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若手の会から

「相談する」は簡単じゃないけれど

研究や人生には明確な答えがなく,そこに答えを出すのは難しいものです。そのためか,若手の会「進路相談会」をはじめ,「うまく相談に行けない」との声がたびたび寄せられます。あなたや周囲にも,相談の最初の一歩が苦手な人はいませんか?

人を頼ることは「ソーシャルサポート」「援助要請」の名称で,社会心理学や臨床心理学の領域で長年研究されてきました。その知見をふまえると,「これさえ解消すれば/身につければOK」というものはなかなかありません。一方,不安症関連の知見から見ると,「考える枠組み,対処法を決める」というのが一つの手かもしれません。

具体的には,「○日の○時~○時まで」と考える時間をあえて区切り,そのテーマについて考える期限を設定します。これで必然的に「それ以外の時間は考えなくていい」ことになり,その間は集中できます。また「考える時間」は,一連の具体的で途切れない映像の形式で,自分が行動している様子をイメージし,リストとして書き出すことに徹します。そしていつ実行するかを決め,「考える時間」以降に実行します。また「期限まで考えても解決策が浮かばない・実行に移せない場合に誰にどう相談するか」も事前に決めておきます。相談時には状況を整理して話す必要がありますが,信頼する相手に全て打ち明けている自分をイメージすると,実際に相談せずとも,その人の助言をイメージでき,解決につながることがあります。これで解決すれば相談せず済み,解決しなければ予定通り相談して前に進むことができます。

一方で教育・指導側は,事前に相談の枠組みを被指導者に伝わる形で一緒にすり合わせておくことで,双方のリソースの範囲内で,互いのニーズを満たしていく仕組みづくりにつながるかもしれません。今後も広く「若手」からのご要望をお待ちしています!

(若手の会幹事 町田規憲)

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