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心理学研究 第94巻 第4号(2023年10月)

種類 原著論文
タイトル インターネットで知り合った被疑者による女子の自画撮り被害の特徴
著者 藤原 佑貴・宮寺 貴之・久原 恵理子
要約 本研究では,インターネットで知り合った相手に自分の裸の写真を撮影させられ,送付させられる被害について,女子の被害事例の特徴を検討する。インターネットで知り合った相手から自画撮り被害を受けた女子児童(n = 138)と,その児童を担当した警察職員(n = 136)が質問紙に回答した。多重対応分析により被害事例における被疑者と被害児童のやりとりは4群に分けられた。「児童能動型」では,最初の連絡を児童から取っており,脅しはみられなかった。「関係希薄型」では,被疑者はただの知り合いであり,児童の自己開示が少なかった。「趣味悪用型」では,短期間に音声やビデオカメラも用いてやりとりを行い,被疑者に性的行為の強要がみられた。「恋愛関係型」では,多くの被疑者が被害児童との間で恋人関係を築き,児童は自己開示を多く行っていた。そして群間で被害児童の特徴を比較した。これらの結果から,自画撮り被害の被害防止策を検討する際に,事例の多様性を考慮する必要性が示された。
キーワード 自画撮り被害,セクスティング,児童ポルノ,グルーミング,性的搾取
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal94-4#21052
種類 原著論文
タイトル 社会的望ましさを考慮した項目反応モデルによるパラメタ推定法の提案
著者 藤岡 慧
要約 心理学研究では,特定の構成概念を測定する際にリッカート法に代表される評定尺度法がよく用いられる。一方で,社会的望ましさが心理測定の信頼性や妥当性に悪影響を及ぼすことも知られており,未だその影響を取り除けているとはいえない。服部(2007)は,従来社会的望ましさを統制する際に別々に利用されてきた項目特性としての社会的望ましさと個人特性としての社会的望ましさ反応傾向の両方を同時に考慮した項目反応モデルを考案し,人工データを用いてモデルの有効性を示した。そこで本研究では,服部(2007)の項目反応モデルに実データを適用し,マルコフ連鎖モンテカルロ法でパラメタを推定した。その結果,項目特性としての社会的望ましさと個人特性としての社会的望ましさ反応傾向の両方の観点からモデルの有効性が示された。
キーワード 社会的望ましさ,リッカート法,項目反応モデル
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal94-4#22003
種類 原著論文
タイトル e-learningと進級条件が大学生の英語力に与える効果――マルチレベル分析による評価――
著者 山本 康裕・益岡 都萌・宮﨑 康夫・寺澤 孝文
要約 本研究の目的は,EBPMの基盤の構築に向け,大学生の英語力向上のための大学の教育方針として,英語力試験の得点を進級条件として課すことと,潜在記憶研究の知見を基盤とし,教育ビッグデータを活用することで,短時間で効率的な語彙の習得を可能にするe-learning「マイクロステップ・スタディ」を全学的に導入することの2つを取り上げ,各教育方針が英語力試験の1つであるGTEC得点に及ぼす影響を,大学生のデータを用いて推定・評価することであった。2020年度の4月と12月に実施されたGTECを共に受験した大学1年生のうち,欠損値を除いた2,193人を対象に,各教育方針とGTEC得点との関係をマルチレベル分析によって検討した。その結果,進級条件を課すことが学生の英語力向上に寄与した可能性が示された。また,マイクロステップ・スタディを導入することによって学生の語彙力,ひいては英語力が向上する可能性が示された。
キーワード 英語力,e-learning,進級条件,マルチレベル分析,教育ビッグデータ
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal94-4#22009
種類 研究資料
タイトル 日本語版経済的脅威尺度(FTS-J)の作成
著者 渡辺 伸子・沼田 真美
要約 本研究の目的は,日本語版経済的脅威尺度(FTS-J)を作成することであった。研究1では,FTSを日本語に翻訳した後,調査を実施した。研究1では,414人(男性281人,女性133人;平均年齢44.89歳,SD = 8.13)の雇用されて働く人のデータが分析された。妥当性について,次の4点の結果が確認された。第一に,経済的脅威を強く知覚する者ほど,精神的健康が損なわれた状態にあるという関連が示された。第二に,経済的脅威を強く知覚する者ほど,特性自己効力感が低く,ネガティブな反すうおよび心配が強いことが示された。第三に,経済的脅威を強く知覚する者ほど,現在の暮らしの状況を厳しいものだと認識していることが明らかになった。第四に,世帯年収,性別,年代による3要因の分散分析の結果,年収低群および中群と比べて,高群では経済的脅威を感じる程度が低いことが示された。研究2では,3週間の期間をあけて2度の調査を行い,288人(男性210人,女性78人:平均年齢47.14歳,SD = 8.12)のデータが分析された。2度の調査の間で中程度の正の関連が得られた。研究対象とする集団を拡大することについて議論された。
キーワード 経済的脅威,精神的健康,世帯収入,信頼性,妥当性
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal94-4#21236
種類 展望論文
タイトル 認知発達研究における構造――圏論からのアプローチ――
著者 森口 佑介・土谷 尚嗣・西郷 甲矢人
要約 現在の認知発達研究における重要な問題の1つは,理論が欠如していることである。そこで,本論文では,数学的構造に基づく認知発達理論を提案する。具体的には,まずピアジェが認知発達研究に導入した概念である「構造」の概念に注目する。ピアジェの理論は主に数学的な群や束から着想を得ているが,ピアジェ自身が考案した多くの概念(たとえば,群性体)は数学的に厳密に扱うことが困難であった。そこで,我々は,群の一般化である数学的圏という概念に基づいて,ピアジェが提案した概念のいくつかを数学的に理解しやすい形で捉え直すことを試みる。さらに,ピアジェ以降の構造概念に関する認知発達研究を紹介し,今後の研究の方向性を示唆したい。
キーワード 認知発達,構造,ピアジェ,圏,群性体
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal94-4#22403
種類 展望論文
タイトル 強化感受性理論の研究動向と展望
著者 佐々木 洋平
要約 強化感受性理論 (Reinforcement Sensitivity Theory: RST) は主要な神経心理学的パーソナリティ理論である。しかし,日本語では詳細な紹介は不足している。そこで,本論文は,RSTを概説し,今後の展望を述べる。まず, RSTの原型である罰感受性と報酬感受性を導入したパーソナリティ理論を紹介した。第二に, RSTおよび Gray & McNaughton (2000) の改訂版RSTについて述べた。第三に,改訂版RSTと不安症やうつ病との診断横断的な関連性を議論した。第四に,改訂版RSTによる変更点と日本語話者を対象にしたRSTの記述とを比較し,日本語文献では改訂版RSTの主要な変更点の説明が不足する傾向があることがわかった。その後,この現状を踏まえてRSTに主要な鍵概念の訳語について提案を行なった。最後に, RST研究の今後の展望を述べた。
キーワード 行動抑制,行動接近,闘争・逃走・凍結反応,パーソナリティ,強化感受性理論
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal94-4#22404