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心理学ライフ

お絵描きが好きです。

田渕 恵
安田女子大学心理学部 准教授

田渕 恵(たぶち めぐみ)

Profile─田渕 恵
専門は生涯発達心理学,社会心理学。博士(人間科学)。著書に『なるほど! 心理学調査法』(分担執筆,北大路書房),『The development of generativity across adulthood』(分担執筆,Oxford University Press)など。

物心がついた頃から,絵を描くことが大好きです。とは言え,絵を描くことについての専門的な知識や技法を習得しているわけでは全くなく,頭に浮かんだものや見えているものをそのまま好き勝手に描いていますので,素人作品でお恥ずかしい限りです。「どうして絵を描くんですか」とよく聞かれますが,「楽しいから」という以外に理由はなく,真っ白な紙がそこにあったり描きたいと思う人に出会ったりすると,考える前に手が動いてしまいます。

図1 学会で描かせていただいた闘牛
図1 学会で描かせていただいた闘牛

好きでよく描く絵は,大きな動物と人間です。幅約70cm×高さ約180cmのドアの廃材に,牛や馬,亀や虎などをペンキで描きます。最近ではお正月にその年の干支を描くことが多いですが,その他にも急に頭の中に降ってきた動物を思い切り大きく描いたりします。2016年に開催された日本社会心理学会第57回大会では,大会委員長の三浦麻子先生(大阪大学大学院人間科学研究科)に「懇親会中に大会のイメージ絵を描く」という楽しい企画をいただき,高さ約180cmの壁紙に闘牛の絵を描かせていただきました(図1)。それから,似顔絵を描くのも大好きです。似顔絵の場合は,紙やタブレットに小さなサイズでちょこちょこと描きます(図2)。知り合った研究者の方の似顔絵を描かせていただくのが大好きで,そのご縁でありがたいことに似顔絵やイラストのご依頼をいただくこともあります。例えば,『心理学ベーシック』シリーズ[1]では挿絵のお仕事をいただき,各編者の先生方を挿絵の中にたくさん描かせていただきました。本誌の人気コーナー「裏から読んでも心理学」の平石界先生(慶應義塾大学文学部)も,長年似顔絵を使ってくださっており,とてもありがたいことです。

図2 似顔絵やイラストいろいろ2
図2 似顔絵やイラストいろいろ[2]

それまでは何も考えずにただ楽しくて描いていたのですが,心理学の世界に足を踏み入れてから,「絵を描く」という行為,特に「似顔絵を描く」という行為が心理学的に非常に不思議で面白いのではないかと気づき,研究テーマとして興味を持ち始めました。例えば,私には似顔絵を「描ける人」と「描けない人」がいます。「描ける人」に出会ったときは,「初めまして」という言葉を交わすだけですぐに描きたくなりますし,実際1分ほどで描くことができます。ところが,何度お会いしても,何度お話させていただいても,どうしても描けない方もいらっしゃいます。これは本当に謎です。似顔絵を依頼していただいた場合,申し訳ないと思いつつ頑張って絞り出すのですが,どうにもしっくりきません。一体どんな要因が関係しているのか,ぜひ知りたいところです。また,私は自画像がどうしても描けません。理由は,自分に会ったことがないからです。似顔絵は動画や写真を見ながらでは駄目で,その人に実際にお会いしないと基本的に描けません。ですので,自画像をたくさん描くことのできる方が不思議で仕方がありません。ただただ楽しく日々絵を描きながら,一方でこの辺りの謎をいつか解明したいとうずうずしています。ご興味のある方,ぜひ一緒に研究しませんか?

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