常務理事会から
アジア太平洋心理学連合と 認定心理士の会の発足
二つの組織の発足についてご報告します。
アジア太平洋心理学連合の発足
昨年7月,横浜で開催された国際心理学会議(ICP2016)は世界中から集まった8千人近い参加者で大賑わいでした。その裏で,アジア・太平洋地域の心理学会の代表が集まり,アジア・太平洋地域の心理学の将来に関して,また今後のアジア・太平洋地域の心理学の組織化に向けた話し合いが進められていました。会期中,3回にわたる会合を経て,ICP2016閉幕直前7月27日に,アジア諸国の心理学の連帯に関する宣言を,横浜宣言(Yokohama Declaration)として締結するに至りました。
署名したのは,日本,韓国,中国,台湾,香港,マカオ,フィリピン,インドネシア,マレーシア,シンガポール,インド,スリランカ,オーストラリア,ニュージーランドの14の国と地域。さらに,調印後にバングラディッシュが参加し,合計15になりました。宣言の中身は,アジア・太平洋諸国の心理学会は手を取り合い,心理学の発展を目指して頑張ろうという理念的なものであり,具体的な行動,アジアの心理学会の連合体の組織化に触れたものではありませんでした。そこで,ICP2016の終了後,アジアの心理学の連合体を組織するため,メールによる話し合いを進めた上で,昨年,12月27,28日の両日,インドのチェンナイ,インド工科大学マドラス校で開催されたインド心理学会の年次大会の場に,日本,中国,マレーシア,バングラディッシュ,インド,スリランカ,オーストラリア,ニュージーランドの8ヵ国の代表が集まり,アジア太平洋心理学連合(Asia Pacific Psychology Alliance:APPA)の結成を決議し,連合の発足式を執り行いました。
このような形で,発足したAPPAですが,具体的な行動などはまだ白紙の状態です。そこで,6月にクアラルンプールで集まり,協議を進め,最終的には10月12日から14日にインドネシアのバリ島で開催されるASEAN地域心理学会連合(ASEAN Regional Union of Psychological Societies:ARUPS)の大会の場で,行動計画のお披露目をするという計画です。ARUPSは東南アジア諸国,フィリピン,インドネシア,マレーシア,シンガポールを中心とした地域学会で,隔年で大会が開かれています。大会は,心理学の全ての領域をカバーし,ASEAN地域以外からの参加も歓迎されます。私もこれまで2度参加しましたが,とても楽しい学会です。APPAの発足を祝う意味でも,今回のバリ島大会に日本からも多くの方が参加していただけたらと思っています。詳しくは,大会のホームページを参照してください。http://arups2017.himpsi.or.id
認定心理士の会の発足
昨年4月に理事長を会長として「認定心理士の会」が発足しました。この会は,学会として認定心理士のみなさんに対するサービスを実施する場,また認定心理士の方々の横のつながりを作り上げている場として企画し,発足させたものです。認定心理士であれば学会員でなくとも申し込むだけで入会でき,また,当面の間,会費は無料です。5月に,キックオフシンポジウムを東洋大学で開催しました。100余名の参加を得,シンポジウムの後の懇親会も盛り上がりを見せました。その後,9月に大阪,茨木の立命館大学総合心理学部でキックオフイベント第二弾のワークショップを開催,約90名の参加者がありました。12月には認定心理士の会の独自企画「認定心理士の会東北公開シンポジウム」として,仙台市で「心理学を被災地に活かそう!」を開催,90余名の方々の参加を得ました。大阪,仙台でも,シンポジウムの後に懇親会を開催し,多くの方に参加していただくことができました。さらに,福岡,札幌で開催された日本心理学会の公開シンポジウムの後にも,認定心理士の方々の懇親会を開催しました。こうした懇親会の場では,講師,幹事と参加者の方々の語り合いに加え,各地の認定心理士の方々の間の横のつながりを作っていただく場として有効に機能したと自負しております。2017年度も,このような活動をより拡張して展開していく予定です。
(学術担当常務理事・立命館大学教授 佐藤隆夫)
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