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心理学研究 第95巻 第6号(2025年2月)

種類 原著論文
タイトル 多党制社会における感情的分極化の発生――道徳的確信の役割に着目して――
著者 笠原 伊織・三浦 拓海ガナー・唐沢 穣
要約 政治的態度を「正しいか間違っているか」という道徳的問題として捉えることは,感情的分極化の発生における重要なリスク要因と考えられる。一方,感情的分極化に関わる心理的変数について,多党制の環境下,特に日本などアジア地域における実証研究は未だ少ない。本研究では,日本人の党派認識が保守系・リベラル系の政党に分かれ,各党派への感情間に分極化の傾向が観察されること,道徳的確信に伴ってこの傾向が深刻化することを示した。また,感情的分極化の別側面として,対立党派の他者への態度について検討した。具体的には,道徳的確信が対立党派の他者との社会的距離および援助意図や危害意図に及ぼす影響を検討した。結果,社会的距離についてのみではあるものの,道徳的確信に伴い増大する傾向が観察された。探索的分析の結果,政党への感情における分極化の程度が対立党派の他者への社会的距離や援助意図,危害意図を予測し,一般的共有現実感の低さが各関係を媒介していることが示された。以上の結果を踏まえ,日本での感情的分極化の発生について議論する。
キーワード 感情的分極化,多党制,態度,道徳的確信,対人関係
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#22045
種類 研究資料
タイトル ABC法による一問一答形式の質的研究の飽和率と遭遇率の推定
著者 馬 景昊・豊田 秀樹・大橋 洸太郎
要約 質的データの分析において,網羅的な知見の収集は重要とされており,その一指標として飽和率が挙げられる。一問一答形式の質的データに対する飽和率の量的推定法として,ジップ分布を利用した方法が存在するが,この方法では飽和率が過大に推定される可能性が指摘されている。この問題を解決するために,本稿ではバイアスの少ない飽和率推定法としてapproximate Bayesian computation(ABC)法を用いる新たなアプローチを提案する。また,シミュレーションを通して新しい推定方法と既存の方法との間のバイアスを比較し,ABC法による推定がより精度が高いことを実証した。さらに,実際の運用場面での応用例を通じて,両方法の異同を比較した。
キーワード 近似ベイズ計算,自由記述,飽和率,寡占度,ジップ分布
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#23211
種類 研究資料
タイトル 子どものいじめ防止に向けた保護者の自己効力感向上のためのプログラムの検討
著者 杉本 希映・飯田 順子・遠藤 寛子・青山 郁子
要約 近年,子どものいじめ問題における保護者の役割が注目されている。本研究では,保護者向けいじめ予防プログラムにより,その効果としていじめに特化した保護者の自己効力感が変化するかを検証することを目的とした。研究1では,小・中学生の子どもを持つ保護者724名を対象にアンケート調査を実施し,「保護者のいじめについての知識尺度」と「いじめに対する保護者の自己効力感尺度」を作成した。その結果, 2つの尺度の信頼性と妥当性が確認された。研究2では,研究1の結果をもとに,保護者向けのいじめ予防プログラムを作成し,小学生の子どもを持つ保護者47名に介入研究を実施し,「いじめに対する保護者の自己効力感」が上昇するという効果が示された。これらの結果から,保護者向けのいじめ予防プログラムの意義と課題が考察された。
キーワード いじめ,保護者,自己効力感,予防プログラム
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#23212
種類 研究資料
タイトル 日本語版道徳不活性化尺度の開発
著者 渡邉 健蔵・濱口 佳和
要約 本研究の目的は中高生を対象にBanduraの道徳不活性化尺度の日本語版を作成し,信頼性及び妥当性を検討することであった。質問紙調査は,中高生1,262名を対象に実施された。その中で,分析対象とされた1,081名に確認的因子分析を実施した結果,原版と同様に1因子構造であり,性別の弱測定不変性,信頼性及び妥当性が確認された。これらの結果から,日本語版道徳不活性化尺度が日本の中高生に適用可能であり,男女において同様の尺度が使用可能であることが示された。
キーワード 道徳不活性化,攻撃行動,青年期
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#23214
種類 研究資料
タイトル 日本語版Expectancy-Value-Cost Scaleの作成
著者 三和 秀平・解良 優基
要約 本研究では,期待-価値-コスト (Expectancy-Value-Cost: EVC) を簡易的に測定する日本語版 Expectancy-Value-Cost Scale を作成し,その妥当性を検証した。数学と英語の教科を想定して789名の小学生,中学生を対象にweb調査を実施した。確認的因子分析の結果,EVCがそれぞれ独立したモデルの適合度が良く,先行研究の結果が再現された。また,他の変数との相関も予想通りの結果が得られ,尺度の妥当性が確認された。加えて,数学のEVCと数学の学習意図との関連は強い一方で,数学のEVCと英語の学習意図との関連が弱くなる傾向がみられ,教科により弁別可能であり,多様な教科に応用可能なことも示唆された。
キーワード 期待,価値,コスト,動機づけ,尺度作成
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#23219
種類 研究報告
タイトル 視線並びに矢印の空間適合性効果に課題要求が及ぼす影響
著者 吉崎 一人・加藤 公子
要約 近年,空間ストループ課題において,視線と矢印が逆の空間適合性効果をもたらすことが示されている。左右何れかに呈示された矢印や視線の方向を判断させる課題(方向同定課題)において,矢印ではこれまで確認されている通常の空間適合性効果を示し,視線は逆の空間適合性効果(不一致条件の方が一致条件よりも反応時間が短い)を示すことが明らかになっている。本研究では,逆空間適合性効果がターゲットの種類(視線と矢印)及び課題要求によって変動するかどうかを検討した。44名の参加者が位置同定課題と方向同定課題を行った。その結果,方向同定課題では両ターゲット間で,空間適合性効果に乖離が認められ,視線で逆空間適合性効果が,矢印で通常の空間適合性効果が観察された。これに対して位置同定課題では,ターゲットに関係なく通常の空間適合性効果が観察された。今回の結果は,ターゲットの方向判断が要求される事態において,社会的手がかりとしての視線の特異性が明らかになることを示唆した。
キーワード 社会的認知,視線,空間適合性効果,課題要求
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#23316
種類 研究報告
タイトル 代替的な下位目標の追求を促すには?――「目標の階層性」に着目して――
著者 外山 美樹・長村 圭吾
要約 先行研究では,上位目標に関連した下位目標の達成に失敗すると,代替的な別の下位目標の追求が弱まることが示されている。この現象に対して本研究では,「上位目標と下位目標の関係性(すなわち目標の階層性)を意識づけることで,下位目標の未達成時に,別の下位目標の追求が強くなる」という仮説を検証した。研究1では成人(n = 421)を対象にして「健康の維持」を,研究2では成人(n = 361)を対象にして「創造性の向上」を上位目標に設定した。その結果,仮説が支持された。本研究より,1つの下位目標の達成に失敗してしまうと,上位目標に関連した別の下位目標の追求が弱まってしまうが,そのような時に目標の階層性を提示することで,上位目標に向けて前進すべく代替的な下位目標への追求が強まることが示された。目標を達成するためには,目標に向かって同じ手段(下位目標)でひたすら努力するのではなく,手段を切り替えることも重要である。本研究より,目標の階層性を提示することによって,達成困難な目標からの解放を促すことにつながる可能性が示された。
キーワード
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal95-6#23322