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私のワークライフバランス
今,一番大切にしたいこと

鈴木田 英里(すずきだ えり)
Profile─鈴木田 英里
博士(学術)。専門は臨床発達心理学,家族心理学。単著論文に「発達障害児・者及び知的発達症児・者をもつ家族の家族レジリエンスに関する研究動向」『家族心理学研究』39(1),89–104,2025など。
大学教員・心理職として活動される鈴木田先生。研究だけでなく,家庭や生活も大切にする難しさと向き合いながら,自身の生活を充実させてきた過程を綴っていただきました。
私は臨床も研究も両方やっていきたいという思いから,大学教員をしつつ,心理士として臨床活動も行う現在のキャリアを選びました。
| ワーク | ライフ | ||
|---|---|---|---|
| 2019年 | (24歳) | 大学院修士課程に入学 | 京都→神戸へ |
| 2021年 | (26歳) | 大学院博士課程に進学 | 神戸 |
| 2024年 | (28歳) | 就職(現職) | 神戸→京都へ |
| 2025年 | (30歳) | 結婚 京都→滋賀へ |
ワークの面では,2024年に博士課程を修了してすぐに現在の職に就くことができ,任期付き教員として大学で仕事をしています。授業のほかに学部の仕事や大学院の実習指導など,大学教育に幅広く携わらせていただいており,とてもやりがいを感じています。また,精神科クリニックや療育の現場で臨床実践も行ってきました。臨床でも子どもを中心にさまざまな人と関わることができ,とても充実しています。
ライフの面では,仕事の傍ら好きなこと(読書,推し活など)を楽しんできました。昨年結婚して,現在は夫と2人で暮らしています。夫は研究職ではありませんが,任期付きという不安定な身分も理解し,今後のことについてもよく相談に乗ってくれます。
私の中でワークライフバランスは,キャリアを選択するときにたびたび頭をかすめてきたテーマです。修士課程のとき,心理職として就職しようと考えていたのですが,研究ももっとやってみたいと思い,博士課程への進学を考え始めました。当時の私には結婚や出産といったライフイベントも経験したいという気持ちがあったため,博士課程に進学すると結婚や出産の適齢期を逃すのではないか,キャリアとの兼ね合いが難しいのではないかと考え,進学を迷いました。しかし,それ以上に研究と臨床の両立をしたいという気持ちが強く,博士課程への進学を選びました。実際にこのような選択をしたことで,後悔はしませんでした。自分がやりたかったことを存分に楽しむことができたからです。
一方で,結婚すると夫との調整が必要になるため,何でも自分がやりたいことを選ぶことは難しくなります。例えば,互いの職場や私の異動の可能性を考慮して住む場所を決めたとき,私がそれまで臨床をやってきたエリアからは遠方になりました。そのため,臨床活動は少しセーブする必要がありました。このことには残念な気持ちもありましたが,自分のライフを充実させるために必要な選択だったと思います。これまでは仕事に関わることを中心にしてきましたが,このとき私にとって大切だったのは仕事よりも生活だったのだと思います。
私はこの原稿を執筆中,妊娠していることがわかりました。子どもを授かったことはうれしい反面,任期の最終年度で仕事に穴を空けてしまうことにはとても申し訳なさを感じました。それに加えて,まだ次の職が決まっていないという状況でした。女性研究者がキャリアを積んでいく難しさをあらためて実感しました。不安も大きかったのですが,だんだんと「まあ,なるようにするしかないか」と思いながら,今できることをしっかりやっていこうという覚悟ができました。これから子育てをすることを考えると,ワークライフバランスを考えることはより大切になると思います。そのためには,そのときの状況によって今は何を大切にしなければならないのかをよく考え,夫ともしっかりと方針を擦り合わせていく必要があると思います。今後は家族でよく話し合いながら,今一番大切にしたいことを考え,納得のいく選択をしていこうと思っています。
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