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心理学キャンパス

京都学園大学

服部 陽介
人文学部心理学科

服部 陽介(はっとり ようすけ)
所在地:京都府亀岡市曽我部町南条大谷1-1
https://www.kyotogakuen.ac.jp/department/psychology/

Profile─服部 陽介
京都学園大学人文学部心理学科講師。専門は社会心理学。著書は『ふと浮かぶ記憶と思考の心理学』『記憶心理学と臨床心理学のコラボレーション』(いずれも分担執筆,北大路書房)。

はじめに

京都学園大学は,1969年,世界的視野で主体的に考え行動する人材の育成をめざして,京都府亀岡市に開学しました。開学時に経済学部1学部からスタートした本学は,現在,経済経営学部,健康医療学部,人文学部,バイオ環境学部の4学部10学科と大学院4研究科を有する総合大学となりました。社会科学分野,医療健康分野,人文科学分野,自然科学分野の四つの学部が互いに融合し,影響を与え合うことで,より良い教育・研究・課外活動の場を提供することを目指しています。

本学には,京都亀岡キャンパスと京都太秦キャンパスの二つのキャンパスがあります。京都亀岡キャンパスは,JR京都駅から山陰本線(嵯峨野線)で20分ほどの亀岡駅で下車し,さらに10分ほどバスに乗ったところにあります。雄大な自然を背景にのびのびと学び大きく成長するというコンセプトのもと,地元密着型の産学連携プロジェクトをはじめとした教育を行っています。

2015年に新たに開設された京都太秦キャンパスは,JR京都駅から乗車時間10分足らずの太秦天神川駅から,歩いて3分の位置にあります。京都の中心街からのアクセスが良く,近隣には名所旧跡が数多くあり,地域の方々との交流やフィールドワークの経験を通して実践力を養うための教育を行っています。また,それぞれの立地環境を活かした学びや課外活動への参加を促すために,両キャンパスを結ぶ直通のシャトルバスが運行しています。

人文学部は,京都文化短期大学を改組する形で,人間文化学部として1999年に開設されました。その後,2015年の改組を経て,心理学科と歴史文化学科を有する現在の人文学部となりました。現在,歴史文化学科は京都太秦キャンパスを,心理学科は京都亀岡キャンパスをメインキャンパスとしていますが,2019年には実験設備を有する西館が新設され,心理学科も京都太秦キャンパスに移転することになっています。

写真1 新たに建設される西館のイメージ
写真1 新たに建設される西館のイメージ

心理学科の学びの特徴

本学は現在,カリキュラム改革の真っ最中であり,2019年度からは新たなカリキュラムがスタートする予定です。心理学科の新カリキュラムでは,対人援助プログラム,応用心理プログラム,社会・産業プログラムという三つの専門プログラムを設けており,それぞれの学生が自身の目指す進路にあったプログラムを受講し,必要とされる専門性を身につけることができるようになっています。

対人援助プログラムは,児童・障がい者・高齢者の生活の支援を目指す学生や,専門的な心理臨床業務を通して人の心に関わることを目指す学生に向けた科目で構成され,プログラムを通して,人を理解する力,コミュニケーション力,人を援助する力を養います。

応用心理プログラムは,人の心や行動について科学的に探究することを目指す学生や,心理学の知識を社会の問題解決に応用することに興味を持つ学生に向けた科目で構成され,プログラムを通して,論理的思考力,情報の分析力・伝達能力,心理学的知識の実践力を養います。

社会・産業プログラムは,社会のしくみや問題を理解することを目指す学生や,産業界の事業や仕事の内容を知り,自分自身の働き方を考えたいと考える学生に向けた科目で構成され,プログラムを通して,地域や企業の課題解決や,多くの人の支持を得るコミュニケーションを実践する力を養います。

これらのプログラムは,各領域を専門とする教員を中心に実施される予定です。対人援助プログラムは,久保克彦先生(臨床心理学・医療心理学),川畑隆先生(児童福祉や教育などの分野における対人援助),山愛美先生(深層心理学・臨床心理学),伊原千晶先生(臨床心理学),橋本尚子先生(心理療法,臨床心理学,ユング心理学)を中心に,応用心理プログラムは,有馬淑子先生(社会心理学),行廣隆次先生(心理統計学,認知心理学),筆者(感情心理学・異常心理学)を中心に,社会・産業プログラムは,小川賢治先生(政治社会学・現代社会論),岡本裕介先生(コミュニケーション社会学),君塚洋一先生(メディア論・表現文化論・広告広報論)を中心に,それぞれ実施する予定です。

