刊行物のご案内
心理学研究 第98巻 第1号(2027年4月)
| 種類 | 原著論文 |
|---|---|
| タイトル | 物語テーマに対する読者の精通度が現実感の評価および物語への没入に与える影響 |
| 著者 | 河口 陽菜・品田 瑞穂 |
| 要約 | 本研究は,読者の物語テーマに対する精通度が,物語内容の妥当性に応じて現実感の評価に影響を及ぼすか,また現実感が物語への没入を媒介するかを検討した。日本人女性262名(20代131名および40代131名)が,物語の前半・後半ともに妥当性を損なわない内容で構成された物語(齟齬なし条件)または,後半のみに妥当性を損なう描写が含まれた物語(齟齬出現条件)のいずれかを読んだ。参加者は,前半・後半のそれぞれの読了後に,現実感および物語への没入感を評定した。物語の内容は,登場人物と同じ40代の読者にとってなじみ深く,精通度が高くなるように設計されていた。マルチレベル調整媒介分析の結果,齟齬出現条件においては,40代の読者は物語後半で現実感が低下し,それを媒介して没入感の低下が見られた。一方,齟齬なし条件では,前半・後半を通して40代の読者は現実感および没入感が高く維持されていた。これらの結果は,物語内容の妥当性に応じて,読者の精通度(世代)が物語への没入において促進要因にも抑制要因にもなり得ることを示唆している。 |
| キーワード | 精通度,現実感,物語への没入,状況モデル,既有知識 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-1#25023 |
| 種類 | 原著論文 |
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| タイトル | 国勢調査の不詳率低減に向けたインターネット調査の有効性検証 |
| 著者 | 豊田 秀樹・武田 大輝・谷口 美紀・木村 颯汰・ 上田 蒼斗・佐々木 研一 |
| 要約 | 本研究は,日本の国勢調査におけるデータの信頼性を損なう要因である不詳率の増大を背景に,インターネット調査が不詳率低減に有効かどうかを検討した。2020年国勢調査の市区町村データを用い,都市化度・女性率・平均年齢を統制した階層ベイズ負の二項回帰モデルを推定した結果,インターネット回答率の上昇は「年齢」を除く6項目で一貫して不詳率を低下させた。特に,「労働力状態」および「従業地・通学地」では,インターネット回答率が10ポイント上昇するごとに不詳率が約18―22%減少した。これに対して,郵送回答率が高い地域の不詳率は上昇し,特に「居住期間」と「労働力状態」においては,郵送回答率が10ポイント上昇すると不詳率は約23―31%増加した。これらの結果から,インターネット回答が回答の手軽さ,入力チェック機能による記入漏れの抑制といった特徴を通じて心理的・行動的負担を軽減し,不詳を抑制することを示唆する。したがって,2030年国勢調査に向けてインターネット回答のさらなる促進が,データの完全性と信頼性の向上に寄与することが期待される。 |
| キーワード | 国勢調査,不詳,インターネット調査,階層ベイズモデル,負の二項分布 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-1#25069 |
| 種類 | 原著論文 [方法・開発] |
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| タイトル | 高齢者における12項目版選択・最適化・補償尺度(SOC-12)の作成 |
| 著者 | 角田 百穗・中川 威・増井 幸恵・神出 計・池邉 一典・平田 匠・新井 康通・権藤 恭之 |
| 要約 | 本研究は,12項目版選択・最適化・補償尺度(SOC-12)を作成するため,日本人高齢者を対象とした2つの調査データ(調査1: N = 326, 調査2: N = 983)を用いて,尺度の因子構造と内的一貫性,およびそれらの交差妥当性,さらに,ウェルビーイングや性格特性との相関を算出し,基準関連妥当性を検討した。本研究の結果,4つの下位因子から成る12項目の尺度が作成された。「自らによる選択」下位因子を除く「喪失による選択」「最適化」「補償」という3つの下位因子で信頼性と妥当性が確認された。「自らによる選択」下位因子は十分な妥当性が確認されなかったが,不適応なSOC方略の利用を検討するうえで必要な項目であった。今後,ESの基準関連妥当性を確認する必要がある。 |
| キーワード | SOC理論/方略,高齢者,生涯発達,短縮版尺度 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-1#25019 |
| 種類 | 原著論文 [方法・開発] |
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| タイトル | パネル調査からの離脱の要因――COVID-19下でのクラウドソーシング型調査による検討―― |
| 著者 | 山縣 芽生・村上 道夫・三浦 麻子 |
| 要約 | 本研究は,COVID-19パンデミック中にクラウドソーシングサービスを介して実施された4年間の30波パネル調査における離脱に着目し,その人口統計的・心理的要因を検討したものである。分析には,2020年はじめに開始し,2021年半ばに追加募集したパネルのデータを用いた。また,これらの参加者を対象に,調査に対する印象を回顧的に評価するフォローアップ調査も実施した。分析の結果,若年層に加え,初期のパネルにおいて女性の離脱率が高いことが示された一方で,調査初回時のCOVID-19への関心は離脱を予測しなかった。また,離脱者は残存者と比べて調査に対する回顧的評価が概して低かった。さらに,初期パネルにおいてパネル調査の最終回答時点でのCOVID-19への関心とポジティブな調査印象との関連が確認された。これらの結果から,パネル調査の離脱は人口統計的要因によって規定されるとともに,調査への印象が離脱の有無や災害への関心と関連することが示唆された。パネル調査における調査票の工夫や回答負担の軽減は,参加者にとって肯定的な経験となり,結果として離脱を防ぐ可能性がある。 |
| キーワード | パネル調査,離脱,COVID-19,クラウドソーシング,縦断研究 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-1#25056 |





