刊行物のご案内
心理学研究 第94巻 第6号(2024年2月)
種類 | 原著論文 |
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タイトル | 組織におけるチームワークの影響過程に関する統合モデル――チームレベルの分析による検討―― |
著者 | 縄田 健悟・池田 浩・青島 未佳・山口 裕幸 |
要約 | 本研究では,21組織,812チーム,5,728名の回答データに基づいて,企業組織におけるチームワークがパフォーマンスに及ぼす影響過程に関する統合モデルを検討した。最初に,IPO (Input-Process-Output) モデルと一致する形で,「チーム・リーダーシップ→チーム・プロセス→チーム・パフォーマンス」というチームレベルの媒介効果が確認された。次に,より詳細にチームレベルの変数間の関連性を検討したところ,関係志向リーダーシップがコミュニケーションと高い正の関連が見られる一方で,課題志向リーダーシップが相互協力や目標共有と高い正の関連性が示された。チーム・パフォーマンスに対しては,目標共有とフィードバックが特に高い関連性を持っていた。最後に,課題志向リーダーシップと関係志向リーダーシップの交互作用効果を検討したところ,PM理論に代表されるリーダーシップ行動の2要因論が想定するように,両者がともに高いことで特にチーム・プロセスやチーム・パフォーマンスが高まるという相乗効果が確認された。 |
キーワード | チームワーク,チーム・プロセス,チーム・パフォーマンス,チーム・リーダーシップ |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal94-6#21064 |
種類 | 原著論文 |
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タイトル | 信念が変わると創造性が向上する?――持続性についての信念に着目して―― |
著者 | 外山 美樹・水本 有香子・村山 士竜 |
要約 | 本研究の目的は,創造性についての信念の実態を検討し,それらの信念が創造性に及ぼす影響について検討することであった。人は,柔軟性に比べると,持続性が重要であるという信念を形成していないが,柔軟性と持続性の信念はともに,創造的パフォーマンスに関連があるため,創造性において持続性が重要であるという知識介入を行うことで,創造的パフォーマンスが向上するという仮説を立てた。研究1では社会人(N = 409),研究2では大学生(N = 412),研究3では高校生(N = 214)を対象に,質問紙調査ならびに介入実験を行った。その結果,仮説が支持された。人は創造性における持続性を重要視していないが,その重要性を認識できれば,創造性課題に粘り強く取り組むことができ,その結果,創造性が向上することが示された。豊かな創造性を育成するためには,創造性に関する科学的知見を正しく理解することの必要性が示唆された。 |
キーワード | 創造性,創造性についての信念,柔軟性,持続性 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal94-6#22018 |
種類 | 研究資料 |
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タイトル | 日本語版相互依存状況尺度の作成 |
著者 | 仁科 国之・三船 恒裕・日道 俊之 |
要約 | 人々は互いに影響を与えながら生活している。Situational Interdependence Scale では,相互依存,力関係,葛藤,将来的な相互依存,情報の正確さの5因子で相互依存状況での行動を説明する。SIS はいくつかの言語に翻訳されているが,日本語版はまだ作成されていない。本研究では SIS の日本語版を作成することを目的とした。研究1と2では,原版を日本語に翻訳し因子構造,信頼性を検証した。研究3では,独裁者ゲームと囚人のジレンマゲームを用いてゲーム間の状況認識の違いを SIS-J で測定できるかどうか検証した。その結果,SIS-J の因子構造は原版と同等であり,ゲーム間の状況認識の違いも測定できることが確認された。これらの結果は,相互依存状況の認識を測定できる尺度として SIS-J は使用できることを示している。 |
キーワード | 相互依存,力関係,葛藤,将来的な相互依存,情報の正確さ |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal94-6#22212 |
種類 | 研究報告 |
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タイトル | におい強度評定方法に関する検討――ラベルつき・ラベルなしVASの比較―― |
著者 | 伏田 幸平・小林 剛史 |
要約 | 6段階臭気強度表示法は,におい強度を評定するための標準的な尺度の1つである。しかし,この尺度は順序尺度とみなされるため,統計分析を行う上で制約をうける。このため,におい強度を評定する新たな方法が導入された。これは6段階臭気強度表示法で使用されている言語・数値ラベルを Visual Analogue Scale (VAS) に準じた方法で水平線に配置したものである。ここで,評定者は6段階尺度の位置に関係なく,水平線上の任意の位置に斜めの短線を引くことができるため,理論的には間隔尺度と見なすことができる。しかし,このような方法では,言語・数値ラベルが評定へ影響する可能性がある。そこで,本研究ではラベルつき VAS とラベルなし VAS によって得られたにおい強度評定値を1つの実験的枠組みの中で比較した。その結果,ラベルつき VAS およびラベルなし VAS は,いずれも間隔尺度として臭気強度の評定に利用できることが示唆された。 |
キーワード | におい強度評定,ヴィジュアルアナログスケール,6段階臭気強度表示法 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal94-6#22307 |
種類 | 研究報告 |
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タイトル | 協同場面における発話内容が学術論文の批判的読みに及ぼす影響 |
著者 | 平見 真希人・藤木 大介 |
要約 | 近年,高次リテラシーである批判的読みへの関心が高まっている。先行研究ではディスカッションが批判的読みを促すことが示されている。しかし発話内容による影響は検討されていない。そこで本研究では,ディスカッションが学術論文の批判的読みに有効であるかどうかを再検討した。まず,ディスカッションが批判的読みに有効であるかを検証したところ,ディスカッションそのものは有効であるとは言えず,情報の交換が重要であることが示された。次に,どのような発話内容が協同場面における批判的読みに影響するかを検証した。その結果,考え方の違いへの自らの言及が読みの観点数を減少させ,考え方の共通点への自らの言及が批判数を増加させることが示された。また,ペアの相手による消極的発話が批判数を減少させることが示された。 |
キーワード | 批判的読み,協同学習,発話 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal94-6#22318 |
種類 | 研究報告 |
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タイトル | 多数派同調バイアスは正解の存在する問題で観察されるか? |
著者 | 藤川 真子・横田 晋大・徳岡 大・中西 大輔 |
要約 | 本研究の目的は,Eriksson & Coultas (2009) の追試を通じて多数派同調バイアスを検討することにある。多数派同調バイアスとは,集団内の多数派が採る行動に,それを超える確率で同調することである。これまでの実証研究では,不確実性の高い情報獲得状況下で多数派同調バイアスの存在が検討されてきた。Eriksson & Coultas (2009) は,客観的に正解を定義できない問題 (信念や好み,規範) で多数派同調バイアスが存在しないことを示した。本研究 (N = 120) では,客観的に正解を定義できる問題を用いて多数派同調バイアスが見られるか否かを検討した。参加者は14の質問項目に回答した後,他の9人の参加者の4パタンの意見分布 (9, 6, 3, 0人の回答が「はい」) が提示された上で,同じ項目に再度回答した。実験の結果,多数派同調バイアスが観察された。考察では先行研究との不一致について議論する。 |
キーワード | 多数派同調,多数派同調バイアス,非多数派同調バイアス |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal94-6#22334 |