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心理学研究 第97巻 第4号(2026年10月)

種類 原著論文
タイトル 司法面接におけるグラウンド・ルールの教示方法の検討
著者 久原 恵理子
要約 本研究では,司法面接におけるグラウンド・ルールにおいて,誘導を避けた上でルールに従った回答を促すための効果的な教示方法を検討した。特に,「分からない」と「知らない」を区別して回答できるかに焦点を当てた。さらに,選択式質問に「どっちとも違う?」を加えた質問 (選択Q+違う) についても検証を行った。年長 (5―6歳) と小学2年生 (7―8歳) の2つの学年の子どもを,教示の条件として,(a) 「分からない」と「知らない」の回答の練習を口頭で行う条件,(b) カードを使って「分からない」と「知らない」の回答の練習を行う条件,(c) ルール説明のみ,のいずれかに割り振った。「分からない」と「知らない」を区別して回答することに最も効果的な教示は,カード練習条件であった。また,説明のみ条件は,誘導されるリスクが最も高かった。さらに,選択Q+違う質問について,特に小2の説明のみ条件において,誘導を回避するために「どっちとも違う」回答が用いられる可能性が示唆された。
キーワード グラウンド・ルール,知らない,分からない,司法面接,選択式質問
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal97-4#24028
種類 原著論文
タイトル 早押しクイズにおけるメタ認知的判断――基準逓減モデルに基づく検討――
著者 後藤 早智・伊藤 友一
要約 他者との競争やボタン押し判断を求められる早押しクイズにおいて,クイズプレイヤーは「わかりそう」という予感,すなわちメタ認知に基づいてボタンを押すことが指摘されている。知識を求められる問題に解答する場合,確信度と解答時間の間に負の相関が見られるが,これは時間の経過に伴い,課題に対する認知的努力の投入を停止する基準を低く設定するという基準逓減モデルで説明される。本研究では,早押しクイズの解答者が,ボタン押し判断に至るまでの認知過程について,熟達度と自己認識の観点から検討した。実験の結果,確信度と解答時間の間に負の相関が見られ,基準逓減モデルが,早押しクイズにも当てはまることが示された。さらに,熟達者は,初心者よりも停止基準の妥協が遅く,クイズプレイヤーは「5秒間のシンキングタイムがある」という課題の特性(メタ認知的知識)を利用していることを明らかにした。また,クイズプレイヤーは,自己認識を考慮した情報蓄積(不確実性の逓減)を経てボタン押しを行っていることが示唆された。
キーワード 早押しクイズ,メタ認知,基準逓減モデル,熟達,自己認識
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal97-4#25007
種類 原著論文
タイトル 朝鮮半島にルーツをもつ青年における異文化適応ギャップの認識が心理的問題に与える影響
著者 佐々木 三紗・高橋 恵理子・前田 千晴・竹田 好香・森實 駿介・大月 友・桂川 泰
要約 朝鮮半島にルーツをもつ者は,社会・環境要因に起因する心理的苦痛が蓄積しやすい日本社会におけるマイノリティであることが報告されており,彼らの心理的苦痛の背景要因のひとつに,異文化適応ギャップに関する問題が示唆されている。本研究では,「異文化適応ギャップの認識の有無が朝鮮半島にルーツをもつ青年の心理的問題にどのような影響を与えるか」および「異文化適応ギャップと心理的問題に影響を与える変数はなにか」をリサーチクエスチョンとし,朝鮮半島にルーツをもつ青年21名に対する半構造化インタビュー調査を行った。分析手法は,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。結果,コアカテゴリーは,親に対する諦めの認識,カテゴリーは,異文化適応ギャップ,親との話し合い,専門家や日本以外にルーツをもつ友人への相談,精神状態の不調,精神状態の安定で構成された。異文化適応ギャップの認識の有無は,親に対する諦めの認識などの関連変数を通じて,精神状態に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
キーワード 朝鮮半島にルーツをもつ者,異文化適応ギャップ,親子関係,移民,グラウンデッド・セオリー・アプローチ
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal97-4#25013
