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心理学キャンパス

神戸親和女子大学

辻川 典文
発達教育学部心理学科

辻川 典文(つじかわ のりふみ)
所在地:神戸市北区鈴蘭台北町7-13-1
https://www.kobe-shinwa.ac.jp/

Profile─辻川 典文
神戸親和女子大学発達教育学部心理学科准教授。専門は社会心理学。著書は『心理学の最先端:「こころ」のしくみを解き明かす』(分担執筆,あいり出版)など。

はじめに─神戸親和女子大学の成り立ち

神戸親和女子大学は,学校法人親和学園によって1966年に兵庫県神戸市北区鈴蘭台にて開学しました。設立母体である学校法人親和学園は,1887年(明治20年)に創立された親和女学校を創始としており,神戸では地域の人々に親しまれた歴史のある学校です。親和女学校は設立時より「新しい女性の創造」を目指し,「社会において自立して活躍する女性の育成」を建学の理念として掲げました。この建学の理念は,今日まで130年有余にわたって,脈々として継承されています。また,「誠実」「堅忍不抜」「忠恕温和」という校訓があり,いわば,人間としての普遍的な生き方を示す教育的価値として,今日まで親和学園の教育を支え続けています。

神戸市北区にあるメインキャンパスは,神戸市中心部である三宮からスクールバスで約30分,自然の多い閑静な住宅街の中にあります(写真1)。現在は文学部と発達教育学部の2学部および大学院2研究科を擁する大学となっています。また,通信学部も併設しており,神戸市中央区の三宮にキャンパスを構えています。

写真1 神戸親和女子大学鈴蘭台キャンパス
写真1 神戸親和女子大学鈴蘭台キャンパス

理学科の学び─多様な学びを活かした三つのプログラム

神戸親和女子大学の心理学科は,1998年の文学部人間科学科から始まり,その後,学科改変等を経て発達教育学部心理学科となりました。心理学科では,学生の進路と関連づけて「公認心理師・臨床心理士(心の専門家)プログラム」「現代女性のための心理学プログラム」「子どものこころがわかるプログラム」の三つのプログラムがあります。なお,このプログラムは学びの指針であり,学生の興味に合わせて一つのプログラムを集中的に履修することも,二つでも三つでも複数のプログラムを学ぶことも可能となっています。

「公認心理師・臨床心理士(心の専門家)プログラム」では,心理臨床の基礎的知識から心理療法まで幅広く学び,心理学の知識をもとに人々の幸せや健康を支援する力を身に着けていきます。大学院と連携しながら6年一貫での教育体制をとり,公認心理師と臨床心理士の二つの心理の資格取得を目指します。また,大学院進学のためのサポート体制もあり,セミナーの実施や心理学英語の講義など,院への進学に必要な専門知識と英語力の向上を図ります。科目としては,「心理的アセスメント」や「精神疾患とその治療」,「心理学的支援法」など国家資格である公認心理師の資格取得に必要な科目を中心に,心理臨床の力を養うために必要な科目があります。

「現代女性のための心理学プログラム」では,心理学の知識を活かしさまざまな社会場面で活躍することのできる能力を身に着けることを目的としています。心理学=カウンセラーというイメージがあるなか,本学の心理学科では,心理学の知識を広く社会で活かせるようさまざまな心理の学びがあります。日常生活における色の効果と心理の関係を学ぶ「色彩心理学」,化粧やファッションにおける心理学的アプローチを学ぶ「粧いの心理学」,購買・消費行動における人々の心理を学ぶ「消費者心理学」,他にも「産業・組織心理学」「キャリア支援の心理学」「音楽心理学」「スポーツ心理学」「自然環境と心理」など,さまざまな心理学を学びます。

「子どものこころがわかるプログラム」は,子どもの心身の発達を理解し,サポートすることのできる能力を養うことを目的としています。このプログラムでは,子どもが抱えるさまざまな困難を解消するうえで,子どもの視点に立って考えることの重要性,子ども本人や周囲の人に寄り添うことの大切さを学びます。科目としては,発達および発達過程についての基本的な知見や理論を学ぶ「発達心理学概論」や子どもが体験している世界を発達段階に合わせて体系的に学ぶ「子どもから見た世界」,他にも「福祉心理学」「発達臨床心理学」「障害者・障害児心理学」などがあります。

