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心理学研究 第93巻 第4号(2022年10月)

種類 原著論文
タイトル 保護者に対する小学校教師の心理的安全性が創造的な教育実践に及ぼす影響
著者 一色 翼・藤 桂
要約 本研究の目的は,小学校教師が保護者に感じている心理的安全性が,創造的な教育実践にどのような影響を及ぼすのかを検討することであった。本研究には,22の公立小学校の教師 (Time1では467名,Time2では405名) が調査に参加し,このうち縦断的データとして対応させることができ,現在も学級担任をしている351名の教師を分析対象とした。まず,一色・藤 (2020) に基づき,小学校教師の創造的な教育実践に関する項目を作成するとともに,因子分析によりそれらの実践がどのように整理されるかを検討した。その結果,「困難を乗り越える主体性の育成」,「学級内外での新たな取組への挑戦」,「自分の信念に基づく教育の実現」,「一人の人間としての子どもたちへの開示」,「子どもたちとの交流をより深める実践」の5因子が示された。次に,保護者に対する教師の心理的安全性と創造的な教育実践の関係について,児童のみならず保護者との関係形成においても時間的制約がある小学校現場への応用を念頭に置きながら,潜在差得点モデルに基づく分析を行った。その結果,Level・Deltaいずれにおいても,保護者に対する心理的安全性は,創造的な教育実践および児童との関係性に対し有意なパスを示していた。これらの結果をもとに,保護者に対する小学校教師の心理的安全性を確保することの重要性が議論された。
キーワード 小学校教師,創造的な教育実践,保護者に対する心理的安全性,教師と児童との関係性,潜在差得点モデル
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#19055
種類 原著論文
タイトル 夫婦の自閉スペクトラム症的行動特性と抑うつとの関連
著者 坂田 侑奈・菅原 ますみ・松本 聡子・齊藤 彩・吉武 尚美
要約 172組の夫婦を対象に,自身の自閉スペクトラム症的行動特性と抑うつとの関連を自身の認知する夫婦関係および結婚満足度が媒介するという仮説を立て,ペアデータ分析において用いられるマルチレベル構造方程式モデリングによって検討した。その結果,個人レベルにおいて,自閉スペクトラム症的行動特性と配偶者からの承認の少なさに関連が見られ,承認の少なさは結婚満足度の低さに関連し,さらに抑うつへと関連することが示された。二者関係レベルにおいては仮説が支持されなかったため,夫婦の自閉スペクトラム症的行動特性がお互いに及ぼす影響について行為者-パートナー相互依存性モデルを用いて検討した結果,夫の自閉スペクトラム症的行動特性の高い夫婦ほど,妻の認知する夫との葛藤得点が高い結果が示された。
キーワード 自閉スペクトラム症的行動特性,夫婦,夫婦関係,結婚満足度,抑うつ
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#20052
種類 原著論文
タイトル 教員の認知する地域連携におけるチームワークと学習動機づけおよび学級適応感との関連
著者 吉田 琢哉・吉澤 寛之・浅野 良輔・玉井 颯一
要約 地域連携が重視される今日の小中学校では,教員には保護者や地域住民をも含めたチームワークが求められる。しかし現状では,地域連携におけるチームワークが子どもにどのような教育効果をもたらすかについて実証的な知見が乏しい。本研究では学級担任教員の認知する地域連携におけるチームワークが,学級における社会的目標構造を媒介して,子どもの内発的動機づけおよび学級適応感に及ぼす影響を検討した。小学6年生と中学3年生の児童生徒2,225名および教員235名を対象に調査を実施した。マルチレベル共分散構造分析による分析の結果,教員の認知する地域連携におけるチームワークは,学級における社会的目標構造を媒介して内発的動機づけおよび学級適応感を促進することが示された。本研究の結果より,地域連携におけるチームワークは子どもが安心して過ごすことのできる学級環境を醸成するうえで重要であることが示唆された。
キーワード 地域連携におけるチームワーク,教員,学級における社会的目標構造,内発的動機づけ,学級適応感
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#20058
種類 原著論文
