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表彰

シチズン・サイコロジスト奨励賞受賞者

シチズン・サイコロジスト奨励賞は,人々の心の健康と福祉の増進に寄与する認定心理士を顕彰することにより,社会への心理学の普及をより一層促進させようとするものです。認定心理士の貢献が社会に広く知られることが日常化したとき,日本における心理学の真の社会連携が達成され,わたしたちは社会などで重要な役割を演じることになります。本賞選考の基準を以下に示します。


対象者:
社会において優れた活動を行い,人々の心の健康と福祉の増進に寄与した者。
資格:
年齢制限なし。認定心理士有資格者で高等教育機関,研究機関に所属しない者。
募集:
自己による応募と本人以外の学会員からの推薦。団体による応募も可。
件数:
とくに定めない。
審査:
認定心理士の会運営委員会委員のうち,応募資格のない者が行う。
評価:
社会における優れた活動を中心に広く評価を行う。
表彰:
賞状・賞金 と記念品を贈呈する。

2024年

2023年11月1日(水)―2024年1月9日(火)の期間に公募し,2件の申請があった。選考委員会において審査し,齋藤 幸夫氏が授賞にふさわしいと判断された。


齋藤 幸夫
受賞理由:齋藤幸夫氏は病院勤務の診療放射線技師として,受診者の放射線被ばくの懸念,不安に対する相談の役割を担われている。相談にこたえるには心理学を学ぶ必要があると考え,その実践において,Person Centered Approachなどのカウンセリングについての学びを意識的に活用し,相談に活かしている。社会において有用な活動であり,今後も引き続き,認定心理士として心理学の知識を基盤とした取り組みをされることを期待して,この実践に基づき,シチズン・サイコロジスト奨励賞の授賞対象とする。

2023年

2022年11月1日(火)―2023年1月9日(月)の期間に公募し,4件の申請があった。選考委員会において審査し,沖縄がん教育サポートセンター (代表 徳元 亮太氏),小松 渓太氏の2件が受賞にふさわしいと判断された。
総評:審査の結果,今年度は,2名の認定心理士に賞を授与できることとなりました。いずれも地域の学校に根ざした重要な活動で,今後の発展も大いに期待できると,全員一致で授賞を決めました。次年度からも,認定心理士としての心理学の知識や技能を活かした取り組みを積極的に顕彰させていただきたく,多くのご応募をお待ちしております。


沖縄がん教育サポートセンター (代表:徳元 亮太)
受賞理由:徳元 亮太氏自身が医療従事者であり,かつがん患者であることを地域に役立てようと,地域の学校で「がん教育」を実践する団体を立ち上げ,自身の体験を伝えていく活動をされている。当事者による実践活動としてがん教育の推進は、地域の人々,特に子ども達の健康づくりに寄与する,社会において優れた活動と評価できる。今後の活動の中で,認定心理士としての心理学の知識や技能を活かした取り組みをされることを期待して,シチズン・サイコロジスト奨励賞の授賞対象とする。

小松 渓太
受賞理由:小松 渓太氏は中学校の常駐相談員として,相談業務を通して生徒の心理的支援に従事されている。その取り組みを第2回社会連携セクションで発表されており,さらに「中学校常駐相談員としての継続的心理支援」というタイトルで論文にまとめている。相談員としての支援方針,支援事例,その成果と課題をまとめられており,学校現場で行われている取り組みを広く共有しようとされている点は大いに評価できる。他の認定心理士や,これから認定心理士を目指す方々にとって,認定心理士として社会に貢献する実例となっている点も評価できる。今後の活動において,心理学の専門家から助言を得るなどの連携を深めて,心理学の専門性によるより強固な基盤が築かれることを期待して,シチズン・サイコロジスト奨励賞の授賞対象とする。

