刊行物のご案内
心理学研究 第98巻 第2号(2027年6月)
| 種類 | 原著論文 |
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| タイトル | 日本におけるエイジズムの個人差に関する検討――年齢およびBig Fiveとの関連―― |
| 著者 | 海野 利文・吉野 伸哉・小塩 真司 |
| 要約 | エイジズムとは,特定の年齢集団に向けられる偏見,差別である。本研究では,高齢者,若年者それぞれに対するエイジズムと,年齢やBig Fiveパーソナリティとの関連を検討することを目的とした。調査会社を通じてオンラインで質問紙調査を実施し,2,138名 (Mage = 45.21, SDage = 13.51) に対して両エイジズムを従属変数とした重回帰分析によって検討を行った。その結果,高齢者に対するエイジズムは年齢との間に負の関連が見られた一方,若年者に対するエイジズムは中年期の人々で最も高い値を示した。Big Fiveパーソナリティについての検討では,両エイジズムと協調性との間に負の関連が見られた。また若年者に対するエイジズムと開放性との間に負,勤勉性や神経症傾向との間に正の関連が見られた。 |
| キーワード | エイジズム,年齢差,ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性,横断的研究 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-2#25054 |
| 種類 | 原著論文 |
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| タイトル | グラフの視覚的構造が因果性錯覚に及ぼす影響――作成者の意図推測と自己の判断の乖離―― |
| 著者 | 杉尾 武志 |
| 要約 | 本研究では,因果性錯覚の認知メカニズムを,グラフの構造的特徴と作成者の意図推測が因果判断に与える影響の観点から検討した。実験では,朝食の摂取頻度とGPA(Grade Point Average)の相関関係を題材とし,棒グラフ,折れ線グラフ,散布図の3種類の形式を用いて参加者に因果関係の程度を評定させた。分析の結果,折れ線グラフは散布図と比較して因果性錯覚をより強く誘発することが示された。これは,折れ線グラフが持つ視覚的連続性と方向性が構造マッピングを通じて因果関係のメンタルモデルを直接形成するというメッセージ対応を支持するものである。参加者は作成者が因果関係を示そうとしているという意図をメタ認知的に推測できていたにもかかわらず,その推測と参加者自身の因果評定との間には相関が見られなかった。この無相関となった傾向についてさらに検討するためベイズ相関分析を行ったところ,帰無仮説(無相関)への一定の支持が得られたものの(BF01 = 5.22―9.66),等価検定では等価性は確認されず,サンプルサイズの制約から解釈は示唆的なものにとどまる。これらの知見は,グラフによる因果性錯覚が,視覚的表象の描写的処理に固有の認知的非透過性を反映している可能性を示唆している。ただし,より大きなサンプルサイズおよび教示を精緻化した上での再検証が求められる。 |
| キーワード | 因果性錯覚,グラフ構造,メッセージ対応,認知的非透過性,メタ認知 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-2#26003 |
| 種類 | 原著論文 |
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| タイトル | 免除制度は初回協力を促すか――係決めゲームを用いた負担分担行動の実験的検討―― |
| 著者 | 村山 綾・稲葉 美里・水野 景子 |
| 要約 | 本研究は,任意組織における役員選出のような,不可分かつ反復的な役割負担状況において,免除制度が初回の役割選択に及ぼす影響を検討した。10名1組の集団を対象としたオンライン相互作用実験(N = 368)の結果,免除制度の導入は,第1ラウンドにおける高コストな役割への立候補を有意に増加させることが示された。加えて,社会的価値志向性(SVO)のうち他者志向性は,高コスト役割の選択に限定的ながら正の関連を示した。一方,立候補理由の分析からは,集団利益よりも,将来の強制的な役割割当に伴う不確実なリスクを回避しようとする判断と整合的な傾向が示された。これらの知見は,不確実性を再設計することによって,初回の協力行動を合理的な選択として成立させうる可能性を示唆している。本研究は,不可分な役割分担場面における免除制度の効果と個人差要因との関係を理解するための実証的知見を提供するものである。 |
| キーワード | 負担の分担,ボランティアのジレンマ,制度設計,協力行動 |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-2#26041 |
| 種類 | 研究報告 |
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| タイトル | 嘘の使用傾向と抑うつ,友人関係との関連における社会的スキルの調整効果 |
| 著者 | 田口 恵也・太幡 直也 |
| 要約 | 本研究の目的は,嘘の使用傾向,友人関係の良好さ,抑うつの関連が社会的スキルによって調整されるか否かを検証することであった。15―22歳の学生406名にオンライン調査を実施した。その結果,嘘の使用傾向と友人関係の良好さとの関連は社会的スキルによって調整されることが明らかになった。具体的には,利己的な嘘については,社会的スキルが高い場合には有意な関連はみられなかった一方で,社会的スキルが低い場合には負の関連がみられた。また,向社会的な嘘については,社会的スキルが高い場合には正の関連がみられた一方で,社会的スキルが低い場合には有意な関連はみられなかった。本研究の知見は,嘘の機能を理解するうえで個人の社会的スキルを考慮する重要性を示すものであり,従来の嘘の機能に関する知見を拡張するものである。 |
| キーワード | 嘘,友人関係,抑うつ,社会的スキル |
| 個別URL | https://psych.or.jp/publication/journal98-2#25068 |





