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若手の会から

現役学生の悩みごとについて

9月に日本学術振興会特別研究員の採用者が発表され,SNSでは多様な声が上がっていました。二十代後半となると結婚や子育てのようなイベントが増える一方,お金の事情は切実であり,特別研究員に支給される研究奨励金を当てにしている人が多いのだと思います。私にとっても過ぎ去った出来事ではなく,特別研究員PDに応募できる資格を一応は持っています。実際に応募するかは別として学振関係の講演には興味を持っています。

最近若手の会で「学振」をテーマにした企画を行いましたが,聴講いただいた方々から厳しいご意見をお寄せいただきました。その多くが,所謂「成功者」の方略は参考にならない部分が多いとのコメントでした。確かに,現役世代が直面している悩みを拾い上げ,適切な情報供給をできていなかったように思います。特別研究員の採択率(20%程度という話が有名ですが,社会科学区分だけで考えると実は20%を下回っている)を考えると,焦点を当てるべきは,申請書類の採択可能性を上げる方法論よりも,不採択だった場合にどうするかという情報なのかもしれません。

最近では大学院生に対する金銭的な支援網が向上し,特別研究員になる以外の選択肢が増えてきています(それでも生活はやや厳しいかもしれませんが)。中にはクラウドファンディングや動画投稿の収益といったような特殊な金銭獲得手段も散見します。再現性が低い手段は除外しても,若手が研究職を諦めないための情報を探り提供することに努力を注ぐ価値はありそうです。ちなみに,現役学生の方々からは社会人学生という手段について何度か尋ねられたことがあります。一般企業にお勤めの方々が,長い就学期間を要しても学位を取得できる環境が整備されれば,それはそれで心理学業界にメリットがあるかもしれません。

(若手の会幹事 前澤知輝)

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