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  3. ニューズレター 2023 年度 No.2

The Japanese Psychological Association News Letter

vol.07

認定心理士の皆様、あけましておめでとうございます。

2020年初頭から続いてきたコロナ禍も、2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類」へと変更されたことが節目となり、急速に日常が戻ってきたように思います。感染者数は表に出ないだけで、まだかなり多く、また、インフルエンザの流行も重なり、油断できません。しかし、マスクをしないで歩く人も増え、集会や宴会、海外旅行もコロナ前の状況に近づいてきました。

2年続いたweb開催の後、2022年9月の日本心理学会第86回大会は、対面を取り入れたハイブリッドで開催することができました。そして2023年9月の第87回大会は、webを交えながらも、一層対面にシフトしました。

この大会では、認定心理士の会運営委員会主催で、「心理学を効果的に活用できる人材の育成:人の特性に根ざした産業・社会の問題解決に向けて」「第四回社会連携セクション:認定心理士として社会で実践していること」の2つのイベントが対面で開催されました。前者については大会最終日最終セッションで開催され、およそ60名が参加してくださいました。後者は大会2日目の午後、ポスター会場において開催されました。いずれも対面による生身の交流が行われたことで、より一層充実したものになったと思われます。久々の会員交流会には、150名ほどご参加いただきましたが、ご参加いただいた認定心理士の皆様、直接の交流を楽しんでいただけましたでしょうか。

ところで一方、皮肉なことに、コロナによってwebを介したイベントに慣れたこともあり、地方支部会によるweb公開講演会が活発になりました。日本中どこで開催されても、世界中から参加できることがweb開催の利点です。公共性という観点からは、実に優れた方法であり、今後も継続したいと考えています。とはいえ、やはり対面の良さもあります。それまでweb開催一辺倒だった地方支部会のweb公開講演会は、2023年度には、web開催4件、webと対面のハイブリッド3件、対面のみ4件(計11件)となりました。

2024年度は、webの良さを生かした形式を維持しつつも、対面で皆様とお会いできる機会が一層増えることを願っています。

(日本心理学会理事長:阿部 恒之)

2023年6月から、常務理事としまして資格担当を拝命いたしました東洋大学の北村英哉です。よろしくお願いいたします。

2024年年頭から、立て続けに深刻な災害、事故、事件などがあり、慌ただしくも、未来のこの国を考えるべき材料もいくつか問われている点もあるかと、そうした諸点を見逃さないように心理学徒として努めなければならないと、心新たに考える次第です。

日本は自然災害多発国であり、近年の大きなところからでも、1995年の阪神淡路大震災以来、心理学の研究も進み、30年近くの年月が経っております。避難の際には先進国においてはより個々の家族のプライバシーが守られるような体制、テントの中にベッドを配置する、あるいは、コンテナや簡易住宅など、近代技術を生かして様々な工夫が進展し、トイレについてもコンテナとしての運び入れなど多様な対応があります。体育館などで雑居するのが当然のように扱われる被災状況は特に冬の寒い中においては問題が大きいでしょう。

こうした適切な知識の普及も、心理学を学ぶ認定心理士の方々を中心に社会により知られ、広がっていくことが期待されます。少しでもひとが住みよい社会とするために、心理学の研究は役に立つ点がたくさんあると考えています。

災害や事件が多発しますと、心の健康維持や回復も重要な課題となります。

昨年も、認定心理士の会、支部会において充実した企画をご用意いただき、このレターで報告されておりますように多くの講演やシンポジウムを実現することができました。関係の幹事、委員の方々に感謝申し上げます。

また、新刊連動講座も順調に次々と企画が立ち上がり盛況です。引き続き、会の企画に積極的なご参加とご支援をよろしくお願いいたします。

オンライン開催・対面開催いずれのイベントも、お住まいの地域にかかわらずお申し込みできます。ぜひ多くのイベントにご参加ください。

(日本心理学会資格担当常務理事:北村 英哉)

