刊行物のご案内
心理学研究 第97巻 第6号(2027年2月)
| 種類 | 原著論文 |
|---|---|
| タイトル | 創造性を促進する想像の力――具体的プロンプトによる遠位メンタル・シミュレーションの効果―― |
| 著者 | 外山 美樹・ 村山 士竜 |
| 要約 | 創造性とは,新奇で有用なアイデアを生成する能力であり,個人の発達や社会的進歩にとって重要である。先行研究では,メンタル・シミュレーション(mental simulation: MS)が創造的思考と関連することが示されてきた。本研究では,具体的プロンプトを伴う遠位MS条件が,高校生の拡散的思考に基づく創造性とどのように関連するかを検討した。参加者105名は,遠位MS群,近位MS群,統制群のいずれかに無作為に割り当てられた。具体的プロンプトに基づくMS課題の後,参加者は拡散的思考課題に取り組み,流暢性,柔軟性,および独創性(希少性・他者評定)について評価された。その結果,MS想像鮮明度において遠位MS群と近位MS群の間に有意差は認められなかった一方,遠位MS群の鮮明度はいずれも尺度中央値を上回っていた。さらに,遠位MS群は独創性において他の群より有意に高い得点を示したが,柔軟性については群間差は認められなかった。これらの結果は,具体的プロンプトを伴う遠位MSが,青年期の創造性,とりわけ独創性の高さと関連していることを示唆するものであり,教育的介入としての可能性を示す一方で,今後の因果的検討の必要性を示している。 |
| キーワード | メンタル・シミュレーション,創造性,解釈レベル,教育的介入,高校生 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-6#25064 |
| 種類 | 原著論文 [方法・開発] |
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| タイトル | 日本語版成人用向社会性尺度の作成 |
| 著者 | 芳野 和晃・石井 敬子 |
| 要約 | 向社会性に関する研究はこれまでに主に児童期や青年期を対象として行われてきた。一方で,成人期における向社会性に着目した検討は限られており,その背景には成人期の向社会性を適切に測定できる質問紙尺度が不足していることが考えられる。本研究では,成人期の向社会性の個人差を評価する尺度である日本語版成人用向社会性尺度(PSA-J)を作成することを目的とした。研究1では,逆翻訳法の手順を踏んでPSA-Jを作成し,日本人成人を対象にその信頼性と妥当性を検討した。その結果,PSA-Jが一因子構造であり,高い信頼性と妥当性を有することが示された。研究2では,日本人成人とアメリカ人成人を対象に日本語版と英語版を用いた測定不変性の検討を行った。その結果,文化間で因子構造と因子負荷量の等価性が示された。また,一部項目の等値制約を解除することで,部分的な項目切片の等価性が確認された。研究3では,項目反応理論に基づき項目レベルで測定不変性を検討した。その結果,日本とアメリカの両文化圏において,実質的に意味のある特異項目機能は検出されなかった。本研究では,成人期における向社会性を測定する信頼性および妥当性の高い日本語の尺度が作成され,向社会性の文化比較研究の基盤が確立された。 |
| キーワード | Prosocialness Scale for Adults,向社会性,尺度作成,測定不変性 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-6#25045 |
| 種類 | 原著論文 [方法・開発] |
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| タイトル | 嘘をつくときの内的過程を測定する尺度(LIPS)の開発 |
| 著者 | 佐藤 拓・太幡 直也 |
| 要約 | 本研究の目的は,嘘をつくときの内的過程を測定するLiar’s Internal Processes Scale(LIPS)を開発することであった。Zuckerman et al. (1981) の多要因理論に基づき,5つの内的過程(ネガティブ感情,ポジティブ感情,覚醒,認知処理,行動統制の試み)を測定するLIPSの原案を作成し,その信頼性と妥当性を検証した。3つの研究から,LIPSは多要因理論に対応する5因子構造を持ち,下位尺度の内的整合性は十分に高く,2週間間隔での再検査信頼性は中程度から十分な水準にあることが示された。また,嘘をつくことに対する否定的認識,神経症傾向,注意の制御,公的自意識との関連からLIPSの妥当性が確認された。最後にLIPSにより測定した嘘をつくときの内的過程に関する限界点と今後の研究の方向性について論じた。 |
| キーワード | 嘘,欺瞞,内的過程,多要因理論,尺度開発 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-6#25046 |
| 種類 | 原著論文 [方法・開発] |
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| タイトル | 習得動機づけ尺度 (DMQ 18) 幼児用日本語版の開発および信頼性・妥当性の検討 |
| 著者 | 立石 杏佳・杉村 伸一郎 |
| 要約 | 本研究は,習得動機づけを測定するDMQ 18の日本語版を開発し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした。標準的な翻訳・逆翻訳の手順に従い,2―7歳の子どもの保護者を対象に,予備調査(N = 196)と本調査(N = 1,364)の2回のオンライン調査を実施した。確認的因子分析の結果,7因子構造の適用可能性が示唆された。信頼性に関しては,全下位尺度で許容可能な内的整合性が示された。さらに,CBQ下位尺度との相関は概ね予測通りであり,収束的妥当性が確認された。これらの知見は,DMQ 18日本語版が日本の幼児における習得動機づけを評価する上で許容範囲内の信頼性・妥当性のある尺度であり,今後の研究に有用な尺度となることを示唆している。 |
| キーワード | 習得動機づけ,DMQ 18,信頼性,妥当性,幼児 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-6#25058 |
| 種類 | 研究報告 |
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| タイトル | 内受容感覚の敏感さと精神的健康との関連――適応的諦観に着目して―― |
| 著者 | 上床 幸太 |
| 要約 | 本研究では,日本人大学生を対象に,内受容感覚の敏感さ,適応的諦観,および精神的健康(ポジティブおよびネガティブな側面)の関連性を検討した。特に,内受容感覚の敏感さと精神的健康との関連を調整する可能性のある,日本文化に適合した認知的態度として,適応的諦観に焦点を当てた。参加者(N = 205)は,内受容感覚の敏感さ,適応的諦観,人生の満足度,ポジティブ感情,および不安を測定する質問紙に回答した。相関分析の結果,内受容感覚の敏感さは,不安だけでなくポジティブ感情とも正の相関を示した。しかし,階層的重回帰分析の結果は,適応的諦観が内受容感覚の敏感さと精神的健康との関連を調整するという仮説を支持しなかった。一方,内受容感覚の敏感さと適応的諦観によるクラスタ分析から三つのクラスタが抽出された。平均的な適応的諦観を持ち,ある程度良好な精神的健康を示すクラスタの中には,内受容感覚の敏感さが高いクラスタと低いクラスタが存在することを明らかになった。本研究の意義は,こうしたクラスタ間の特徴の違いを,日本文化との親和性という視点から理解する枠組みを提示できたことと,内受容感覚の敏感さと精神的健康との関連について,内受容感覚を狭義と広義に分ける軸,感情価の軸,覚醒度の軸という三つの軸から整理する新たな見方を見出したことであると考えられる。 |
| キーワード | 内受容感覚の敏感さ,適応的諦観,精神的健康,認知的態度,文化的要因 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-6#25301 |





