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表彰
国際賞 奨励賞受賞者―奥村 優子(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
奥村 優子
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
評価理由
奥村 優子氏は,乳幼児における社会的認知の発達,特に発達早期の社会的学習および道徳性に関するテーマを中心として精力的に研究を行っている。乳児の視線追従行動と言語発達との関連に焦点を当てた一連の研究では,工夫を凝らした実験的手法に独創性が認められる。具体的には,乳児の視線追従能力と物体認識能力とを区別した検討,エージェントがヒトの場合とロボットの場合との比較等を,工夫された実験デザインで実施している。また,ナチュラルペダゴジー理論を扱った直近の研究では,送り手が乳児に送るシグナルの効果に関する精緻な検討に基づき,学習理論をめぐる対立的な議論を決着へと導く有力な知見を示している。これまでの研究成果は14 編の国際学術論文として刊行され,うちCognition 誌に掲載された3編を含む6 編が,奥村氏を筆頭著者とするものである。総じて,奥村氏は独創性と堅実さを兼ね備えた魅力的な研究を着実に進展させており,国際舞台での今後の一層の活躍が大いに期待できる。
受賞者のコメント
日本心理学会国際賞奨励賞という大変名誉ある賞をいただき,大変嬉しく思っています。誠にありがとうございました。大変光栄に思うと同時に,身の引き締まる思いです。研究にご協力いただいた皆さま,ご指導いただいてきた先生方,すばらしい先輩,後輩の皆さまに心より感謝申し上げます。
乳幼児の社会的認知をテーマとして,修士課程から研究を続けてきました。私は去年 (2020年) 子どもを出産し,1歳になる娘がいます。これまでも乳児の持つ様々な能力がわかるのは面白かったのですが,実際に言葉を喋れない赤ちゃんを目の前にすると,「この子は,今,何がわかって,どういう風に世界を見ているんだろう」といった疑問がさらにわいてくるようになりました。基礎研究というのは,すぐに何かの役に立つことはないかもしれませんが,子どもがどういう能力をもち,どう発達させていくのかを解明することは面白いなぁとさらに感じています。まだまだ未熟な研究者ではありますが,今回の受賞を励みに,ますます専心して研究を進めていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。