刊行物のご案内
心理学研究 第97巻 第5号(2026年12月)
| 種類 | 原著論文 |
|---|---|
| タイトル | 非行少年におけるエピソード的未来思考の遅延価値割引への抑制効果 |
| 著者 | 片桐 弘明・今村 悟也・山岡 あゆち |
| 要約 | 遅延価値割引 (DD) は,遅延報酬の価値が遅延時間によって低下することであり,セルフコントロールの指標ともされ,非行・犯罪において,大きな役割を果たすとされている。遅延価値割引を低下させる方法として,エピソード的未来思考 (EFT) が有効であるとされている。本研究では,非行少年を対象に,EFTの遅延価値割引への抑制効果について検討することを目的とする。少年鑑別所に入所した62名の非行少年を,EFT実施群と統制群に分けた。EFTの際は,EFTのエピソードについて,鮮明度,感情喚起度を自己評定した。結果,EFT実施群のDDは,統制群より低かった。EFTは非行少年のDDを低下させるために有効であった。仮説では,EFTの鮮明度,感情喚起度は,DDの抑制効果を調整すると予測していたが,いずれも天井効果が生じたため,分析の対象外とした。また,年齢,知能,薬物使用経験の有無によるDDの抑制効果への影響についても検討したが,有意な関連は見られなかった。非行少年にEFTに取り組ませることは,少年の未来志向性を高め,セルフコントロールの改善に役立つことが示唆された。 |
| キーワード | 非行少年,若年犯罪者,エピソード的未来思考,遅延価値割引,意思決定 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-5#25002 |
| 種類 | 原著論文 |
|---|---|
| タイトル | 異性カップルと同性カップルにおけるIPV被害 |
| 著者 | 上野 淳子 |
| 要約 | 親密なパートナーからの暴力(IPV)の対策は,男性による女性に対する暴力に偏る傾向がある。しかし,実態調査では男性や同性パートナーを持つ人も被害を受けていることが示されている。本研究では,男性や同性カップルも含めてジェンダーとIPV被害との関連を検討した。20─35歳の,異性パートナーまたは同性パートナーを持つ男女を対象としたインターネット調査を行った。その結果,同性パートナーを持つ男性が最も被害を受けていることが分かった。パートナーによる被支配感は,異性パートナーを持つ女性が最も低く,同性パートナーを持つ男性が最も高かった。パートナー以外からのソーシャル・サポートは,異性パートナーを持つ女性が最も高く,同性パートナーを持つ男性が最も低かった。特に同性パートナーを持つ男性に対するIPVは深刻であるにもかかわらず,見過ごされている問題である。したがって,男性被害や同性カップルのIPVに対処する,よりジェンダー・インクルーシブなIPV対策を推進する必要がある。 |
| キーワード | 親密なパートナーからの暴力,DV,デートDV,支配–被支配関係,性的マイノリティ |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-5#25006 |
| 種類 | 原著論文 [方法・開発] |
|---|---|
| タイトル | カウンセラーへの援助要請における利益とリスクの予期尺度 (DES日本語版)の作成 |
| 著者 | 永井 智・水野 治久・木村 真人・本田 真大・飯田 敏晴 |
| 要約 | 本研究では,Disclosure Expectations Scale (DES) の日本語版として,カウンセラーへの援助要請における利益とリスクの予期尺度を作成することを目的とした。異文化適合性ガイドラインに基づく日本版の尺度を作成した上で,大学生と成人それぞれを対象にオンラインでの調査を行った。調査の結果,元尺度の因子構造が再現され,大学生と成人の間で測定不変性が確認された。妥当性検討においては,援助要請態度や援助要請意図,援助要請期待や援助要請不安との間に概ね想定通りの関連が示された。また,尺度の内的一貫性と再検査信頼性も確認された。以上から,本尺度は一定の信頼性と妥当性を有すると考えられた。 |
| キーワード | 援助要請/援助希求,利益の予期,リスクの予期 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal97-5#25011 |





