公益社団法人 日本心理学会

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常務理事会から

公益社団法人としての日本心理学会

二つの組織の発足についてご報告します。

公益社団法人としての日本心理学会

 

2017年6月から,総務担当の常務理事となりました。2015年から二期連続で常務理事を務めさせていただいたことで,少しは日本心理学会という組織の様子が理解できた気がします。私が所属している他の心理系の学会と比較した時,最も違うのは,本学会が会員利益を謳わない「公益社団法人」だということです。定款の第3条には,こう記されています。

 

「(目的)第3条 この法人は,心理学に関する学理及びその応用の研究発表,知識の交換ならびに会員相互及び内外の関連学会との連携共同を行うことにより,心理学の進歩普及を図り,もって我が国の学術の発展に寄与することを目的とする」。(下線著者)

 

会員の活動促進は手段であって,目的は,「我が国の学術の発展に寄与すること」なのです。

 

昨年10月この欄で,①日本心理学会の会計が「研究振興支援事業」「認定心理士資格認定事業」「教育研修啓発事業」の3つの公益目的事業と,法人運営のための「法人会計」の,計4つの区分で管理されていること,②会員の年度会費,認定心理士資格審査・認定料,学術集会が,収益の3本柱であること,③この収益を,上記の4つの区分に配分して,目的に沿った支出を行っていることなどをお伝えしました。

 

確かに,収支はこのように区分されています。しかし,その利益は収入源である本学会員や認定心理士に直接還元するのではなく,「我が国の学術の発展に寄与」するという,より大所高所に立った活動が期待されているのです。ということは,年会費や認定料は,支払者が対価を求めて支払う「料金」というよりは,「お布施」みたいなものだということになります。もちろん,会員の交流や,認定心理士の会の講演会は本学会の大事な役割ですが,それを通じて,より広い公益に資することが目的です。

 

この,公益の観点から,注目している新たな事業が二種あります。一つが他学会の年会費の代理徴収,もう一つが認定心理士の会を通じた地域学会サポートです。

 

心理学関連の学会はたくさんあり,一般社団法人日本心理学諸学会連合(通称,日心連)に所属している学会は,2015年7月1日現在で,51団体だそうです(日心連ホームページ)。そのうち30以上が会員1,000名未満の団体です。

 

この規模だとスケールメリットがでないので,予算が厳しいと思われます。そして,収入源である会費徴収のための費用にも苦労します。もし,クレジットカードによる会費徴収システムが導入できれば,大いに助かることでしょう。クレジットですから,手数料分の収入が減りますが,郵便局に行くのが億劫で,あるいはうっかり忘れて滞納してしまうことによる徴収漏れの損失が減ることでカバーできると思います。事務経費も節減されます。利点は多いのですが,システム構築の費用が高額なため,小規模学会がこの仕組みを導入するのは困難です。

 

そこで,本学会がシステムを構築し,他学会の会費徴収のお手伝いをしてはどうかということを検討しています。たとえばA学会のホームページから日本心理学会の会費徴収システムにアクセスすると,日本心理学会のIDを使ってA学会のクレジット決済ができる。そんなことができるようになったら便利だろうな,と考えています。利用できるのは日本心理学会の会員だけというのがデメリットですが,システム構築費が安く,全額を本学会で負担することも可能です。もし,賛同学会が増えれば,その時点で本学会員以外の方の支払いを可能にするシステムを検討すればよいと思います。

 

もう一つが,認定心理士の会の地域幹事を通じた,地域学会への貢献です。地域学会で特定の講演を共催にさせていただき,認定心理士に開放されることを進めています。認定心理士の会にとっては,会員の皆様方の研修になりますし,そのときにお支払いする共催金を大会運営に役立てていただければ,地域の心理学の発展に少しだけ寄与することができます。いわば,共存共栄です。この試みは,7月の東北心理学会を皮切りに,すでにスタートしました。

 

認定心理士の会の地域幹事は,日本心理学会の代議員(社員)を中心としたシニアと,フットワークの良い中堅がペアになって担当しています。ゆくゆくは,この地域幹事を通じて,それぞれの地域の学会の発展に一層貢献できるような関係になることを願っています。

(総務担当常務理事・東北大学教授 阿部恒之)

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