心理学 Q & A

心理学ふしぎふしぎ

Q32.駄洒落はどのように作るのでしょうか?

駄洒落やジョークを言って,明るく,楽しく過ごしたいのですが,心理学からのアドバイスがありますか?

A.大村彰道

まじめ心から遊び心に瞬時に切り替える(telic mode からparatelic modeへ反転させる)のが,駄洒落やジョーク,ユーモアの働きです。
・一番簡単なのは,同音異義語や音の類似性を利用して,聞き手の予想を裏切ります。古典的な例は,「向かいの空き地に囲いができたね」「へーー」。少し練習して連想構造を活性化させると誰にでもできるものです。オヤジギャグなどと嫌がられるのも,この種類です。
・みんなの知っている表現を少しだけずらして,聞き手の予想をくすぐることも比較的簡単です。「古いから 買わず とびだす 鮮魚店」とか,「秋深き 隣は パソコン打つ人ぞ」。
・理解への認知的負荷を聞き手に高めておき,それを一気に解消させて,おかしさを感じさせる方法も多くのジョークで使われています。「~とかけて~と解く。その心は~」という「謎かけ」は,この典型例です。「熟年離婚とかけて ホッチキスと解く。その心は トメたほうがよいでしょう」。これは意味の不整合(不適合)解消によるジョークです。
・音のリズムの心地よさを利用して,意味的不整合を高めていくこともできます。有名な例として「おどろ木 桃の木 山椒の木」とか「結構毛だらけ 猫灰だらけ」。意味的不整合を増大させっぱなしにするおかしさです。
・一般的にいえることですが,性的な,あるいは攻撃的な内容のジョークやユーモアは作りやすいものです。しかし,あまり品のよいものではありません。多用するとセクハラやパワーハラスメントになります。ジョークハラスメントなどという言葉が出ないようにしたいですね。
・自分への攻撃性は,好意的に受け取られることが多いようです。たとえば,2人の女性の会話:「あなた,もっとお化粧をきれいにしなさいよ。顔の土台はよいんだから」「ドダイ無理よ」。
  冒頭にもいいましたが,まじめ心でいても,それを一気に遊び心に変え,またすぐにまじめ心に反転させる柔軟性を鍛えることが大切です。また意味記憶内の連想構造を豊かにし,突飛な語へ連想を飛ばす習慣をつけることです。創造的思考やアナロジー思考にも関連しています。 高齢になるとユーモアの理解や産出が低下するという研究があります。頭の働きを活性化させて,自分も周りも楽しく生活したいものです。

ユーモア研究は,認知,感情,意欲を統合的に研究する将来性のある領域だと思います。

文献

Martin, R.A.(2007). The psychology of humor: An integrative approach. Oxford: Elsevier.

おおむら あきみち
東京大学名誉教授。
専門は,教育心理学,認知心理学。
主な著書は,『教育心理学Ⅰ』(編著,東京大学出版会),『教育心理学研究の技法』(編著,福村出版),『文章理解の心理学』(監修,北大路書房)など。

心理学ワールド第44号掲載
(2009年1月15日刊行)