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心理学ライフ

ざじょんくす バンドやろうぜ

松田 昌史
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 研究主任

松田 昌史(まつだ まさふみ)

Profile─松田 昌史
2003年,北海道大学文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。2003年より現職。専門は社会心理学。著書は『幸福を目指す対人社会心理学: 対人コミュニケーションと対人関係の科学』(分担執筆,ナカニシヤ出版)など。

ロックンロール・ウィドウアー

40歳の時に趣味としてエレキギターをはじめました。ステージで女子からキャーキャー言われたかったのです。モテたいためのロックンローラー,私,動機が不純なんです1。エレキギターを購入し,月3回のレッスンにも通っています。もう5年になります。

始めてみてわかったのですが,モテることにギターの主効果はなさそうです。ギター×イケメンの交互作用2,もしくはイケメンの主効果だけが有意なのでしょう。美容整形などに投資すべきだったかもしれません。

しかし,いつしかギターそのものに熱中し,モテることは二の次になりました。まれに女性から週末のディナーに誘われることがありますが,不運にもレッスンは土曜日の夕方です。ギターとデート(デート?デートなのか!?)を秤にかけて,ギターを選ぶほど夢中です。

中年のためいき

僕は学校の授業以外に音楽経験は皆無でした。そんな人間が40歳で一から始めることには苦労もありました。レッスン講師からは「そもそもリズム感がない」などと叱られる日々。モテないし,才能もない。もうやめてしまおうと思ったこともあります。

そんな頃,本誌に連載を持つ平石界先生からGuitar Zero3という書籍をご紹介いただきました。著者のMarcusは当時40歳代の認知心理学者。僕と同じようにギターへの憧れはあったものの,リズム感の欠如を自覚して二の足を踏んでいたとのこと。ある日,彼は自身の苦手意識と心理学者としての見識を昇華させ,ギター習得に取り組みました。その経験を科学的知見に照らして記述したのが同書です。彼の奮闘に勇気づけられたのはもちろん,理知的な習得過程はとても参考になりました。

著者は,友人が多数得られたことも音楽の賜物だと述べています。僕も大いに同意します。方々でエレキギターのことを話すと,音楽経験者が大勢見つかります。「ずいぶんやってないから……」などと逃げる人は多いのですが,「一緒にやりたい!」と言ってくれる人もいます。

ウィズ・リトル・ヘルプ・フロム・サイコロジスツ

学会でお会いする先生方の中にも音楽愛好者は少なくありません。そういった先生方と音楽を通じた付き合いが増えました。

2018年,ついに心理学者バンド『ざじょんくす』の結成に至ります。単純接触効果や社会的促進のZajoncから頂戴したバンド名です。本誌の愛読者なら間違えないでしょうが,学生時代に「ザイアンス」ではなく「ザジョンク」と書いて減点された同級生がいたことでしょう。

メンバーは流動的ですが,コアとなる4人がいます。僕のほか,樋口匡貴先生(上智大学;ギター),武田美亜先生(青山学院女子短期大学;サックス),鳥山理恵先生(東京大学;手拍子/バンド命名)です。学会等の機会に出張先近辺の貸しスタジオで演奏します。楽器の貸出もあるので,手ぶらもしばしばです。メンバーの嗜好がバラバラなので曲目リストは混沌としています。たとえば,椎名林檎『丸の内サディスティック』→ Pee Wee Ellis『The Chicken』→ Eric Clapton『Tears in Heaven』→ SHISHAMO『明日も』などという流れです。近い将来「音楽性の違い」で解散することが心配されています。また,メンバーではありませんが,作詞作曲を趣味とする某先生がオリジナル曲を書くと約束してくれたので(忘れてますよね?直接催促するのも憚られるので,ここに書きます),それもレパートリーに入れようと思っています。

ざじょんくすがライブをする計画はありませんが,スタジオ観覧は歓迎します。飛び入り演奏はさらに大歓迎です。2019年日心大会後も学会員何名かが参加してくれました。2020年は東京でセッションしましょう。僕がモテるよう引き立ててくれるなら腕前は問いません。

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