長80センチ,歩行はできず発語なし,発達年齢は生後10か月程度と推定される状態で救出された。二人は児相から乳児院に収容され補償教育が始まった。「養育モデル」に基づく補償教育により,二人は完全な社会復帰を果たし,現在は幸せな生活を送っている。二人の補償教育に携わったお茶の水女子大学のプロジェクト・チームの20年以上に及ぶ縦断的追跡研究の成果を報告する。かれらの回復の鍵は保育者との「愛着」の絆であり,その後,母親との「愛着の結びなおし」であった。また青年期に著しい成長を遂げさせたものは脳の成熟にあると推測している。思春期以降の成長発達の姿から,臨界期を過ぎての言語発達や情報処理過程についての仮説, 脳の成熟と虐待時期・種類の関係などの最新の脳科学の知見を加えて,人間発達の可塑性の不思議について考察する。

■コミュニケーションの質は脳活動の同期で推測できる

2016年7月28日(木) 17:20-18:20
川島 隆太(東北大学加齢医学研究所)

概要:
コミュニケーション場面で,我々は多くの脳の領域の活動を必要とします。相手の気持ちを推察し行動することは,ヒトにしかできない高度なコミュニケーションですが,脳機能イメージング研究により,前頭前野の内側面(背内側前頭前野)が大切な役割をはたしていることがわかっています。この領域は,うつ病や自閉症の患者では,全般的に機能が低下しているという報告もあります。私たちは,生活場面で簡便に大脳の機能を計測することができる装置を産学連携研究で開発し,さまざまなコミュニケーション場面で,背内側前頭前野の活動を計測しました。そして,コミュニケーションが円滑にとれている時に,お互いの背内側前頭前野の活動が同期する現象を見つけました。コミュニケーションの「質」を,計測により数値化することが可能になったのです。誰もが,より良いコミュニケーションをするための工夫の仕方が科学的にわかってくるかもしれません。

■犯罪捜査への心理学の応用:その歴史,現状,将来

2016年7月28日(木)18:40-19:40
越智 啓太(法政大学)

概要:
捜査心理学とは,心理学の知識を犯罪捜査に応用して捜査を支援する学問である。日本の捜査心理学はおもに,警察庁の科学警察研究所や警視庁はじめ道府県警の科学捜査研究所を中心に発展してきた。最近まで研究や実務の中心はポリグラフ検査であったが,最近に至って,プロファイリングや取調べ手法,目撃証言の聴取手法などさまざまな応用分野についての研究や実践が行われるようになってきており,急速に発展している。また,捜査心理学は,いままではもっぱら警察機関などの訴追側の武器であったが,近年では,弁護側においてもその利用が試みられるようになってきている。本講演では,日本における,犯罪捜査への心理学の導入から現在まで,その歴史を振り返るとともに,今後,研究されるべき新たなテーマについて取り上げ,その可能性,法的問題点なども含めて,この分野の将来の展望について紹介してみたいと思う。
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