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若手の会から

ママPh.D.のたまご

私は現在,博士後期課程に在籍する学生であると同時に,2歳と4歳になる娘たちの母親でもあります。研究者モードと母親モードの間で頭を切り替えながら,目の回るような日々を過ごしています。この度は,各々の環境で挑戦を続ける若手研究者の皆さんに思いを馳せながら,このコーナーで筆を執らせていただきました。

コロナウイルスの流行が,世界中で苦難と混乱を引き起こしたことは言うまでもありません。しかし一方で,この厄災に応じて確立された「新しい生活様式」が,子育てと研究の両立に悩んでいた私に,不幸中の幸いといってもよい恩恵をもたらしたことも事実です。というのも,リモートワークで在宅時間が長くなった夫は,家事や育児の分担をさらに増やしてくれるようになりましたし,私自身は,オンラインまたはハイブリッド開催に変更された国内外の学会に,自宅から参加することができたからです。このような状況は,コロナ禍を経験しなければ考えられなかったかもしれません。

リモートで研究報告を行ったある国際学会では,ポスター賞をいただくことができました。受賞の連絡をくださった先生とのやり取りの中で,彼女がお孫さんを連れてバカンスに行ったことを知りました。当時の日本は,子どもを連れて遠出するような雰囲気ではなかったことから,少し驚きました。しかし,それ以上に,同じ小さな家族を身近に持ちながらコロナ禍を過ごす者としての連帯意識が芽生えたことを覚えています。

若手研究者であり新米の母親でもある私は,今後もしばらく研究と子育ての「二刀流」を続けることになるでしょう。この奮闘の先に,納得できる結末が待っているでしょうか。不安に襲われ,挫けそうになることもありますが,明日は明日の風が吹く。そう自分に言い聞かせながら,今も机に向かっています。

(若手の会幹事 瀧川諒子)

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