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連載最長不倒記録を楽しむ─心理学史というマイナー領域の情報を発信し続けて20年

サトウ タツヤ
初代編集委員会委員/心理学史に関する連載執筆 立命館大学総合心理学部 教授/学部長

サトウ タツヤ(サトウ タツヤ)

Profile─サトウ タツヤ
東京都立大学卒。博士(文学 東北大学)。福島大学等を経て立命館大学へ。著書に『日本における心理学の受容と展開』(単著,北大路書房),『カタログTEA』(監修,新曜社)など。

1997年,東京大学で隆夫サンと出会う

偶然か必然か分からないことが世の中には多々あるが,私にとって佐藤隆夫サン(現在,人間環境大学総合心理学部長)との出会いはまさにそれである。

1997年,当時福島大学助教授だった私にサバティカルのチャンスが巡ってきた。普通なら海外に行くところであるが,日本の心理学史研究をテーマにしていた私は「一番古い大学」に滞在することが必要と考え,高野陽太郎サンを頼って,東京大学に内地留学をすることにした。赤羽にアパートを借りて居を移して生活した。その時に知覚心理学の佐藤隆夫サンに出会った。実は隆夫サンのことはなんとなく知っていて,アエラムック『心理学がわかる。』(1994年)の知覚心理学者に推薦したのは私である。おもしろい知覚心理学者がいる,という情報は分野の違う私の耳にも入っていた。そして実際に会ってみたら意外にも?波長が合い,つかず離れずの関係が続いて,今に至る。

『心理学ワールド』創刊の現場に立ち会う

その隆夫サンが当時の日本心理学会常務理事だった牧野順四郎サンの特命を受けて『心理学ワールド』の編集委員を集めていた。そして私を誘ってくれたのである。編集委員会では新しい雑誌をどのように創ろうかといういろいろな議論をしていた。いろいろなアイディアがあるなか,隆夫サンが「雑誌ってのは連載があるもんだ! 心理学史の連載をやれ!」みたいなことを言い出した。隆夫サンの記憶はどうなのか聞いてみたいが,私の記憶はこんな感じである。

それがすべての始まりで,気づいたら『心理学ワールド』に毎号記事を書く唯一の存在となっていたわけである。モチロン文章を書くのは嫌いではなかったし,心理学史に関する情報発信をすることができたのは大変ありがたいことであった。誰も読んでいないかも……という悲観的な考えも頭をよぎるが,たまに研究者の方から「読んでますよ」と声をかけてもらうこともあるし,認定心理士の方々も気にかけてくださっているようである。

心理学史を連載するための工夫

執筆にあたっては,テーマのようなものを設定して,その枠内で記事を書くようにした。最初に設定したのが「ぐらふぃっく日本心理学史」であり,あまり知られていなかった日本の心理学史を題材に,視覚的に表現しようという意気込みが現れている(ように思える)。その後,日本以外の心理学史も扱おうと考えて「みてみて実感! 心理学史」に変更し,以下のようにテーマを変遷させていった。

表1 『心理学ワールド』心理学史のテーマ
表1 『心理学ワールド』心理学史のテーマ

ミライヘ

個人的に,心理学史は楽しいし,いつか誰かの役に立つと思う。また読者の皆さん(研究者・実践者)の視点に立てば,いつかどこかの国の心理学史を知りたいと思う時が来ると思う。ある国の心理学がどのように始まりどのように拡がってきたのか,ということは他者理解や関係構築にも欠かせないからである。

日本心理学会は2027年に創立100周年を迎える。学会からは『日本心理学会百年史』が発刊されるだろう。『心理学ワールド』の連載記事も100周年に花を添えたいと思っている。

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