種類 原著論文 [方法・開発]
タイトル 日本語短縮版パーソナリティ機能レベル尺度2.0 (J-LPFS-BF 2.0) の開発
著者 柴田 康順
要約 本研究の目的は,パーソナリティ症群の代替DSM-5モデルにおける基準Aとして位置づけられたパーソナリティ機能レベルを測定する尺度であるLevel of Personality Functioning Scale-Brief Form 2.0(J-LPFS-BF 2.0)の日本語版を作成し,その妥当性と信頼性を検証することである。著者はインターネット調査を実施し,成人291名分のデータを収集した。確認的因子分析の結果,J-LPFS-BF 2.0は「自己機能」と「対人機能」という2因子構造であり,性別の等質性が示され,十分な内的一貫性と再検査信頼性が確認された。相関分析の結果,J-LPFS-BF 2.0は,病的パーソナリティ,同一性の機能障害,対人問題との強い関連が示された。これらの結果から,J-LPFS-BF 2.0の妥当性と信頼性が確認された。J-LPFS-BF 2.0により,パーソナリティ機能レベルに応じて適切な臨床心理学的支援が可能になるとともに,パーソナリティ症に関する実証研究の成果を国際的に比較検討することも可能になる。
キーワード パーソナリティ症群の代替DSM-5モデル,自己機能,対人関係機能,パーソナリティアセスメント
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal97-4#25203
種類 原著論文 [方法・開発]
タイトル Multidimensional Test Anxiety Scale日本語版の作成
著者 川﨑 紗和子・朝倉 智大・佐藤 寛・石川 信一
要約 本研究の目的は,Multidimensional Test Anxiety Scale (MTAS) 日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。対象者は,高校1年生から3年生であり,MTAS日本語版,従来のテスト不安尺度,抑うつ症状,不安症状,学校適応感を測定する質問紙への回答を求めた。確証的因子分析の結果,MTASは心配,認知的干渉,緊張,生理的覚醒の4因子構造および高次因子構造において,許容可能な適合度を示した。性別間の測定不変性について,モデル間で適合度指標の大きな変化は見られず測定不変性が示された。信頼性では,内的一貫性で十分な値が示された一方で,再検査信頼性で総得点のみ十分な値が示された。妥当性では,基準関連妥当性の検証でMTASは従来のテスト不安尺度と高い正の相関が確認され,テスト得点と弱い負の相関にあることが確認された。また,構成概念妥当性の検証で,不安症状や抑うつ症状とは中程度の正の相関が確認され,学校適応感は中程度より弱い相関が確認された。これらの結果から,MTAS日本語版は日本における青年のテスト不安を測定するために有用な方法であることが示唆された。
キーワード 高校生,テスト不安,尺度開発,信頼性,妥当性
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal97-4#25205
種類 原著論文 [方法・開発]
タイトル 評価疲れの概念整理と測定尺度の作成
著者 市村 賢士郎・澤田 奈々実・坂口 菊恵・渋井 進
要約 人や組織を対象とした評価制度の負の側面として「評価疲れ」の問題が指摘されている。評価疲れは,個別の評価行為のみならず,それに付随する一連の評価活動全体から生じるものとして議論されている。しかし,その概念は明確に定義されておらず,定量的な測定方法も確立されていない。そこで本研究では,研究1において,評価疲れ尺度の項目を作成し,評価疲れの概念整理を行った。研究2では,評価疲れ尺度の確定および構成概念妥当性と回答の時間的安定性を検討した。その結果,評価疲れは「評価目的の不透明感」,「評価制度への不信感」,「評価作業の心理的負担感」,「評価作業の物理的負担感」という4つの因子からなる複合的な心理状態であることが明らかになった。また,評価疲れ尺度の得点は,職務動機づけ,職業性ストレス,仕事の意味づけ,および否定的評価に対する不安の得点との間に予測通りの関連がみられた。この尺度は,評価疲れに関する今後の実証研究に役立つものと期待される。
キーワード 評価疲れ,尺度開発,信頼性,妥当性
個別URL https://psych.or.jp/publication/journal97-4#25026