2023年10月、認定心理士の会運営委員会の第4期委員会 (2023年10月~2025年9月) が発足しました。北海道、東北、北陸、東海、中国・四国、九州・沖縄、の各支部を新規委員が担当します。関東と近畿は第3期の運営委員が継続して担当します。

この度、第4期委員会の委員長を仰せつかりました河原純一郎です。昨期まで北海道支部会(現 北海道支部)の運営委員でした。第3期の委員長渡邊伸行先生の主な目標は、認定心理士の会の運営体制を持続的なものにすることだったそうです。渡邊先生がその目標実現を目指して日々業務に勤しんでおられるのを観察学習しようと思っているうちに引き継ぎの時期が到来してしまいました。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。

第3期の開始時と同様、今回も委員の大部分が交代しました。同時に、いくつかの名称変更や担当者の追加もありました。具体的には次のとおりです。

認定心理士の会 運営委員会の名称変更 地域支部会→地域支部、地域支部会会長→地域支部支部長、地域支部会幹事→地域支部幹事、

会長が支部長になったわけで、それだけ聞くと大幅に格下げのように聞こえますが立場は変わらず、支部のまとめ役をお願いしています。これまでの名称では、認定心理士の会、支部会、会長と「会」が何度も出てきて煩わしいので単純にしました。

この他にも、認定心理士の会の活動としてわかりにくいことがあれば改善してゆきます。今年度から新刊連動講座を始めました。この他にも、本会がよりよいものとなるよう、務めてゆきたいと思っています。認定心理士の会の会員の皆様におかれましては、具体的なご提案をお持ちの場合は各種イベントで支部の運営委員や支部長、幹事にお声かがけ下さい。運営委員会を通して議論し、対応してゆきたいと思っています。

(認定心理士の会運営委員会委員長:河原 純一郎)

オンライン開催・対面開催いずれのイベントも、お住まいの地域にかかわらずお申込みできますので、ぜひ多くのイベントにご参加ください。

  • 認定心理士の会関東支部は、以下の内容で公開セミナーを開催いたします。

    • 2024年2月4日(日)14:30~16:30(開場14:00)
    • 国立がん研究センター 研究棟1F大会議室(最寄り駅は大江戸線築地市場駅、日比谷線築地駅、日比谷線東銀座駅、都営浅草線東銀座駅)
    • 藤間 勝子(国立がんセンター中央病院アピアランス支援センター)
    • 松本 学(共愛学園前橋国際大学・東北大病院形成外科心理外来)
    • 疾患、外傷、治療の副作用などによって外見の変形や変化が生じている/生じる場合があります。そのことは、当人、そして家族に大きな影響を及ぼします。そしてそれは心理面でも同様です。今回は、がん領域と先天性疾患領域におけるそれらの外見により生じる問題に対する心理的理解について、お二人の先生に講演をして頂きます。
    • 250名。事前登録先着順。
    • https://psych.or.jp/authorization/ 240204_kanto/ からお申し込みください。

    (関東支部幹事:鈴木公啓)

【北海道支部企画】認定心理士の会 公開講演会(対面・オンライン併用(ハイブリッド)開催) 「算数障害の理解と支援」

北海道支部イベントとして、2023年11月11日(土)15:50-17:00に札幌学院大学新札幌キャンパス 304教室(札幌市厚別区厚別中央1条5丁目)で講演会を主催いたしました。このイベントは北海道心理学会2023年大会の共催イベントでもありました。

