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認定心理士の会から
情報の海を専門家と渡る
この原稿を執筆している現在(2023年10月初旬),コロナ禍前の日常へと回帰しようとする動きが加速しているように感じられます。コロナ禍が社会に及ぼしてきた影響を心理学の視点から改めて考えてみると,特に注目されるもののひとつが,偽情報や陰謀論の流布です。これらの情報が拡散する速度は,専門家の反駁が追いつかないほど速く,それが混乱や不安を引き起こしています。
このような背景の中で,専門家による正確な情報のアウトリーチの必要性が一層,増してきました。アウトリーチの魅力は,一般市民と専門家との間のギャップを埋めることにあります。専門家は研究や実務の中で得られた知見を,具体的でわかりやすい形で伝えることで,一般市民の理解を促進することができます。このようなコミュニケーションは,社会の不安や誤解を減少させ,より健全な社会を形成する礎となるでしょう。
私自身,認定心理士の会の公開シンポジウムに関わった経験から,アウトリーチの効果を実感しています。オンライン開催のおかげで,これまでよりも多くの方々が参加でき,多くの疑問に丁寧に答えられたのは,大きな収穫でした。公開シンポジウムは正確な情報を欲する一般市民と専門家をつなぐ重要な場として機能していると思います。
専門家と一般市民が情報を交換し,知識を深めるプロセスは,社会全体の認識を豊かにします。情報をオープンマインドで共有することを通じて,一緒に学び,理解を深めることができます。認定心理士の会は,この対話を推進するプラットフォームとして活動し続けてまいります。皆さんとの共同作業を楽しみにしています。
(認定心理士の会運営委員会委員 宮島 健)
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