刊行物のご案内
心理学研究 第89巻 第1号(2018年4月)
ページ | 1-11 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | サイコパシー特性と非道徳的行動の関係に対するサポートの調整効果 |
著者 | 柳田 宗孝・荒井 崇史・藤 桂 |
要約 | (非公開) |
キーワード | (非公開) |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16003 |
ページ | 12-21 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | ステレオタイプ抑制における反ステレオタイプと非優位ステレオタイプの役割 |
著者 | 山本 真菜・岡 隆 |
要約 | ステレオタイプを抑制すると,かえってそのステレオタイプの使用が促進されるという,逆説的効果が生じる。ステレオタイプ抑制による逆説的効果のこれまでの研究では,逆説的効果の低減方略として,代替思考の使用の効果が検討されている。本研究は,優位ステレオタイプを抑制する際に,代替思考として反ステレオタイプ的特性,上位の非優位ステレオタイプ的特性および下位の非優位ステレオタイプ的特性が使用されることの効果を検討した。まず,参加者は語彙判断課題を行った。この課題によって,反ステレオタイプ的特性,上位の非優位ステレオタイプ的特性または下位の非優位ステレオタイプ的特性が活性化されそれぞれのステレオタイプが代替思考として利用されやすくなっている状態の条件と,ステレオタイプが活性化されない条件が作られた。次に,ステレオタイプ抑制を操作するための文完成課題を行った。最後に,最初に行なったものと異なる語彙判断課題を行い,ステレオタイプ関連語または無関連語への反応時間が測定された。その結果,上位・下位にかかわらず非優位ステレオタイプ的特性が代替思考として使用されると逆説的効果が低減されやすいことが示された。代替思考の活性化の方法と,優位ステレオタイプ抑制の際の代替思考としての非優位ステレオタイプ的特性の役割について考察した。 |
キーワード | ステレオタイプ抑制,逆説的効果,代替思考,反ステレオタイプ,非優位ステレオタイプ |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16020 |
ページ | 22-28 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | 食品のネガティブイメージにステレオタイプ抑制が及ぼす影響 |
著者 | 田戸岡 好香・樋口 収・唐沢 かおり |
要約 | 本研究は,特定の産地の食品に対するネガティブなイメージを考えないようにしようと抑制することがどのような帰結を生むのかを検討した。東日本大震災以降,食品の安全性に対する消費者の懸念は今も続いている。ステレオタイプ的思考を抑制するとステレオタイプのアクセスビリティが高まったり使用が増加する現象(リバウンド効果)を前提とすると,福島県産食品のネガティブなイメージを抑制することが,食品への懸念が続いているひとつの理由かもしれない。本研究では,はじめに,被災地で生産された食品の印象を記述するよう参加者に求めた。その際,半数の参加者にはネガティブなイメージに基づいて書かないよう教示し,もう半数の参加者にはこうした抑制教示を与えなかった。その後,同じ産地の他の食品に対する印象を評定した。実験の結果,感染症に脅威を感じにくい場合,事前にネガティブ思考を抑制した条件は統制条件よりも食品をネガティブに評定するリバウンド効果が生起した。他方で,感染症に脅威を感じやすい場合,元々食品に対してネガティブなイメージを意識し,活性化しやすいため,抑制によるリバウンド効果は生起しなかった。今後は,抑制研究の観点から風評被害の解決策について検討することが望まれるだろう。 |
キーワード |
東日本大震災,ステレオタイプ抑制,リバウンド効果,感染症の脆弱性認知 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16039 |
ページ | 29-39 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | ソーシャルスキルの縦断的変化――中学生を対象として―― |
著者 | 西村 多久磨・福住 紀明・藤原 和政・河村 茂雄 |
要約 | 本研究では,中学生が使用するソーシャルスキルの縦断的変化が検討された。公立中学校5校の505名(男子266名,女子239名)に対して,調査対象者が中学1年次から3年次まで,年に一度ずつ,質問紙調査が実施された。潜在成長曲線モデルによる検討の結果,全体的な傾向としては,友だち関係を発展させたり,自分の主張を述べたりすることなどを表すかかわりのスキルは年々低下する一方で,相手のことを気遣ったり,集団のルールを守ったりすることなどを表す配慮のスキルは向上することが示唆された。また,かかわりのスキルと配慮のスキルの変化は連動していることも示された。ただし,成長混合分布モデルを行った結果,かかわりのスキルの低下を特徴とするプロフィールが抽出された一方で,配慮のスキルとかかわりのスキル共に増加したプロフィールが抽出された。さらに,両スキルにおいては,ソーシャルスキルの使用の個人間差が生じていることも示唆された。加えて,多母集団同時・成長混合分布モデルではソーシャルスキルの縦断的変化について性別差に着目していく必要性も示された。全体としては,かかわりのスキルを促進する指導が重要であることが示されたが,ソーシャルスキルの使用の縦断的変化およびそのバランスに着目すると,この指導は特に女子において必要であることが示唆された。 |