ご講演者は熊谷恵子先生(筑波大学人間系・教授)で、ご講演題目は「算数障害の理解と支援」でした。ご講演では、まず学習障害の定義、算数障害の研究の歴史と下位分類についての解説を頂きました。算数障害にはいくつかの分類があり、数詞、数字とモノの三者対応、数は順と量をあらわすこと、計算、数的推論の不全があることを学びました。これらの下位分類に対応した算数に関わる基本的な神経認知プロセスの神経基盤が特定されていることに驚きました。算数に困難を感じるタイプには2種類(作業記憶が弱い継次型と数量がわからない同時型)に大別できることも知りました。算数ができないとされる子らの支援には、この下位分類のどこで失敗しているかを特定する必要があることがよくわかりました(このことをわたくしがあと6年ほど早く知っていたらわが子もだいぶ違った算数生活となったのかもしれません)。算数障害スクリーニング検査が開発されており、数学

教育に反映されたらよいのに、と感じました。最後の質疑応答では、算数障害の相談で困っているなど多数の質問が寄せられ、熊谷先生にはお時間の許す限り詳しくお答えいただきました。

本イベントは札幌学院大学の新札幌キャンパスの新しい校舎のとても快適な教室で開催できました。会場をお手配くださった札幌学院大学の山本彩先生に心よりお礼申し上げます。本イベントの参加者は100名でした。前回に引き続き対面開催ができ、本当によかったと思います。なお、北海道支部は運営委員が交代し、西郷達雄先生(北海道医療大)が企画を担当します。新たな観点でのイベント企画ご期待下さい。

最後に、本講演会でもアナウンスしましたが、北海道支部会のFacebookグループがございます。北海道地区にお住まいの認定心理士の皆さまはどうぞご参加ください。

※認定心理士の会北海道支部:https://www.facebook.com/groups/801083160700345
(北海道支部:川端康弘(支部長)・西郷達雄(運営委員)・鶴見周摩(幹事)・河原純一郎(前運営委員) )

(前運営委員:河原純一郎)

【東北支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(対面開催)「現代社会の依存について考える」

2023年8月19日(土)の14時より東海学園大学名古屋キャンパスにて、「現代社会の依存について考える」というテーマで東海支部の公開シンポジウムを開催しました(事前申込制、無料)。当日は29名の方々にご参加いただきました。愛知教育大学の黒川雅幸先生と独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センターの古賀佳樹先生に講演を行っていただきました。

黒川先生からは「スマホ時代における子どものインターネット依存問題」というタイトルでお話をいただきました。子どものインターネット利用の現状を踏まえて、スマートフォンによるインターネット依存傾向を複数の側面からとらえるモデルを構築され、アプリ課金や家庭環境などとの関連を検討された調査結果をご紹介いただきました。ネット依存の解決に向けての提言についても具体的にお示しいただきました。

黒川雅幸先生の講演の様子
黒川 雅幸先生

古賀先生からは「ゲーム依存の心理学―ゲームプレイをどうとらえるのか?―」というタイトルでお話をいただきました。ゲームを取り巻く環境およびゲーム依存研究の変遷や、ゲーム依存の概念整理についてご説明いただいたうえで、日本におけるゲーム使用の実態やSNS依存、ギャンブル依存との比較などを検討された調査結果をご紹介いただきました。ゲーム依存度の性差、プレイされるゲームジャンルや使用機器の割合の違いなどについてもお示しいただきました。

古賀佳樹先生の講演の様子
古賀 佳樹先生

アンケートでは、「ネット依存とゲーム依存はどちらも社会的な課題で、貴重な知見を学べて有意義でした」「わかりやすいご説明で勉強になりました」「いろいろな立場の先生方の質疑応答もおもしろかったです」など、多くの好意的な感想をいただきました。貴重なお話をいただきました黒川先生、古賀先生、そしてご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。

(東海支部会:吉田琢哉)

【北陸支部企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(対面・オンライン併用(ハイブリッド)開催)「北陸における心理学教育の現状と未来」

2023年12月9日(土)に、北陸心理学会の年次大会内において、北陸支部との共催企画として「北陸における心理学教育の現状と未来」を開催しました。北陸支部支部長の松井三枝先生 (金沢大学)による開会あいさつに続いて、吉村晋平先生(金沢大学)、後藤和史先生(北陸大学)、大上真礼先生(金沢学院大学)、加藤仁先生(北陸学院大学)、森俊之先生(仁愛大学)より、各大学で行っている心理学教育の取り組みや特色、課題についてお話いただきました。