タイトル テレワークの場所と時間の確定がワークライフバランスを介して精神的健康に及ぼす影響
著者 江 聚名・石井 僚・大山 拓也
要約 本研究の目的は,COVID-19の流行に伴って導入されたテレワークにおいて,仕事の場所と時間を確定させることが,ワークライフバランスを介して労働者の精神的健康に影響を及ぼすプロセスおよびその性差を検討することであった。IT系企業に勤める労働者1,692名を対象に,オンライン研修システムを用いて,2019年11月と2020年5月にウェブ調査を実施した。1回目の調査では参加者の精神的健康,2回目の調査では参加者の精神的健康,ワークライフバランス,テレワークをする際の場所と時間を確定しているかどうかを測定した。多母集団媒介分析の結果,COVID-19の流行に伴って導入されたテレワークにおいて,仕事の時間を明確に定めておくこと,仕事の場所を明確に定めておかないことが,良好なワークライフバランスを介して労働者の精神的健康につながることが示された。また,先行知見と一貫して,この状況下においても,ワークライフバランスから精神的健康への影響は男性よりも女性において強いことが示された。
キーワード 新型コロナウイルス,テレワーク,ワークライフバランス,精神的健康
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#20080
種類 原著論文
タイトル 言語的符号化が標的音声の話者同定に与える影響
著者 井上 晴菜
要約 本研究は,話者同定に対する標的音声と妨害刺激の言語化情報の類似性の影響を検討した。参加者は,標的音声を聴いて,「形容詞選択記述」,「形容詞評定」,「自由記述」の3つの方略のいずれかで記述する,または記述しないように求められた。最後に,参加者は,標的音声,高類似音声(言語化情報が標的音声に似ている),低類似音声(言語化情報が標的音声に似ていない)の各音声刺激に対する「標的音声と同じ人物だと思う程度」を個別に評定した。結果,「標的音声と同じ人物だと思う程度」が,高類似音声では自由記述群が統制群より高かった。このことから,言語化は高類似音声を標的人物だと判断させることが示唆された。それゆえ,先行研究で得られた言語隠蔽効果は,言語化により高類似音声が,標的音声と同程度かそれに近い程度で標的人物だと知覚され,選択されたことが原因で生じたと考えられる。
キーワード 言語隠蔽効果,転移不適切性処理シフト説,類似性
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#21010
種類 研究資料
タイトル パーソナリティ特性語の望ましさの時代変化
著者 橋本 泰央・小塩 真司
要約 本研究の目的はパーソナリティ特性語の望ましさの時代変化を明らかにすることであった。青木(1971)の報告との比較を目的に,パーソナリティ特性語388語の望ましさを調査し,男子大学生353人(平均年齢19.9歳)と社会人男性373人(平均年齢45.3歳)から回答を得た。語彙分類ごとに平均順位の差を検定すると,がんばりや勤勉さを表すパーソナリティ特性語の望ましさが特に下がっていた。社会人の変化は大学生に比べてより顕著であった。これらの結果を企業が新卒者に求める人材像の時代変化および他の社会科学領域の知見を援用して考察した。
キーワード 社会的望ましさ,パーソナリティ特性語,時代変化,Brunner-Munzel 検定
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#20236
種類 研究資料
タイトル 新型コロナウイルス感染禍は感染忌避傾向に影響したか
著者 三浦 麻子・清水 裕士・北村 英哉・山縣 芽生・松尾 朗子・ 寺口 司
要約 本研究は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行時に,人間の心的傾向が平時と異なっていたかどうかを,感染を忌避する傾向を対象として,異なるサンプルによる2つのWeb調査データに基づいて検証するものである。それぞれが異なる調査媒体で実施されたことがデータに与える影響――House effects――を考慮し,いくつかの共変量を用いて算出した傾向スコアを用いた逆確率重み付け推定法によってそれを調整する試みを行った。分析の結果,調整を経ても,感染を忌避する心的傾向は平時よりも感染禍で高いことが示された。Web調査の分析にあたってHouse effectsを調整することの意義と本研究のいくつかの限界について議論した。