キーワード | ソーシャルスキル,潜在成長曲線モデル,成長混合分布モデル,縦断調査,中学生 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16048 |
ページ | 40-49 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | 感謝された後に向社会的行動が起こるまでの心理過程 |
著者 | 蔵永 瞳・樋口 匡貴・福田 哲也 |
要約 | 本研究の目的は,他者から感謝されて向社会的行動が起こるまでの心理過程を明らかにすることであった。予備調査の結果,感謝されたときの心理変数として6カテゴリ,感謝されなかったときの心理変数として5カテゴリが得られた。本調査では,感謝されたとき/されなかったときの心理変数と向社会的行動を測定した。本調査1では,友人に向社会的行動を行ったときに感謝された/されなかった経験について想起してもらった。本調査2では,見知らぬ人からの同様の経験について想起してもらった。重回帰分析の結果,感謝された後に関しては,「結果への肯定的反応」が向社会的行動一般を促進することが示された。また,感謝されなかった後に関しては,「感謝要望」が別の他者への向社会的行動を促進することが示された。 |
キーワード | 援助行動,道徳的強化子機能,向社会的行動,感謝される,感謝されない |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16070 |
ページ | 50-60 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | 都市的環境と居住者の人生満足度――都市生活環境尺度に基づく検討― |
著者 | 宮崎 弦太・佐伯 大輔・矢田 尚也・池上 知子 |
要約 | 居住環境の都市度が居住者の主観的幸福感に及ぼす影響を検討した先行研究では,これまでに一貫した結果が得られていない。本研究では,都市的生活環境の多面的な性質を測定するための都市生活環境尺度を作成することで,都市生活のどのような特徴が居住者の人生満足度を増大あるいは低下させるのかを検討した。日本の都市的地域と村落的地域に居住する人を対象にした2つのオンライン調査(各調査の参加者は1,000名)を行った。調査参加者は都市生活環境尺度と人生満足度尺度に回答した。調査の結果,都市生活環境は,施設の充実性,生活上の便利さ,生活上の不快さ,交通の利便性の4つの側面によって特徴づけられること,そして,それぞれの特徴は,居住者の人生満足度に異なる影響を及ぼすことが明らかになった。具体的には,施設の充実性は居住者の人生満足度を増大させていたのに対し,生活上の便利さは低下させていた。生活上の不快さと交通の利便性は,人生満足度に影響していなかった。これらの結果は,都市化が居住者の主観的幸福感に及ぼす影響を十分に理解するためには,都市生活環境の多面的な性質を測定することが重要であることを示している。 |
キーワード | 都市化,都市生活環境尺度,人生満足度,主観的幸福感 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16074 |
ページ | 61-70 |
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種類 | 原著論文 |
タイトル | 分冊版調査と短縮版調査の統計学的比較 |
著者 | 尾崎 幸謙 |
要約 | 心理尺度の短縮版は,回答者の負担を軽減することができるため,構成概念を扱う心理学研究でしばしば使用される。しかしながら,短縮版は元々の尺度の一部の項目しか利用しないため,尺度の妥当性については疑問が残る。本研究では,短縮版と同じように対象者1名あたりの回答項目数を減らしつつ,尺度の妥当性を保つことができると考えられる分冊版について説明し,確認的因子分析の文脈で短縮版との統計的比較をシミュレーション研究および実データ解析を通じて行った。特に,シミュレーション研究では,尺度構成が行われたデータと,短縮版のデータおよび分冊版のデータは異なるという状況を考慮した。その結果,短縮版よりも分冊版の方がバイアスが小さいことが分かった。このことは,分冊版の有効性を示している。 |
キーワード | 調査方法論,分冊版調査,短縮版調査,確認的因子分析 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#17004 |
ページ | 71-81 |
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種類 | 研究資料 |
タイトル | 家庭裁判所係属少年における機能的攻撃性尺度の妥当性の再検討 |
著者 | 嶋田 美和・遊間 義一 |
要約 |
