心理学キャンパス
清泉女学院大学
石井 国雄(いしい くにお)
所在地:長野県長野市上野2-120-8
https://www.seisen-jc.ac.jp/
Profile─石井 国雄
清泉女学院大学人間学部心理コミュニケーション学科 准教授。専門は社会心理学。著書に『自ら挑戦する社会心理学』(分担執筆,保育出版社)など。
はじめに
清泉女学院大学は,長野県における唯一のカトリック4年制大学として教育・研究活動を行っています。1877年に創立者ラファエラ・マリアによってスペインのマドリードに誕生した聖心侍女修道会を設置母体としています。聖心侍女修道会は,1934年に修道会会員を日本に派遣し,財団法人清泉寮ならびに各種学校清泉寮学院を東京に設置し,本学のルーツとなりました。長野では1981年に清泉女学院短期大学が設置され,2003年に清泉女学院大学が発足しました。現在は人間学部,看護学部,短期大学部の3学部と看護の大学院の体制となっています。
「こころを育てる」を教育上のメッセージとしており,本学のモットー「神の尊前に清く,正しく,愛ふかく」が表しているように,輝く現代的な女性としての「こころ」を育む教育を目指しています。自分を高め,他者のために考え,行動できる人間を育成するために,専門的な知識や技術の習得だけではなく,人間教育に重きをおいた教養教育(リベラル・アーツ)を重視していることが本学の特色です。地域と社会に貢献できる情操豊かな人材の育成を目指して,清泉女学院大学では全学の学生が履修する共通教育科目において共生のこころと幅広い教養を身に付けることができるカリキュラムとなっています。
清泉女学院大学は少人数の授業を大切にし,ディスカッションやグループワークの機会を多彩に設けて,主体的に考える力,論理的思考力,行動力,他者を大切にする力などが育まれるように努めています。教員と学生の距離が近く,豊かなコミュニケーションと丁寧な指導による密度の濃い授業を実施しています。大学全体がアットホームな雰囲気に満ちています。学生に対する面倒見がよく,学内では,研究室や教室はもちろん,廊下やホール,学食などで教授や職員が学生と話している姿をよく見かけます。また,上級生による新入生へのサポートを中心とするピアメンター活動がさかんで,そこでは学年の垣根を越えた交流がなされ,相手も自分も大切にするコミュニケーション・スキルが育まれています。
キャンパスの魅力
本学には長野市の上野と長野駅東口の二つのキャンパスがあります。心理コミュニケーション学科が属する人間学部は上野キャンパスがメインです。上野キャンパスは長野駅から7キロ程離れた高台に位置し,善光寺平が眼下に望めます。周囲には北信の山並みが連なり,晴天に恵まれると北アルプスを見ることもできます。都会の喧騒から離れて,静かな環境で学問に勤しみたい方には素晴らしい環境です。また,近くにはリンゴ畑が広がっており,リンゴ好きにはたまらないところです。
自然に囲まれたキャンパスに,心が清められるようなチャペルや音楽堂も魅力の一つです。深紅の屋根と純白の壁に統一された校舎は,ラファエル館,マリア館,セシリア館,ヨゼフ館,パウロ館,エンジェル館,ソフィア館,フランシスコ館といった聖人の名前が用いられておりキリスト教の精神を身近に感じることができます。また校庭にはさまざまな花が咲き乱れています。とくにアンネ・フランクに由来する「アンネのバラ」には平和の願いが込められており,姉妹校の清泉女子大学(五反田)にも株分けしています。
心理学関係では二つの実験室と一つの行動観察室があります。学生相談室には公認心理師がスタッフとして常駐しており,丁寧な学生サポートを行っています。
最寄りの三才駅は,長野駅から電車で10分ほどのローカルな駅です。しかし,ウエルカム三才児プロジェクトという,3歳になった記念に全国から親子連れが訪れる駅として有名です。サイまるくんというゆるキャラが出迎えてくれますが,実は,本学の1年生ゼミ(基礎セミナー)が提案した「三才駅かわいい化プロジェクト」から誕生したキャラクターです。
