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若手の会から
大学の研究者が企業や地域と共同関係を結ぶために必要なこととは?
今年の日本心理学会では,上記のテーマで,大会企画シンポジウムを若手の会で実施させていただきました。
私自身,博士論文まで大学生を対象としたアナログ研究を主としており,博士号取得後,新たなコミュニティと手を組み,研究を展開することの難しさを感じていました。
本シンポジウムでは,教育,企業,スポーツ領域の方と共同研究を実施している先生方(順に,明治学院大学:山田達人先生,東京家政大学:岡島義先生,東京大学:工藤和俊先生)とその共同研究者(順に,埼玉県ふじみ野市立大井東中学校:守谷喜光先生,NECソリューションイノベータ:秋冨穣先生,JLPGA公認女子プロゴルファー:菅野仁美先生)にお越しいただき,共同関係の構築や研究フィールド開拓のチャンスを得るために,研究者に求められる要素について議論を行いました。
先生方との議論を通して,「研究者は自身の要求だけではなく,相手側のニーズを把握し,それを満たすこと」「相手に柔軟に合わせる」「礼節を重んじる」「誰でも良いのではなく,なぜあなたと研究をしたいのか,なぜ○○学校で調査をとらせてほしいのかを明確に伝えること」「義理や恩の有無」「知見のフィードバックが実際に役立つ内容になっているか」などの内容が共同関係の構築や研究フィールドの開拓に必要な要素として浮かび上がってきました。
これらの要素は研究だけではなく,全ての社会的なやり取りで重要な要素だと思います。産学連携のマッチングシステムや調査会社への委託など,便利さが加速する世の中ですが,最終的には「人と人」で成り立っているということを忘れずに研究を進めていきたいと思いました。
本シンポジウムが心理学領域のさらなる発展と一隅を照らすことにつながれば幸いです。
(若手の会代表幹事 井上和哉)
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