今回は「研究」の話ではなく、大学の学部や大学院での心理学教育の話という、通常のシンポジウムとは異なるテーマでした。公認心理師カリキュラムへの対応によって、各大学で実施している科目やその内容にはある程度共通していること、その上で、各大学の特色や強みはそれぞれ異なることなどが、様々な先生のお話から明確になりました。各大学の独自性は、学内の他学科との連携、所属する研究者が得意とする研究テーマや独自の科目の開講、研究会の実施、実習先の違いなど、様々な側面に及んでいました。おそらく、北陸地方以外の大学においても、それぞれ共通性や独自性があるのだろうと想像します。今後の展開として、複数の大学間にて学生や教員が情報共有および連携するようなカジュアルな機会を設けること、オンラインを活用した連携の機会を持つことなどが、提案されました。

今回の講演会における参加者は92名(Zoom36名、対面56名)で、認定心理士の皆様は26名でした。アンケートは50名の方にご回答いただき、「ホームページや大学案内でしかつかめなかった各大学の心理学教育の現状がよくわかった」、「大学院を決める参考になった」、「公認心理師養成が始まり、各大学カリキュラムの検討や実習・演習できる施設・機関の確保など、苦慮されていることが分かった。」、「先日、実習担当者研修を受講したが、実習先担当者と学校の担当教員の連携がもっと必要」というお声をいただきました。本当にありがとうございました。オンラインでご視聴いただいた一部の方で、音声が聞き取りにくかったようでした。大変申し訳ございませんでした。今後も北陸支部は、北陸の心理学研究や教育を皆様に紹介する機会と、認定心理士の皆様の相互交流の機会を企画していきます。

(北陸支部:伏島あゆみ)

【近畿支部企画】認定心理士の会 公開講演会(対面・オンライン併用(ハイブリッド)開催)「新型コロナウィルス・ COVID-19と心理学-これまでとこれからを考える-」

2023年11月23日(勤労感謝の日)にハイブリッド方式で近畿支部企画「新型コロナウィルス・COVID-19と心理学-これまでとこれからを考える-」を開催いたしました。今回は第1部を2名の先生のご講演、第2部は対面参加者と講演者とのディスカッション・意見交換の2部制としました。対面会場には8名の認定心理士が参加され、オンラインでは123名(うち認定心理士95名)の方が参加されました。

まず日本心理学会常務理事の北村英哉先生から開会のご挨拶をいただいた後、第1部として北岸有子先生(心理支援オフィスさくらてーぶる)から「コロナ禍の心理支援でまもられたもの」というご演題で、そして山田冨美雄先生(関西福祉科学大学)から「COVID19とヘルスケア行動の変容」というご演題でそれぞれご講演いただきました。

北岸先生は地域での心理支援に長く携わっておられることから、コミュニティ・アプローチに基づいた心理支援における新型コロナウィルスのパンデミックの影響について事例を交えながらお話しいただきました。事例の内容が支援に携わる方々にとっては非常に示唆に富んだものとなっており、参加された方々にとっては非常に有益なものとなったように思われました。

山田先生からは主に我が国における新型コロナウィルス・COVID-19の経過とその影響として生じた行動変容、そして健康心理学・ストレス科学領域での研究についてお話しいただきました。在宅を強いられたことによるゲーム・インターネット依存の問題に対する言及や「次のパンデミック」に対する対応についてのご指摘は非常に有意義なものであったと思いました。