キーワード Web調査,House effects,傾向スコア,自然実験,感染忌避傾向
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#21222
種類 研究資料
タイトル 生活保護ケースワーカーのストレス要因測定尺度の開発
著者 二本松 直人・若島 孔文
要約 本研究では,生活保護ケースワーカーのストレス要因測定尺度(Public Assistance Caseworker’s Stressors Inventory: PAC-SI)を作成し,信頼性と妥当性を検討した。さらに,社会・制度,業務環境,個人レベルの各ストレス要因がどのように精神的健康を悪化させているか検討した。予備調査によって作成されたPAC-SI原版54項目について因子分析を行った。その結果,5因子解22項目が採択された。信頼性について,Cronbachのα係数を算出し,各因子.70以上の値が確認された。基準関連妥当性については,PAC-SIは職場ストレススケール改訂版(JSS-R)と正の相関関係を示すことで評価された。したがって,PAC-SIは十分な信頼性と妥当性が確認された。そして,生活保護ケースワーカーは,社会・制度的なストレス要因に悩まされることから始まり,業務環境的なストレス要因を介して,個人レベルのストレス要因によって精神的健康が悪化する過程を辿ることが示唆された。本尺度は,生活保護課における労務管理のツールとして有用であると考えられ,今後はストレス要因の三層構造(社会・制度―業務環境―個人)を軽減するような後続研究が求められる。
キーワード 生活保護ケースワーカー, ストレス要因,尺度, 信頼性と妥当性,三層構造(社会・制度―業務環境―個人)
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#21203
種類 研究報告
タイトル COVID-19感染防止対策が心理支援にもたらした問題とその対応
著者 青木 佐奈枝・小野 聡士・福井 晴那・川嶋 真紀子
要約 本研究の目的は,COVID-19感染防止対策がもたらした心理支援上の問題とそれに対する対応を把握するとともに,感染防止対策の違いによる問題を比較することであった。臨床心理職318名を対象にWEB調査を行った結果,飛沫感染防止対策の導入が9割以上,遠隔心理支援の導入や対面支援の縮小化などを含む心理支援の枠組みの変更が約半数で生じていた。感染防止策がもたらした問題として,支援上での「会話の貧困化」,「情報取得・伝達の困難さ」,「安定した心理支援の維持困難」,「スタッフ間の方向性の不一致」の4つがあった。それに対して心理職が行った対応は「伝達の工夫」,「確認・言語化」,「他職種連携の強化」の3つであった。飛沫感染防止対策を講じた上で対面支援保持した職場でも,遠隔心理支援を導入した職場でも会話の貧困化,情報取得・伝達の困難さ,安定した心理支援の維持困難が生じたことが明らかになった。
キーワード 新型コロナウイルス,臨床心理支援,心理療法,感染防止策,パンデミック
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#21310
種類 研究報告
タイトル 集団間状況の顕現性と実在集団における内集団協力の心理メカニズム
著者 中川 裕美・横田 晋大・中西 大輔
要約 本研究は,中川らの一連の研究 (中川他, 2015, 2019; Nakagawa et al., 2021) の再現性を検討した。先行研究の知見から,社会的アイデンティティ理論 (SIT) と閉ざされた一般互酬仮説 (BGR) に基づく内集団協力がそれぞれ観測され,さらに協力のコストにはBGRで重要とされる互恵性の期待と協力を調整する効果があることが明らかになった。しかし,いずれの研究も外集団の存在を明示していなかった。このことは,SITの妥当性を保証する上での限界であり,内集団に対して外集団よりも協力的になることを実証する必要がある。そこで,本研究は,中川他 (2015) を踏襲した場面想定法に外集団の存在を明示し,集団間状況の顕現性を保った上で内集団協力を測定した。その結果,中川らの知見を再現し,両理論の心理メカニズムが働くことで内集団成員に対して外集団成員より協力的になる内集団協力が生じていた。
キーワード 内集団協力,集団間状況の顕現性,社会的アイデンティティ理論,閉ざされた一般互酬仮説
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal93-4#21316