機能的攻撃性は,衝動的攻撃性に比べ,非行を含む児童期と青年期の深刻な反社会的行動と強く関連することが明らかにされている。大渕・山入端・藤原(1999)によって作成された機能的攻撃性尺度(FAS)は,機能的攻撃性を回避・防衛,強制・影響,制裁・報復,同一性という4因子に細分化して把握するが,妥当性が十分に確認されていないという課題が残されている。そこで,本研究では,家庭裁判所に送致された382人の非行少年を対象に,FASの3種類の妥当性(因子的妥当性,交差妥当性,基準関連妥当性)を検証した。その結果,いずれの妥当性も確認された。確認的因子分析の結果,FASは,大渕他と同様,4因子から構成されるが,因子負荷量を1に固定するよりも,自由推定する方がデータにより適合することが明らかになった。4つの母集団(年齢,性別,地域及び非行性)について多母集団同時分析を行った結果,全ての母集団において測定不変性が保たれていることが確認された。ウィルコクスン順位和検定の結果,粗暴群は,非粗暴群に比べて3因子(強制・影響,制裁・報復,同一性)の因子得点が有意に高いが,回避・防衛の因子得点に有意差はないことが示された。 |
キーワード | 妥当性,機能的攻撃性,非行少年 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16208 |
ページ | 82-92 |
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種類 | 研究資料 |
タイトル | 日本語版嫌悪尺度(DS-R-J)の因子構造,信頼性,妥当性の検討 |
著者 | 岩佐 和典・田中 恒彦・山田 祐樹 |
要約 | 本研究では改訂嫌悪尺度日本語版(DS-R-J)を開発した。3つの異なるサンプルからなる1,063名(平均年齢21.64才,SD = 7.33, range = 18–77; 男性581名,女性482名)が研究に参加した。まずサンプル1(n = 481)とサンプル2(n = 492)を対象に,DS-R-J,嫌悪傾向と嫌悪感受性,不安感受性,状態不安と特性不安,感情状態,強迫症状を測定するための質問紙尺度を実施した。DS-R-Jに関する探索的因子分析と確認的因子分析の結果から,中核的嫌悪,動物性嫌悪,身体的・精神的汚染嫌悪の3因子構造が採用された。また,他の変数との相関関係から,構成概念妥当性についても一定の支持が得られた。さらに,DS-R-Jの再検査信頼性を検証するために,サンプル3(n = 90)を対象とした調査を行った。その結果,DS-R-Jは十分な水準の再検査信頼性を有することが確認された。これらの結果から,DS-R-Jは,良好な信頼性と妥当性を有する嫌悪感受性の測定法だと結論づけられた。 |
キーワード | 嫌悪感受性,因子構造,信頼性,妥当性 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16230 |
ページ | 93-103 |
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種類 | 研究資料 |
タイトル | 大学生における子育ての社会化志向尺度の作成 |
著者 | 扇原 貴志 |
要約 |
本研究の目的は大学生における子育ての社会化志向尺度を作成することであった。子育ての社会化とは,親のみが子育てを担うのではなく,社会全体が子育てを支えることをいい,子育ての社会化志向とは,それを目指す態度のことをいう。大学生661名に質問紙調査を実施した。子育ての社会化志向尺度について因子分析を行った結果,「子ども・子育て問題解決志向」,「子ども・子育てへの忌避感」,「家庭での子育て志向」,「税負担の受容」の4因子が抽出された。全体としては,子育ての社会化志向は女性の方が高く,身近に子どもや子育てをしている人が存在する者の方が高かった。既存尺度との相関を検討した結果,社会への関心,社会考慮,養護性が高いほど,子育ての社会化志向は高かった。この結果は子育ての社会化志向尺度の併存的妥当性を示すものであると考察された。 |
キーワード | 子育ての社会化,子育ての社会化志向,尺度作成,大学生 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16234 |
ページ | 104-110 |
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種類 | 研究報告 |
タイトル | 福島原発事故後に仮設住宅等に転居している児童のメンタルヘルス |
著者 | 三浦 正江・三浦 文華・岡安 孝弘 |
要約 |
本研究の目的は,福島第一原子力発電所事故の影響によって仮設住宅等に転居している児童のメンタルヘルスの状態について,それ以外の生活状況にある児童と比較することであった。避難指示区域から避難して福島県内の仮設住宅等で生活している児童28名(小学4―6年生),福島県に居住している非避難児童106名(同4,5年生),非被災地である埼玉県に居住している児童321名(同4-6年生)を対象に,ストレス反応,日常生活におけるポジティブイベント,ポジティブ感情,およびソーシャルサポートの測定を行った。その結果,仮設住宅等に転居している児童は,いじめや遊びに関連するストレッサーの経験頻度が高く,家族や習い事に関するポジティブイベントの経験頻度が低いこと,担任教師や友人のサポート知覚が低いことが示された。一方,ストレス反応やポジティブ感情には生活状況による有意な違いは認められなかった。これらから,仮設住宅等に転居した児童のメンタルヘルスを良好なものとするためには,転居先で親しい友人関係を形成できるような環境づくりや教師によるサポートが必要であることが示唆された。 |
キーワード | 福島原発事故,仮設住宅,メンタルヘルス,ソーシャルサポート,児童 |
個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal89-1#16333 |