第2部では対面会場で参加された認定心理士の方を対象とした講演者とのディスカッション・意見交換を行いました。人数としては少なかったものの、活発なディスカッション・意見交換ができました。その中で「今の状況は予防の観点から言えば三次予防の段階であるが、それは一次予防の段階でもいえる」といったご意見が出てきたのは現在の状況を的確にとらえたもののように思われました。また、「支援者に対する心理的支援の必要性」も意見として挙げられました。さらに、支援者支援に関するリソース提供や認定心理士の会や学会を通じた連携の必要性についても言及がありました。

2024年早々、我々は新たな震災を経験しています。パンデミックに限らず、自然災害も我々は繰り返し経験することでしょう。これまでの経験を踏まえ、日本心理学会等が主体となって心理的支援を継続的に実施することの重要性を新たに認識した次第です。そのような意味では今回の企画は「次」に備えるための態度・行動をとり続けるための心理学的支援の必要性を参加者間で共有できたように思われました。

(近畿支部:岸太一)

【九州・沖縄支部会企画】認定心理士の会 公開セミナー(オンライン開催)「司法・犯罪心理学-捜査から、その後の処遇と立ち直り支援に至るまでの心理学の役割-」

2023年8月27日(日)の13時から16時まで、「司法・犯罪心理学-捜査から、その後の処遇と立ち直り支援に至るまでの心理学の役割-」と題して、認定心理士の会 九州・沖縄支部会による2023年度公開シンポジウムが開催されました。会場はZOOMオンライン会場で、当日の開催の挨拶および司会進行は本企画を担当した一人である福岡女学院大学の宮島が行いました。当日の参加者は489名で、認定心理士の方は275名でした。話題提供の先生方は、司法・犯罪心理学について研究をされている3名の先生でした。概略とまとめは、当日の講演順に以下の通りとなります。

最初に福岡大学の大上渉先生からは、「心理学が明かす、犯罪捜査の舞台裏」というタイトルで、心理学は犯罪捜査において重要な役割を果たしており、適切な証言を得たり、犯行を裏づけたり、犯人を特定するために役立っていることを踏まえ、本講演では、捜査支援に用いられている様々な心理学的ツールについて紹介していただきました。

次に九州女子大学の山口勇弥先生からは、「矯正施設をアセスメントする」というタイトルで、矯正施設内で行われている更生に向けた取組みにスポットライトを当て、臨床心理学の視点からお話いただきました。

最後に福岡女学院大学の大迫秀樹先生からは、「更生保護における立ち直り支援と児童期 からの早期支援における心理学の役割」というタイトルで、犯罪者や非行少年に対する立ち直り支援について、臨床的な立場から概説していただき、児童期からの早期介入の意義、児童福祉における支援の必要性などについてもお話をいただきました。

今回のシンポジウムは、昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響でオンラインによるシンポジウムとなりましたが、話題提供の3名の先生方ならびに多くの認定心理士の方にサポートをいただきました。また、認定心理士の会運営委員会である西南学院大学の分部利紘先生には、企画から当日の司会進行まで幾度となくお力添えいただきました。末筆ながら、今回のシンポジウムに携わっていただいた全ての皆様に心から御礼申し上げます。

オンラインイベントの様子

(九州・沖縄支部会:宮島健)

【オンライン支部会企画】認定心理士の会 オンラインイベント(オンライン開催)「オンラインイベントのコロナ前・中・後の変化と世界中の認定心理士と繋がる未来」

オンライン支部会は2023年12月9日(土) 13:30~15:30「Net de 交流!認定心理士最終回」を企画し開催しました。参加者は53名(関係者含む)でした。オンライン支部会最終回にあたり、話題提供者として元認定心理士の会運営委員会、委員長髙瀨堅吉先生(中央大学文学部)にご参加いただき、現オンライン支部会会長坂田省吾先生(広島大学・新潟医療福祉大学)にご挨拶をいただきました。

