認定心理士コーナー
資格認定委員会から
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資格認定は,公益社団法人日本心理学会の業務のひとつの大きな柱です。これを通して,しっかりと心理学の重要な知識を身につけられた人々にその保証を示しますと共に,社会のなかでの心理学の普及を図る意味合いがあります。今回から,この資格関係の担当常務理事となりました。認定業務は多要素複雑な細かい業務であり,認定作業にあたってくださっている先生方に感謝しております。今回選挙なども挟まり,少し積み残された分も作業させていただきましたので,7月の委員会ではいつもにまして多くの審査をさせていただきました。
一時期新型コロナウィルス拡大の影響もあり,申請数が減少したこともありますが,基本的に大学の課程は,リモート授業などインターネットを活用することで続行され,いくらか回復もみられました。卒業者がいる限り,認定心理士は誕生し続けるものと期待しております。今回は多くの申請があり,時間も確保してあたらせていただきました。
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1 認定心理士について
2023年7月22日に開催されました2023年度第2回委員会(通算第195回)におきまして,認定心理士につき,3月2日から5月2日までに受け付けたうち769件を審査し,732件を合格,27件を保留,10件を不合格としました。また,以前の委員会で保留または不合格と判断された者のうち追加資料の送付された26件を再審査し,23件を合格,1件を保留,2件を不合格としました。また,カリキュラムの検討を24件行っています。この結果,2023年度の審査数は1,303件,総審査数は1,360件,認定許可件数は1,249件,資格取得者数は421名となりました。資格取得者は累計71,260名です。次回認定委員会の開催予定日は2023年10月14日です。
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2 認定心理士(心理調査)(通称:心理調査士)について
前掲第195回委員会で,7月16日までに受け付けたうち119件を審査し,86件を合格,28件を保留,5件を不合格としました。また,前回までに保留または不合格と判断された者のうち追加資料の送付された1件を再審査し,保留としました。この結果,認定心理士(心理調査)の資格取得者の累計は456名となりました。
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3 資格担当常務理事就任にあたりまして
専門知が社会において有効に活用されるためには,その環境的な土台が必要だと考えています。専門知に説得力があり,また,それを受け入れて活用する土壌があること。ここにおいて,心理学の有用性を日本社会では生かし切れていないなと以前より感じていました。
かつて日本理論心理学会シンポジウムで自分が提起したように,学問知としての心理学と世間的な理解に乖離があることの理由はいくつかあるとは考えていますが,ここでは詳述しません。しかし,いずれにしましても,これらの溝を埋める効果的役割のひとつとして,認定心理士の資格を有する人たちの活躍が期待できると考えています。正しい知識の学会からの発信を充実させると共に,世の中と学会をつないでいく存在としての認定心理士のみなさんのポテンシャルを重要視し,シンポジウムや今後期待される研修会などの交流の機会を通じて,社会の知識・理解の底上げにいくらかでも進展がみられたらと願い,資格担当常務理事として,今後活動していく所存です。どうぞ,よろしくお願いいたします。
(資格担当常務理事/東洋大学教授 北村英哉)
編集後記
病いと健康の関係はオセロの石のような白黒裏表ではなく,キャンバスに白や黒,さまざまな色彩が混色されずに配置される印象派の絵画のようであった。健康と病いの対比的な二色に,文化の彩りや個別の色味があり,スキルや強みなど新たな色彩も加わる。病いの語りの反語性は,多色性の絵の具のようである。近づけば経験の多彩さが際立ち,全体として人生の一瞬を捉えた絵画。その連なり。特集から,そうした病いと共にある人生の連続絵画が想像された。(東海林渉)
編集委員
編集委員長
片山順一
関西学院大学
副委員長
松田いづみ
青山学院大学
委員
牛谷智一
千葉大学
大北 碧
甲南女子大学
川島大輔
中京大学
蔵永 瞳
滋賀大学
坂田陽子
愛知淑徳大学
東海林渉
東北学院大学
野内 類
東北大学
野村和孝
北里大学
橋本博文
大阪公立大学
福田実奈
北海道医療大学
森本裕子
宇部フロンティア大学
担当常務理事
原田悦子
筑波大学
心理学ワールド
[103号]2023年10月15日発行 年4回発行(1月,4月,7月,10月)
- 発行人阿部恒之
- 編集・発行公益社団法人 日本心理学会 〒113-0033 東京都文京区本郷5-23-13 田村ビル TEL 03-3814-3953
- 表紙デザイン重実生哉
- 印刷・製本新日本印刷株式会社
- 制作株式会社新曜社
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