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常務理事会から

学術大会の歴史とこれから

2015年から2019年まで,常務理事を2期お務めし,2年ぶりに常務理事を担当させていただくことになりました。新たな顔ぶれでまた日心のお仕事をさせていただくことが楽しみです。

しかし,楽しんでばかりはいられません。大会運営という大仕事を担当することになりました。2022年度の大会主催校が見つからず,それで前常務理事会の決断で,主催校なし,理事長を大会長とし,総務担当を事務局長とし,常務理事会が中心になって大会を運営するということになっていたのです。そして,私の今期の役目は総務担当です。総務担当は前回に引き続いて2回目ですが,大会の事務局長という大役を兼任することになるとは,思いもよりませんでした。2018年の第82回大会(東北大学)で事務局長を務めてホッとしていたのも束の間,わずか4年で再びあの大仕事を仰せつかってしまったのです。

これも何かのご縁なのでしょう。謹んでお引き受けすることにいたしました。道連れは鈴木華子常務理事(国際担当)です。鈴木華子先生も,第83回大会(立命館大学)の事務局長をされたばかりですが,私と一緒に運営業務に携わっていただくことになりました。似た境遇の二人で,坂上貴之大会長(理事長)を支えられるよう,微力を尽くしたいと思います。

常務理事会主体の大会運営は初めてのことです。温故知新,まずは,大会の歴史を振り返ってみます。

図1に,データが残っている大会の参加者数の推移を示しました(対面で行った2019年第83回大会まで)。第一回の日本心理学会の学術大会は,1927(昭和2)年に東京帝国大学の法医学教室で,松本亦太郎教授を大会長として行われました。参加者数は190名,発表件数66件でした。時代とともに参加者数,発表件数は増大し,第83回大会(2019年)では,過去最多の3,998名の参加,1,032件の発表がありました。参加者数は21倍,発表件数は16倍の増大です。心理学という学問領域が,この100年弱で,いかに発展したかがうかがえます。

図1 大会参加者数の時代推移
図1 大会参加者数の時代推移

図1では,全体平均のほかに,中央開催と地方開催の別に平均した結果も示してあります。中央開催とは,関東圏・関西圏と名古屋,地方開催はそれ以外の地域です。地方大会では,参加者数が少なめであることがうかがえます。そもそも,81回のうち(全83回から1937年京城帝国大学開催と2016年ICP合同大会を除く),地方開催はわずかに20回を数えるのみです。私は遠いところほど旅行のチャンスだと思って張り切るのですが,旅費が高くなると人数が多い都会の院生の参加を抑制する可能性があります。

注目すべきは,初のウェブ開催となった2020年度の第84回大会(東洋大学)です。会費を払って参加した総人数は2,360名ですが,公開シンポジウムには会員外の聴講者が数多く参加しました。たとえば,私が3年連続で開催させていただいた哲学と心理学に関するシンポジウムは,対面の年はせいぜい50名くらいの参加人数でしたが,ウェブの公開講演では,終了時に残っていた参加者数は252名でした(doi: 10.20797/ems.6.Si_31)。5倍の盛況だったわけで,無料参加者を含めたら,第84回大会は,過去最多の参加があった可能性があります(執筆時点では第85回大会(明星大学)未開催)。

さて,歴史を振り返った上で第86回大会の課題を考えるつもりでしたが,紙幅が尽きました。続きはいずれ。

(総務担当常務理事/東北大学教授 阿部恒之)

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