第1部「コロナ前,中,後の参加人数の変化からみえること」

幹事の池田から、2017年から2023年までのオンライン支部会の活動を報告しました。コロナ禍前は30名前後の参加者が、コロナ渦中では500名前後に増加しました。コロナ禍前半の2020年度は、オンライン支部会の企画は認定心理士の会の企画全体の半数を占めました。他、「日本心理学会大会社会連携セクションポスター発表オンライン再現イベント」も開催しました。髙瀨先生からは、海外で始まっている、研究者ではない人々も研究に携わることで社会が変わっていく取り組みのご報告をしていただきました。そして、心理学会における社会連携セクションの報告はまさにそのような立ち位置にいるのではないかと指摘していただきました。

第2部「海外在住の認定心理士から見た,海外のオンライン会議やイベントの状況や変化について」

欧州在住の石川裕美子(幹事)とマレーシア在住の向島聖子さんに報告していただきました。コロナ禍で一変した生活を取り上げ、コロナ感染症の拡大により在宅勤務に切り替わり、それにより良かったことは、今までの通勤時間を自分の時間に向けることができるようになったことでした。また、学校では通信機器を駆使してオンライン授業が増えたことでした。

第3部オンラインで開催された「シチズン・サイエンスワークショップ」がもたらしたもの。

2020年11月から2021年3月に髙瀨先生と共に行ったオンラインのワークショップは、32名が参加して14組の研究計画の発表があり、4組が「社会連携セクション」で発表しました。さらに研究から社会活動に広げているグループ「こころカフェ」と「災害伝承ラボ」を紹介しました。

意見交換「オンラインイベントの可能性と未来」

「認定心理士の会のオンラインに期待すること」をテーマに参加者と話を進めました。幹事池田から他支部の開催方法はセミナー形式だが、オンライン支部会は双方向参加にこだわりました。これは、アンケートやオンライン支部会を運営し気づいたと報告しました。髙瀨先生からは、「これまで池田さんを中心につくったオンライン企画の経験をもとに、認定心理士の皆様がボトムアップで様々なつながりを持っていくことが、認定心理士の皆様の力が十分に発揮されるためには必要だと思う」というコメントをいただきました。

閉会のご挨拶を髙瀨先生からいただき盛会のうちに終了しました。

オンラインイベントの様子

(オンライン支部会:荻野貴美子)

    • 2024年1月27日(土)14:00-15:30
    • ZOOMオンライン会場
    • 横澤 一彦 先生(筑波学院大学)
    • 2024年2月18日(日) 10:00-2:00
    • ZOOMオンライン会場
    • 清野 絵 先生(国立障害者リハビリテーションセンター)、宮澤 史穂 先生(障害者職業総合センター)、滝口 圭子 先生(金沢大学)、安田 孝 先生(城西国際大学)

    (新刊連動講座WG長:河原純一郎)

【認定心理士の会運営委員会企画】日本心理学会第87回大会 大会企画シンポジウム「心理学を効果的に活用できる人材の育成―人の特性に根ざした産業・社会の問題解決に向けて―」

2023年9月15日~17日に、神戸国際会議場で日本心理学会第87回大会が開催されました。その最終日の夕方に、認定心理士の会運営委員会企画のシンポジウムを開催しました。年次大会で対面で開催したのは2019年以来、4年ぶりでした。

本企画は、2022年5月に出版された「価値を生む心理学―人と製品・サービスを結ぶ科学―」の編者である、小俣貴宣氏 (ソニーグループ株式会社) と共同で準備をしてきました。話題提供者として、平井啓先生 (大阪大学大学院人間科学研究科)、平尾直靖氏 (株式会社資生堂ブランド価値開発研究所)、澤井大樹氏 (株式会社イデアラボ)、田中優子先生 (名古屋大学大学院工学研究科) にご登壇いただきました。司会を小俣氏と渡邊伸行 (金沢工業大学) が務めました。

シンポジウムの開始に先立ち、渡邊から認定心理士の会の説明と、「新刊連動講座」の紹介をしました。本企画も、新刊連動講座の一環として実施されました。出版元の新曜社様のご協力により、参加者は「価値を生む心理学」を特別価格で注文することができました。