2022年

2021年11月1日(月)―2022年1月9日(日)の期間に公募し,1件の申請があった。選考委員会において審査し,該当者なしと判断された。



2021年

2020年11月1日(日)―2021年1月9日(金)の期間に公募し,4件の申請があった。選考委員会において審査し,鍋島 まゆみ氏が授賞にふさわしいと判断された。


鍋島 まゆみ
受賞理由:鍋島 まゆみ氏は,矯正心理分野において更生保護,薬物依存,いのちの電話を始めとした,多様な心理社会的課題に関する実践活動に従事してきた。実践活動に関連する研究発表も多く行っており,社会においてシチズン・サイコロジストとして非常に優れた活動を行っている。いずれの活動も,人々の心の健康と福祉の増進に寄与する社会的意義のある活動だと思われる。さらに,社会連携セクションでの発表やオンライン再現イベントでの報告を行うことで,社会に対する認定心理士の役割を有資格者に広めることにも貢献している。このような鍋島氏の活動は認定心理士が活躍する領域を新たに開拓したものであり,以上の理由から,シチズン・サイコロジスト奨励賞の受賞に相応しいと判断した。

2020年

2019年11月1日(金)―2020年1月23日(木)の期間に公募し,3件の申請があった。選考委員会において審査し,羽藤 律氏が授賞にふさわしいと判断された。


羽藤 律
受賞理由:羽藤 律氏は,工学,音楽学と心理学という複数の観点を活用し,福祉施設での音楽療法を含む多様な取り組みを通じて,知的障害・発達障害のある方への包括的な支援を行っている。また,その経験を日本心理学会音楽心理学研究会論文集にて発表するなど,社会への情報発信も行っている。学部で心理学を修得した後,その知識と技術を隣接する領域に拡充するとともに,社会のニーズに持続的に適用してきた姿勢は科学者-実践家モデルとして卓越している。自立訓練事業と就労移行支援事業を組み合わせた多機能型事業所にて,心理学の学びで得た知識・技術を活用しながら障害を有する方の心の健康と福祉の増進に寄与する活動は,シチズン・サイコロジストとしてのプレゼンスを大いに高めるものである。以上の理由から,シチズン・サイコロジスト奨励賞の受賞に相応しいと判断した。

2019年

2018年11月1日(木)―2019年1月9日(水)の期間に公募し,17件の申請があった。選考委員会において審査し,池田 琴世氏,発達凸凹の集い「だんだん」(旧:アスペ・発達凸凹の集い「優しい時間」)の2件が授賞にふさわしいと判断された。


池田 琴世
受賞理由:池田 琴世氏は,ICTを活用し,オンライン上での認定心理士間の交流を実現する先進的な取り組みを行った。同氏が企画,運営する「Net de 交流! 認定心理士」は第8回を数え,各回に講師を招いて認定心理士有資格者への有益な情報提供を行っている。このイベントには国内ばかりでなく海外在住の認定心理士も参加し,参加者も回を追うごとに増加しており,イベントの質の高さがうかがえる。また,フォローアップ交流会として位置づけられる「Net de 交流!認定心理士カフェ」は,認定心理士間の相互交流を可能にし,社会での心理学の醸成を促すものと考えられる。このように,アカデミアに市民が積極的にかかわり,さらに多くの市民を巻き込んでいく気風をつくった点において,池田氏の活動は,心理学の普及による健康と福祉の増進に寄与する優れたものであると考えられる。以上の理由から,シチズン・サイコロジスト奨励賞の受賞に相応しいと判断した。

発達凸凹の集い「だんだん」(旧:アスペ・発達凸凹の集い「優しい時間」)
受賞理由:発達凸凹の集い「だんだん」(旧:アスペ・発達凸凹の集い「優しい時間」)は,発達障碍を有する方やそのご家族,そして支援者の方々の交流の場を長年に渡り継続的に提供してきた。さらに,様々な情報発信や講演活動も行っており,その活動内容は,広く人々の心の健康に寄与する社会的貢献度の高いものとなっている。この実践に際し,認定心理士資格取得の際に学んだ心理学の知見が活かされている。当事者に寄り添いながらも公平,冷静に支える力を認定心理士資格取得の過程で養い,資格取得後は学問的な裏付けをもとにコミュニティ運営を行ってきた。認定心理士として社会に根差した「交流の場」を継続的に提供した点が,今回の受賞に際し,認定心理士の資格特性を適した活動としてもっとも高く評価された点である。以上の理由から,シチズン・サイコロジストを受賞する団体として相応しいと判断した。