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心理学研究 第92巻 第2号(2021年6月)

ページ (準備中)
種類 原著論文
タイトル 性的過大知覚バイアス――恋愛プライミングと曖昧なメッセージが対人認知に及ぼす影響――
著者 小野 由莉花・及川 昌典・及川 晴
要約 現代社会では男女平等であることが尊重される。しかし,男女関係のもつれは依然として問題視されている。この要因として,本研究では,恋愛に関する思考の活性化が無意識のうちにステレオタイプ的な性役割期待の顕現性を高め,曖昧なメッセージの解釈に性差を生じさせている可能性を検討した。研究1では,シナリオを注意深く分析した場合(意識的なプロセス),恋愛プライミング条件の男性参加者は,統制条件の男性参加者と比較して,曖昧なメッセージに対してよりポジティブな感情反応を示し,メッセージの送り手の魅力を高く評価していた。この効果は,現実の場面での即時的な反応(無意識的なプロセス,研究2)においても確認された。一方で,女性参加者は曖昧なメッセージに対して不信感を示していた。これらの結果は,男女平等の意識を高めても,恋愛に関する思考の活性化がステレオタイプ的な性役割期待を無意識のうちに高めることで,男女における曖昧なメッセージの解釈に差を生じさせる可能性を示唆している。
キーワード 恋愛プライミング, 曖昧なメッセージ,性役割期待,性的過大知覚バイアス
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#19042
ページ (準備中)
種類 原著論文
タイトル 自己主体感の個人差が主語省略文理解時の視点取得に及ぼす影響
著者 新国 佳祐・里 麻奈美・邑本 俊亮
要約 日本語では,「今,りんごを切っているところです。」のように,しばしば文の主語が省略される。このような主語省略文を理解する際,話者は文理解に伴う文内容のメンタルシミュレーションの過程において,特定の視点の取得を行わないことが先行研究によって示されている。本研究では,主語省略文理解の際の視点取得の選好性には個人差が存在し,かつそのような視点取得の個人差は自己主体感(sense of agency)によって予測されるという仮説を立て,文-写真一致課題と主体感の測定を行う実験を実施した。文-写真一致課題では,主語省略文と,行為者または観察者視点から行為事象を描写する写真との一致不一致を判断させた。実験の結果,主体感が比較的安定している参加者は,行為者視点の写真よりも観察者視点の写真への反応時間が有意に短かった。一方で,主体感が比較的不安定な参加者には,行為者・観察者いずれの視点への選好性もみられなかった。これらの結果から,主体感の不安定性が引き起こすと考えられる行為主体の帰属の曖昧性が,文理解に伴う行為事象のメンタルシミュレーションの過程にも反映されると結論した。また,主体感の安定性が高い個人がなぜ観察者視点を好むのかについても議論された。
キーワード 文理解,主語省略文,視点取得,主体感,日本語
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#19045
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種類 原著論文
タイトル 窃盗症の発症過程における認知と行動の変化
著者 浅見 祐香・野村 和孝・嶋田 洋徳・大石 裕代・大石 雅之
要約 本研究では,窃盗行動を開始してから窃盗症の発症に至る過程における,認知的および行動的な変化の特徴を探索的に検討し,窃盗症の心理学的発症過程を明らかにするとともに,個人的利得を目的とした万引き犯との比較も行なうことで,その異同を明らかにすることを目的とした。窃盗症患者15名と,窃盗罪で逮捕された経験のある万引き経験者4名,他の依存症患者6名の計25名を対象に,半構造化面接を行ない,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)によって分析した。その結果,24の概念と5つのカテゴリーが生成され,窃盗症患者の心理学的移行過程として,行動の開始の段階,窃盗行動が拡大する行動頻度拡大の段階,窃盗行動への従事そのものから得られるメリットが物品獲得のメリットを上回る病的窃盗の段階,習慣化していつもの店で自動的に窃盗行動が引き起こされる窃盗の自動化の段階といった4期の質的に異なる段階を内包したモデルが作成され,窃盗からの脱却の段階も確認された。一方で,万引き経験者については,病的窃盗の段階には移行していないことが明らかにされた。このことから,窃盗症の発症においては,行動の開始から同一線上にある一連の過程を経ており,病的窃盗の段階から依存段階に入ると考えられる。
キーワード 窃盗症,万引き,M-GTA,依存症
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#19053
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種類 原著論文
タイトル 援助想像が援助意図に及ぼす影響――イラスト刺激と文章刺激の比較――
著者 豊田 雪乃・小林 正法・大竹 恵子
要約 本研究は,援助想像により援助意図が向上する条件やその促進効果の一般性を明らかにするために,援助場面を非言語呈示および言語呈示し,援助意図に及ぼす影響を比較検討することを目的とした。参加者は援助想像群,非援助想像群,統制群にランダムに割り当てられた。研究1では,参加者は,文章刺激について評定を行った。研究2では,参加者は本研究で開発したイラスト刺激について評定を行った。2つの研究を通して,援助想像群は他の2群よりも援助意図が高いという共通した結果が得られ,このことは刺激の種類を超えて援助想像が援助意図を高める効果を持つことが示されたと考えられる。また,イラスト刺激の場合においてのみ,被援助者の感情状態の評定が援助意図に影響を及ぼすこと,イラスト刺激は文章刺激に比べて個人の想像力や過去の体験が援助意図に影響しにくいという特徴が示され,刺激の種類によって援助意図に影響を及ぼす要因が異なるという新たな知見が明らかにされた。