冒頭で企画者の小俣氏より、本シンポジウムの企画趣旨、話題提供者の紹介、本シンポジウムの流れについて、説明がありました。最初の話題提供は平井先生で、演題は「心理学・行動科学による社会課題解決 心理・行動フォーサイトラボでの人材育成」でした。前半では、大阪大学における心理学人材育成の考え方や育成プログラムなどについて紹介されました。後半では、大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター「心理・行動フォーサイトラボ」における、地域社会の問題解決に受講生が取り組む事例が紹介されました。心理学や行動経済学の知識や手法を用いて、問題解決を試みることで、受講生に授業で学んだことを実社会で実践する機会を提供していました。

2件目の話題提供、田中先生は、「工科系大学における心理学教育の実践」という演題で、名古屋工業大学の学生に心理学をどのように教育されているか、お話しいただきました。例えば、受講生の専門分野に心理学がどう活用できるか、という話題をすることで、心理学を学ぶ意義を伝えたり、異分野との共同研究において心理学がどのように役立つか、といった話を授業の中でされているようです。

3件目の話題提供者の澤井氏は「イデアラボにおける人材に関する考え方」という演題で、ご自身が設立され代表を務めるイデアラボの業務内容や、社員の待遇についてご紹介いただきました。イデアラボは、心理学の方法論で民間企業のコンサルティングなどを行う会社です。研究員(社員)の人材育成的なことは行っておらず、研究者として働くための十分な環境を用意することで、企業の問題解決に取り組みながら、自身も様々な知識や技術を身に着けてもらう、ということを考えておられるようです。

最後の話題提供は平尾氏で、化粧品などの製品を開発していく過程で、心理学の知見や研究手法をどのように活用しているかお話しいただきました。具体的には、「知る」(何を作るか?)、「創る」(どう作るか)、「伝える」(どう魅力を伝えるか?)、のそれぞれの段階において、心理学のどのような手法を活用されているか、またそういった手法を活用できる研究員をどのように育成していくか、その考え方や難しさなどをお話しいただきました。

4件の話題提供の後で、全員が登壇し、ディスカッションが行われました。その際、小俣氏が3つの論点を挙げられました。1つは「問題解決場面における心理学人材の強み」、2つ目は「専門知識に加えて求められるコミュニケーション力や分野越境について」、3つ目は「求められるマインドセット」、でした。登壇者、司会者、さらには参加者を交えて、活発な議論が行われました。今後、企業や社会の中で、心理学を学んだ人材の活躍の場が増えてくると、心理学人材の重要性がより認知され、その需要も高まってくるかもしれないと、この一連の議論を通して感じました。また、認定心理士の皆さんには、それぞれの場で心理学の知見や技術を活用して活躍されることで、世の中で心理学人材の需要を高めることに貢献していただければ……ということを申し上げたかったのですが、タイムオーバーになってしまいました。この場を借りて、認定心理士の皆さんにお願い申し上げます。

心理学人材をどう育成していくか、社会で心理学人材をどう活用していくか、など、様々な示唆が得られたシンポジウムでした。有意義な議論をしていただいた企画者の小俣氏と話題提供者の皆様に、心より感謝申し上げます。また、当日は大会最終日の最後の時間帯にも関わらず、一般の方々を含めて、多くの方々にお集まりいただきました。会場でご参加いただいた皆様にも、心より御礼申し上げます。

神戸国際会議場で認定心理士の会運営委員会企画のシンポジウムを開催した時の会場の様子
会場の様子

(運営委員会前委員長:渡邊伸行)

【認定心理士の会運営委員会企画】日本心理学会第87回大会 第4回社会連携セクション

社会連携セクションでは、「認定心理士として社会で実践していること」をテーマに、認定心理士が日常の生活や業務の中で、心理学を実践している事例や、心理学について考えている/行っている実践・研究内容などをご発表いただいております。第4回目の今回は、2023年 9月16日(土)13:40-15:40に神戸国際会議場にて、対面ポスター発表形式による社会連携セクションを開催いたしました。

