公益社団法人 日本心理学会

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常務理事会から

日本心理学会100周年を見据えて

2019年6月から新しい常務理事会がスタートし,総務を担当することになりました。前期の常務理事会では資格認定という特定の業務を担当していましたので,日本心理学会全体の仕組みには疎いままでいることができましたが,今期は坂上貴之理事長を補佐しながら本学会全体の運営に関わる業務の遂行が役割となりますので,改めてその責任の重さを痛感しています。

このコラムでは,本学会の現況や課題について,各号ごとに各常務理事がそれぞれの立場からご報告やご提案,また,会員のみなさまへのお願いをしていくことになります。次号からは,金井篤子(財務担当),佐藤隆夫(学術担当),鈴木華子(国際担当),津田彰(資格担当),原田悦子(編集担当)各常務理事がこのコラムに登場する予定です。

日本心理学会100周年記念事業

2027年というとまだ先のお話のように聞こえますが,その年に日本心理学会は設立100周年を迎えます。常務理事会では,本学会のこれまでを振り返り,今後を方向づけるような記念事業を計画しようとしていますが,本学会はこれからどこに向かっていこうとしているのか,どこに向かっていくべきか,これらが常務理事会の話題のひとつとなっています。

本学会は1927年に任意団体として設立されましたが,1994年に「社団法人」となり,2011年に「公益社団法人」に移行しました。この公益化は,本学会の今後を方向づける大きな変化でした。本学会の定款第3条にあるとおり,本学会の目的は「心理学の進歩普及を図り,もって我が国の学術の発展に寄与すること」ですが,その手段のひとつとして「会員相互及び内外の関連学会との連携共同を行うこと」が挙げられています。

本学会は,これまでにも学術大会等を通して会員相互の連携共同をはかり,ICP2016の主催や各国とのMOUの締結等を通して海外の関連学会との連携共同を積極的に進めてきましたが,その一方で,国内の関連学会との連携共同については,一般社団法人日本心理学諸学会連合の一会員としての役割を果たしてきたにすぎません。本学会では現在,常務理事会を中心にして,有志の会員のお力もお借りしながら,公益社団法人としての本学会を方向づけるような100周年記念事業を計画しています。そのひとつとして,本学会の公益性を活かして,心理学の進歩普及を図るために国内の関連諸学会の連携共同を強化するためのお手伝いやお膳立てができないか,その具体的方策を模索しているところです。会員のみなさまにも,お知恵,ご意見,ご要望をお寄せいただければ幸いです。

認定心理士30周年記念事業

1990年に82人の認定心理士の資格取得者を出してから,最近では年間3,500人程度の資格取得者を出し続けています。この2018年度末で資格取得者の累計は59,897人になりました。このまま推移すると,30周年を迎える2020年度末には67,000人程度の認定心理士が生まれていることになります。一方で,2017年から始まった認定心理士(心理調査)については,同年に51人,2018年に52名の資格取得者しか出していません。この新しい資格は年間600人程度の取得を見込んで設計されていましたが,実績はその10分の1にも満ちていません。

このような現状を受けて,30周年の記念事業では,認定心理士(心理調査)の資格取得者を増やす事業が計画されています。まず,認定心理士の既取得者は,現在は,認定心理士(心理調査)の資格を取得できませんが,それを取得できるように制度を変更するとともに,認定心理士が,本学会が主催する研修会や講習会を受講することによって認定心理士(心理調査)の資格要件を満たすことができるようにしようとしています。次に,認定心理士(心理調査)の申請方法や資格要件の見直しも検討されています。

2018年に始まった公認心理師の国家資格だけでなく,関連諸学会等が認定しているさまざまな心理学に関連する資格があるなかで,公益社団法人が認定する認定心理士及び認定心理士(心理調査)の資格のあり方が問われています。本学会の公益性を活かすべく,社会で活躍している60,000人を超える認定心理士を対象にした,認定心理士の会の諸企画,シチズン・サイエンス・プロジェクト,シチズン・サイコロジストの奨励等のさまざまな活動が,30周年に向けて展開されています。ご協力お願いいたします。

(総務担当常務理事・日本大学教授 岡隆)

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