実践的な学びの場

本学科では心理学の学びを深めるさまざまな実践的な実習や演習科目があります。実習科目としては,基礎的な心理学の実験や調査手法を学ぶ「心理学実験・実習A・B」とその発展版の「心理学実験」,医療,福祉,教育,司法,産業などといったさまざまな場面での心理専門職の役割を学ぶ「心理実習」,子どもと触れ合いながら,子どもの心理やアプローチの方法を体験的に学ぶ「子ども実習」,実験や調査を通して人間関係や購買行動の不思議を学ぶ「社会心理学実験・実習」などがあります。また,カナダ(トロント)での短期間の研修を通して,海外での教育・医療現場における心理学の役割について学ぶ「海外心理学研修」もあります(写真2)。演習科目としては,2年次に研究の基礎を学ぶ「心理学基礎演習」,3,4年次には自ら研究テーマを設定し,心理学を深く研究する「心理学専門演習」があります。いずれも少人数のゼミ形式であり,小規模な本学科独自のきめ細かな指導を実施しています。

写真2 海外心理学研修の様子
写真2 海外心理学研修の様子

卒業後の進路

心理学科の学生は,各プログラムに関連したさまざまな進路に進んでいます。「公認心理師・臨床心理士(心の専門家)プログラム」では,大学院へ進学し,公認心理師と臨床心理士の資格を目指します。そして,専門家として教育現場や福祉現場,病院などさまざまな場所で活躍しています。「現代女性の心理学プログラム」では,多様な心理の学びを活かし,アパレル関係や金融関係,自動車関係,不動産関係などといった一般企業に就職している学生が多くいます。また,「子どものこころがわかるプログラム」では,子どもに寄り添える力を身に着け児童関連施設に就職する学生や,本学の通信教育を併修し教員免許を取得し,子どもの心理に寄り添える教員を目指す学生もいます。

大学院での学び

本学の大学院,心理臨床学専攻は2002年に開設しました。心理臨床学専攻では,学生は臨床心理士や公認心理師の資格取得を目指すことはもちろん,人々の心の発達を支え,心のケアを必要としている人々を支援することのできる心理臨床家を目指しています。本学大学院は臨床心理士養成第一種指定校であり,これまで多くの臨床心理士を輩出してきました。そして,国家資格である公認心理師の養成カリキュラムにも対応しており,二つの資格を取得した修了生もいます。臨床心理士と公認心理師の二つの資格を目指すことで,心理臨床家としての専門性を高めるとともに,医療,福祉,教育,産業,司法などといったさまざまな領域の専門家たちと協働できる力を身につけます。大学院修了後の主な進路としては,小中高のスクールカウンセラーや教育研究所・総合教育センターなどにおける相談員,病院,精神保健センターなどで勤務しています。

おわりに

最後に心理学科の学生の様子を紹介します。本学科にはさまざまな思いを持って勉学に励む学生がいます。クラブで大きなけがをしたことがきっかけで人の心を支えたいという思いを持った学生,スクールカウンセラーに助けられた経験から自分も同じようにカウンセラーの道に進もうとする学生,発達障がいや虐待の問題に取り組みたいとボランティア活動を続ける学生,ファッションや化粧に興味を持ち,色についての心理学を学ぶ学生,人を楽しませることが好きで人の気持ちを学び起業を目指す学生などなど。小さな女子大学ではありますが,学生一人ひとりが強い思いを持って活動をしています。

神戸親和女子大学の心理学科に興味を持った方はぜひ一度,本学のオープンキャンパスなどにご参加ください。また,紙幅の関係で紹介できなかった内容については,本学のホームページに詳しい内容を掲載しております。興味を持たれた方は,ホームページの方もぜひご覧ください。

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