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表彰
国際賞 功労賞受賞者―安藤 清志(元東洋大学教授)
安藤 清志
元東洋大学教授
評価理由
安藤 清志氏は,社会心理学を専門分野とされ,対人関係の中の自己表現・説得の過程・喪失の心理等のトピックを中心とした研究に精力的に取り組んでこられた。さらに,その深い知識と幅広い人脈を生かして,日本の心理学界の国際化を力強く推進された。日本心理学会に関連する顕著な国際的貢献としては,International Congress of Psychology (ICP) 2016 Yokohama の運営に常務理事として貢献されたこと,また国際委員会の活動として「留学生ネットワーク」を設立し,その発展のために尽くしたことが挙げられる。さらに,東洋大学21 世紀ヒューマン・インタラクション・リサーチ・センター(HIRC21)を設立し,韓国の2 大学と協定を締結するなど,海外との研究交流に熱意を注がれた。加えて,社会行動研究会を主宰し,活動の一環としてチャルディーニ氏の名著「影響力の武器─なぜ,人は動かされるのか─」(原題:Influence: Science and Practice)を翻訳して出版した。これにより,海外の優れた研究成果を国内の研究者に知らしめるのみならず,一般にも広く認知されるに至った。こうした多方面にわたる功績は,国際賞功労賞の授与にまさに相応しいものである。
受賞者のコメント
2016年7月に横浜で開催された第31回国際心理学会議は、内外から約8,000名が参加して盛会裡に終了しました。この大会に組織委員会の一員として、また日心の常務理事と関わらせていただきましたが、アジア各国から多くの参加者があり、より緊密にアジアの心理学関係者との交流に力を入れるべきことを痛感しました。そこで、終了後、一つの試みとして「留学生ネットワーク」の設立を提案し、日本心理学会国際委員会の中に設置されたワーキンググループが中心となって活動を始めました。2018年の日心大会で旗揚げシンポジウムを開催、その後も継続してシンポジウムとして開催しています。現在では、このネットワークを基盤にして母国語で勉強会を行うグループが構成されるなど、次第に活動の幅が広がってきています。今後も、「留学生から見た心理学ワールド」に注目して、交流を進めていくことが可能かと思います。これとは別に、2003年に東洋大学社会学研究科に設置された研究センター(HIRC21)の活動を通じて、韓国の研究者との交流を進めることができました。以上の活動は、いずれも多くの関係者との協力の成果であり、皆様に心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、今後は(一社)社会行動研究会の活動を通じて、アジアの研究者との交流に微力を尽くす所存です。