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常務理事会から
これまでの日本心理学会と私との関わり
長年お世話になってきた日本心理学会(以下,日心)ですが,2023年6月から総務担当として常務理事を仰せつかりました。総務は所掌が多岐にわたるため,公益社団法人としての日心の全貌を頭にたたき込んでいる最中です。というわけで,所掌する業務について現状等をお伝えすることは控えさせていただき,これまで大きく日心と関わったことについて書かせていただきます。
日心と私との関わりのなかで,最も思い出深いのは大会準備委員会メンバーとして運営側にまわった第67回大会(主催校:東京大学,会場:東京大学本郷キャンパス,大会長:佐藤隆夫先生)と第76回大会(主催校:専修大学,会場:専修大学生田キャンパス,大会長:山上精次先生)です。
第67回大会は2003年に開催されました。「あのポスター会場が暑かった大会ね」と憶えていらっしゃる方も多いかもしれません。当時は助手の立場でしたが,事務局長の下で大学や日心との調整をしていくなかで,大会のあり方はもとより,会員の皆様に対するサービスや種々のご事情のある方への対応等,学会および学会大会について理解が深まりました。キャリアを開始したばかりの自分にとって,この経験は学会大会のみならず,アカデミックな社会で生きていく上で全般的に有用でした。なお,暑かったポスター会場ですが,卒業生らの後援資金により建設された半地下の体育館で,当時エアコンがありませんでした。前年の広島大学大会ではドアや窓を開けて扇風機で対処されていたので,扇風機までは手配したのですが,半地下であるため効果が低く,懸念通り暑くなりました。案の定,会期中に学会の理事の先生方が大会本部に次々お越しになり,「ポスター会場に氷柱をたてなさい」と仰っていかれました。まずは傷病対策と体制を強化した上で,当時売り上げ日本一のコンビニの店長に談判し,急遽,団扇を3,000枚確保して配付した次第です。現場で良い判断をしてくれた当時のポスドクや学生の皆さんは,予想通り現在各分野の第一線でご活躍中です。
第76回大会は2012年に開催されました。専修大学大会において山上精次大会準備委員長を中心に新たに計画されたのが,電子化・オンライン化でした。それまで郵送・紙ベースで行われていた参加・発表申し込みをネットからも行えるようにし,大会参加時には大会アプリをインストールしたタブレットやスマートフォンから参加者が手元で個人のスケジューラーを操作したり,要旨を閲覧したりすることを可能とするものです。私は事務局長として参画しており,すでに業者が構築している他学会の大会システムを日心向けに修正して対応しようと考えました。しかしながら,その当ては外れました。当時の日心大会の参加・発表申し込みの制度が,その当時に先進的であった他学会のそれと大きく異なることが理由でした。学会大会に詳しいシステム業者の担当者も制度の理解に時間がかかり,悪戦苦闘したことを思い出します。この大会には他にも多くのミッションがあったのですが,準備委員会のメンバーが高いパフォーマンスを発揮してくださったおかげで,大過なく大会を終了することができました。
これまで2回の心理学会大会を経験させていただいたのは,今また常務理事として会員の皆様や心理学に尽くす立場となる文脈であったのかと思っている次第です。言わずもがなですが,パンデミックにより全世界が変化し,学会や学会大会のあり方も大きく変化しています。イベントや会議における対面形式とツールを用いたオンラインおよびオンデマンド形式の最適な併用,ジェンダーバランスのさらなる改善や組織的な業務の効率化等をすすめたいと考えています。
(総務担当常務理事/専修大学教授 石金浩史)
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