近年，委員就任以前から，認定心理士の会が企画するイベントに，予定が許す限り，趣味のダイビング（海のほう）もそっちのけで，参加しています。これは，コロナ禍でオンライン化が普及した恩恵です。イベントのテーマは，最新の心理学研究から現代的な社会問題まで幅広いのですが，中でも，「新刊連動講座」は激アツです。最新心理学関連書籍の解説や裏話を著者から直接聞ける機会なのですから。私も心理学者として，専門分野の知識を更新し，再構築する重要性を感じます。

さて，表題の言葉は，私が心理学関連の授業や出張講義などで，知識を習得すること（≒勉強）の重要性を受講生に伝えるために紹介するものです。直訳すれば「知れば知るほど，見えるようになる！」でしょうか。この言葉に出会ったのは10年ほど前です。バリ島ダイビングの水面休息時間中にふと目に留まった，ビーチ沿いに掲げられた海洋環境教育財団の看板の，マンジュウイシモチのイラストの下に添えられていた言葉です。そのとき，はたと気づきました。海況や海洋生物に精通したダイビングガイドが見る海中世界は経験の浅い私が見るそれと明確に異なるのだと。ダイビングガイドはその豊富な知識により，私が見つけられない生物を発見したり，私が見えない情報で危険を予知したりできるのです。知識が単なる情報の集積でないことは明らかでしょう。

このことを「心理学」の知識に置き換えるとどうでしょうか。読者の皆様には，これ以上の説明は不要かと思われます。認定心理士の会に入会していれば，多様で幅広い知識が得られるイベントに基本無料で参加できるのですよ。ああ，なんと素晴らしいことか！　認定心理士の会が提供するイベントを通じて，心理学という広大で深い海でのダイビングを楽しんでみませんか。

（認定心理士の会運営委員会委員　向居 暁）