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日本心理学会 会員の方

日本看護科学学会・日本心理学会共同企画シンポジウム「個体内比較によるケアエビデンスの創出:シングルケースデザインの挑戦」開催のご案内

オンデマンド視聴のご案内(2024年2月29日(木)まで)(学会員限定/2024年1月17日追記)




このたび公益社団法人日本看護科学学会と公益社団法人日本心理学会の共同企画により,標記のシンポジウムを開催します。

第43回日本看護科学学会学術集会内での開催となります。参加に際しては所定の参加費がかかります。

なお本学会員に対しては,後日無料のオンデマンド配信が行われる予定です。

日本看護科学学会・日本心理学会共同企画シンポジウム
「個体内比較によるケアエビデンスの創出:シングルケースデザインの挑戦」

  • 日時:2023年12月10日(日)14:40-16:10(第43回日本看護科学学会学術集会 第2日目)
  • 会場:下関海峡メッセ 展示見本市会場 東(山口県下関市)
  • 企画者:鎌倉やよい(日本赤十字豊田看護大学)・増田真也(慶應義塾大学)・仲上豪二郎・池田真理・丹野義彦(東京大学)
  • 演者:石井拓(和歌山県立医科大学)・藤巻峻(早稲田大学)・渡邉直美(愛知県立大学)

  • 概要
    ランダム化比較試験(RCT)では,多数の参加者を介入群と対照群にランダムに割り当てて比較することで,独立変数と従属変数の間の因果関係を明らかにしようとする。しかしながら,個体に生じる結果は集団データから得られた平均値と必ずしも一致しないし,個体の変容の過程は平均値では追えないという問題がある。一方,本シンポジウムで取り上げるシングルケースデザイン(SCD)では,個体を対象として,繰り返し測定することで,独立変数の効果を捉えようとする。SCDはケーススタディと混同されることがあるが,RCTと同様の,しかし異なる発想と手続きからなる実験法なのである。

    SCDの特徴は,独立変数による影響の個人差を積極的に探究する点にある。そのため,対象の個人差が大きく,また個別対応を必要とするような医療,福祉の文脈で活用することができる。また参加者が1人であっても成立する研究法であると同時に,個人に合わせて介入方法などを調整できるという柔軟な手法であるため,看護ケアの実践に直結したエビデンスを得る上でも優れている。しかしながら,看護学領域においてSCDが広く普及しているとは言えない。

    そこで本シンポジウムでは,3人の演者によるSCDについての話題提供を行う。まず,SCDについての基本的な考え方と,看護学における適用可能性,注意点について石井拓先生(和歌山県立医科大学)から「シングルケース実験デザインの考え方」についてお話いただき,SCDを用いる際の基本について学ぶ。

    次に,藤巻峻先生(早稲田大学)から「シングルケースデータの評価方法」として,データをどのように分析し,結果を示すのかについてお話いただく。SCDで得られたデータについては,伝統的に視覚的な判断がなされてきた。しかしながら近年,様々な統計分析法が提案され,統計解析ソフトRでもパッケージが開発されていることから,これらについて説明していただく。

    最後に,SCDを用いた具体的な研究として,渡邉直美先生(愛知県立大学)から,「喉頭摘出者の食道発声における構音訓練の構築~シングルケースデザインによる効果の検証~」についてお話いただく。食道発声による「ア行」の発声にはABデザイン,50音の発声には難易度によって3郡に分けた発声行動間多層ベースラインデザインを用いて,最大15点となる従属変数の変化から,独立変数としての介入条件の効果が検証されている。

    本シンポジウムでは,以上のような話題提供を通じて,看護学領域へのSCDへの関心を喚起すると同時に,「個に寄り添う」実践の科学の発展のための討議をしていきたい。
    なお本シンポジウムは,日本看護科学学会・日本心理学会合同シンポジウムとして開催される。

  • 参加方法
    第43回日本看護科学学会学術集会ホームページから,大会へのご参加をお申し込みください。
    参加に際しては所定の参加費がかかりますが,日本心理学会会員に対しては,後日無料のオンデマンド配信が行われる予定です。