キーワード 援助想像,援助意図,イラスト,非言語刺激,言語刺激
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#20002
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種類 原著論文
タイトル 「喉まで出かかっている」ときの瞬目の抑制と発生
著者 福田 恭介・水口 美咲・松尾 太加志・志堂寺 和則・早見 武人
要約 Tip of the Tongue(TOT)とは,よく知っているはずの人や物なのに,その人や物の名前が出てこないという現象である。TOT状態では,その人物に関連する周辺情報を元に,記憶システムに頻繁にアクセスするといった処理活動を行っていることが示されている。瞬目は,情報を待ちかまえたり入力・処理したりしているときは抑制され,処理終了とともに発生することが示されている。しかしながら,瞬目とTOT状態との関連はまだ示されていない。本研究では,TOT状態において瞬目の抑制と発生のタイミングがどのように変化するかを調べた。インターネット上の有名人の顔写真と,無名の一般人の顔写真を混ぜ合わせて個別に呈示した。実験参加者の課題は,顔写真呈示後,回答刺激が呈示されたときその人の名前を言ってもらうことであった。実験参加者の反応は3つに分類された。それは,「知っている」条件,「知っているけど名前が出てこない」TOT条件,「知らない」条件であった。その結果,「知らない」条件における瞬目は,回答刺激を待ちかまえているときもっとも抑制された。それに対してTOT条件では瞬目がもっとも発生した。これらのことから,瞬目の抑制と発生は,記憶システムのアクセス処理と関連していることと結論づけた。
キーワード 瞬目抑制,瞬目発生,喉まで出かかっている現象,認知処理過程,瞬目時間分布
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#20023
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種類 研究資料
タイトル 両親関係の情緒的安定性が青年の適応に与える影響――日本語版SISの作成を通して――
著者 廣瀬 愛希子・濱口 佳和
要約 本研究の目的は,Security in the Interparental Subsystem Scales(SIS)の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。SISは,子どもが両親間葛藤時の反応を自己評定することで両親関係の情緒的安定性を測定する尺度である。また本研究は,情緒的安定性理論(EST)で仮定されている,情緒的安定性が両親間葛藤と子どもの適応間を媒介するというモデルを検討した。12―18歳の中高生682名(平均年齢14.80歳,SD = 1.50)に質問紙調査を実施した。確証的因子分析の結果,日本語版SISは原版と同様の因子構造をもち,一定の信頼性と妥当性があることが確認された。媒介分析の結果,両親間葛藤と不安・抑うつおよび攻撃的行動間において,両親関係の情緒的不安定性が間接効果をもつことが明らかになった。これらの結果から,ESTの理論モデルが日本においても適用できることが示された。
キーワード 両親間葛藤,情緒的安定性,青年,抑うつ,攻撃
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#19229
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種類 研究資料
タイトル 青年期前期の援助評価に対する情緒的援助期待の影響
著者 天井 響子
要約 本研究は,いかなる場合に情緒的援助要請が心理的適応にポジティブにはたらき得るのかという問いに対し,援助要請時に持つ相手への期待(情緒的援助期待)をひとつの要因として仮定し,援助要請行動,情緒的援助期待,および実際に受けた援助に対する評価の関連を検討したものである。研究1では,中学生500名を対象としたweb調査により,5因子(受容期待,再解釈期待,正当化期待,楽観視期待,気晴らし期待)から成る情緒的援助期待尺度が作成された。研究2では中学生1,007名を対象に質問紙調査を実施し,階層的重回帰分析および単純傾斜分析により,援助評価に対する援助要請行動と情緒的援助期待の直接効果と交互作用効果を検討した。その結果,再解釈期待が高い場合は情緒的援助要請をするほど他者からの支えを多く知覚する等の交互作用が有意であった。また,情緒的援助要請行動の頻度が直接効果を示すのは4因子ある援助評価のうち「他者からの支えの知覚」のみである一方,再解釈期待が「問題状況の改善」と「他者からの支えの知覚」に,正当化期待が「対処の混乱」に関連を示すことから,情緒的援助要請行動そのものだけでなく,援助者に何を期待していたかが実際の援助に対する満足感を左右する可能性が示唆された。今後の課題としては,援助者との相互作用のプロセスや適応的変化の検証,多様なコーピング方略との関連を踏まえた縦断調査の必要性等が挙げられた。
キーワード 中学生,援助要請,情緒的援助,援助評価,期待
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal92-2#19233