学科の特徴
心理コミュニケーション学科は,心理と英語コミュニケーションの2コースからなります。コミュニケーションを共通項に,心の働きを理解し,コミュニケーションを通した共生関係を積極的に形成し,地域や社会での諸問題を解決する能力を有する人材を育成するための教育を行っています。とくに心理コースは心理学を専攻する学生に教育を行っており,生理心理学,社会心理学,発達心理学,臨床心理学,犯罪心理学,コミュニティ心理学を専門とする8名の教員がいます。
心理コースのカリキュラムは,心理学の研究方法を学ぶ基礎科目と,心理学の諸理論や実践を系統別に学ぶ展開科目から構成されます。さらに展開科目は,基礎社会系,学校・発達支援系,臨床心理系,実習的科目群,応用的科目群に分かれます。
公認心理師カリキュラムに対応し,公認心理師を志す学生を指導しています。「心理基礎演習Ⅱ(心理実習Ⅰ)」を2年次必修として心理コース学生全員が,保健医療・教育・福祉・産業労働・司法犯罪の5分野で施設見学実習を行います。さらに公認心理師を目指す学生に対して,3年次の「心理実習Ⅱ」において,教育委員会,犯罪被害者支援センター,長野少年鑑別所,障害児・者福祉施設等で実習を行います。本学は心理学系の大学院が併設されていませんが,近隣の大学と大学院進学に関する協定を結んでおり,進学を志望する学生に対し,他大学大学院の情報収集・試験対策などをコース全体でサポートしています。
演習・実習科目が充実しており,1年次「基礎セミナー」,2年次「心理基礎演習Ⅰ・Ⅱ」,3年次「専門演習Ⅰ・Ⅱ」,4年次「専門セミナー」と4年にわたり少人数クラスの中で指導を受けることができます。学内外でのアクティブラーニングがさかんで,「心理基礎演習Ⅰ」では長野県信濃町と連携して,森林セラピー体験を授業に取り入れています。
また,「心理学調査実習Ⅰ・Ⅱ」ではグループに分かれ,長野県民の心理・行動の特徴を把握するための調査を行いますが,学生自らが調査先を開拓するなど,主体性を重視した教育実践を行っています。近年では2017年度に長野駅前でアルクマの知名度に関する調査(実際にゆるキャラのアルクマにも登場してもらいました),2018年度には善光寺の境内で防災意識に関する調査を行いました。いずれも調査実施のために学生が官公庁や役場に交渉するなどアクティブに活動をしています。
リサーチ系の科目も充実しており,社会調査協会が認定する社会調査士資格を取得できる科目を配置しています。とくに「心理学統計法Ⅰ・Ⅱ」「心理データ解析Ⅰ・Ⅱ」では統計の基礎から実践まで習得できるように,十分な時間をかけています。はじめは統計が苦手な学生も多いのですが,最後には卒業研究を一人で分析できるようになっています。
本学の要の一つはキャリア教育で,さまざまな側面からキャリアについて考える機会を提供しています。「キャリアデベロップメント入門・基礎・展開・実践」の中で1年から4年まで将来の生活と働き方について,じっくりと考えます。また,女子大の使命として,女性として社会で生き抜く知識とスキルの習得を目指しています。「女性とライフコース」では,女性を取り巻く環境を学際的に理解するため,歴史的,文化的な背景,女性特有の生物学的特徴,心理学や社会的影響,制度政策について学びます。さらに,「心理学実践ワークショップ」では心理学とキャリアとのつながりを意識した内容となっています。
これから大学への進学を考えている皆さんに向けて
清泉女学院大学心理コミュニケーション学科は,人の心の働きや社会との関わりを中心に学ぶコースです。人の心や行動に関心をもつ人,心の問題に対し他者に寄り添いながら支援する意欲をもつ人,心に関する知識を現代社会で実践的に活かそうとする人を求めています。ゆるやかな雰囲気の中で,自分らしく輝くための時間づくりを提供できればと思っています。オープンキャンパスは大学とWebで開催しています。ご関心のある方はぜひ大学Webページをご覧ください。
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