学生の学びの例

ここでは,心理学科の学生が,各学年でどのように学んでいくのかを簡単に紹介します。まず,1回生では,「心理学概論」「臨床心理学概論」「社会・産業基礎」などの各プログラムの基礎となる科目を全員が履修し,各領域についての広く学ぶ機会を得ることで,興味の幅を広げながら,自身の持つ興味・関心がどのような領域で研究されているかを理解していきます。それに並行して,「社会・集団・家族心理学」「感情・人格心理学」「産業・組織心理学」などの専門科目も選択履修することができ,概論を通して興味を持った領域について,より専門的な知識を早い段階から得ることができるようになっています。

2回生では,「心理演習」「心理学実験」「社会・産業基礎演習」などの演習科目を履修します。これらの科目では,各プログラムで3回生以降に展開される専門的な学びの基礎力を養うことを目的として,面接,検査,実験,フィールドワークなどの実習に取り組みます。さらに,実習の報告書を作成する経験を通して,アカデミック・ライティングのスキルを身につけていきます。

3回生に進む前に,学生は,自分自身の目指す進路や現在の興味・関心を考慮しながら,自らが所属する専門ゼミを選択します。そして,3回生から,配属されたゼミで少人数制の専門教育を受けます。「対人援助演習」「応用心理専門演習」「社会・産業専門演習」では,各領域で必要とされる専門的知識や技術と,自身の考えを他者に向けて発信するために必要とされる,資料作成やプレゼンテーションのスキルを習得していきます。これらを通して培われた知識と技術をもとに,4回生では,学生生活の集大成となる卒業レポートの完成を目指します。

大学院

本学の人間文化研究科には,日本・アジアの文化と歴史を中心に研究する文化研究コース,現代の社会問題や情報メディアを研究する社会情報コース,家庭・学校・地域社会などにおける実際的課題を発見し解決する人材を育成する心理学コース,心の健康に関わる援助者としての心構え,知識,技能を備えた専門家を育成する臨床心理学コースの4コースがあります。そのうち,臨床心理学コースは,日本臨床心理士資格認定協会の第1種指定大学院に認定されており,また,公認心理師の養成カリキュラムにも対応していることから,所定の単位を取得して修了することで,臨床心理士と公認心理師のいずれもの受験資格を得ることができます。さらに,全コースで中学校教諭(国語/社会)と高等学校教諭(国語/公民・地理歴史)の専修免許状が取得できます。

施設紹介

京都太秦キャンパスに新設される西館4階には,次のような心理学実験施設が建設されます。まず,防音性の高い小実験室10室を設け,各室に設置するPCをネットワークに接続することで,オンライン上のコミュニケーションに関する実験を実施可能な環境を整える予定です。また,各小実験室にはカメラ,マイク,スピーカーを設置し,隣接して設置される実験制御室でそれらを管理・制御することで,複数の実験を並行して実施することができます。他にも,ワンウェイミラーと録画用のカメラを複数台備えた行動観察室や,アイマークレコーダーを備えた生理実験室,箱庭や各種心理検査,面接実習を実施可能な心理臨床室を設置する予定になっています。

また,京都太秦キャンパス内には,心理教育相談室が設置されています。心理教育相談室は,心身の不調や人間関係・生き方についてなどの幅広い悩みについての相談を受け,臨床心理学的援助を行うための機関であり,個人面接や親子並行面接,グループでの子育て相談会などが行われています。臨床心理学コースの大学院生は,教員の指導を受けながら心理教育相談室で相談を担当しており,臨床心理士・公認心理師としての教育・訓練を受けることができます。

写真2 心理教育相談室の様子
写真2 心理教育相談室の様子

おわりに

2019年,本学は開学50周年を迎え,大学校名を京都先端科学大学に変更します。2020年には工学部を開設する予定となっており,人文学部心理学科もまた,さらなる変革を行っていく予定です。今後の本学科の展開については,本学の公式サイト(https://www.kyotogakuen.ac.jp/)をご覧いただけましたら幸いです。

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