当日は2名の認定心理士の方々に、それぞれ興味深い内容をご発表いただきました。2時間、ほとんど人が途切れることなく、多くの方が見に来てくださいました。一般発表のポスター会場と同じ場所で実施されましたので、認定心理士だけでなく、学生参加者や会員参加者など、認定心理士以外の方とも交流いただいたように思います。

対面での社会連携セクションに戻って2回目でしたが、今回も貴重な発表内容をいただき、認定心理士の皆さまの情熱をひしひしと感じました。発表ということで、改めて活動内容や熱い思いをポスターにまとめる作業は大変だったかと思いますが、何度もやりとりしながら素敵なポスターを仕上げてくださいました。このような新たな出会いや学びの機会に改めて御礼申し上げます。皆さまも、大会への参加や発表を通じて、ご自身の認定心理士としての取り組みを改めて見つめてみませんか?

(社会連携セクション前WG長:伏島あゆみ)

 

【認定心理士の会運営委員会企画】第2回新刊連動講座 認定心理士の会×北大路書房『〈よそおい〉の心理学』刊行記念イベント「なぜ私たちは今日も装い続けるのか?」

2023年8月20日(日)に実施しました。講演者(著者)は鈴木 公啓 先生(東京未来大学)、荒川 歩 先生(武蔵野美術大学)、木戸 彩恵 先生(関西大学)、参加者は102名(うち認定心理士70名)でした。

【認定心理士の会運営委員会企画】第3回新刊連動講座 認定心理士の会×新曜社『離婚を経験する親子を支える心理教育プログラム FAIT-ファイト-』刊行記念イベント「親の声,子どもの声,社会の視点から考える離婚の心理支援」

2023年10月8日(日)に実施しました。講演者(著者)は福丸 由佳 先生(白梅学園大学)、山田 哲子 先生(立教大学)、曽山 いづみ 先生(神戸女子大学)、参加者は175名(うち認定心理士136名)でした。

【認定心理士の会運営委員会企画】第4回新刊連動講座 認定心理士の会×新曜社『社会人大学院教育がひらく科学的知識創造』刊行記念イベント「認定心理士のキャリア発達とは?〜専門職キャリアをどうデザインするか〜」

11月19日(日)に実施しました。講演者(著者)は豊田 香 先生(拓殖大学)、参加者は124名(うち認定心理士111名)でした。

【認定心理士の会運営委員会企画】第5回新刊連動講座 認定心理士の会×共立出版『なぜ壁のシミが顔に見えるのかーパレイドリアとアニマシーの認知心理学』刊行記念イベント「心理学の基礎研究と人間のエクスペリエンスのあいだ」

2023年12月23日(土)に実施しました。講演者(著者)は高橋 康介 先生(立命館大学)、参加者は131名(うち認定心理士97名)でした。

新刊連動講座で紹介された新刊の表紙4冊
新刊連動講座で紹介された新刊の表紙

(新刊連動講座WG長:河原純一郎)

第4期認定心理士の会が発足して初めてのニューズレターとなりました。そして、ここ数年では最もボリュームのあるニューズレターとなりました。ご存じの通り、これまでも各支部が各地で多彩なテーマでシンポジウムや講演会を企画・開催し、いつも賑やかな認定心理士の会ですが、新刊連動講座が本格的に始動したことも手伝い、一層活発な活動が展開なされていくものと思います。今後も認定心理士の会にご期待いただくとともに、各種イベントに是非ご参加いただければと思います。

(運営委員会委員:河地庸介)

  • 認定心理士の会運営委員会〒113-0033 東京都文京区本郷5-23-13田村ビル内公益社団法人日本心理学会事務局jpa-ninteinokai@psych.or.jp

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