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心理学ライフ

マジックが好きです

大薗 博記
鹿児島大学法文学部 准教授

大薗 博記(おおぞの ひろき)

Profile─大薗 博記
博士(教育学)。専門は社会心理学・実験社会科学。2013年より現職。訳書に『進化心理学を学びたいあなたへ:パイオニアからのメッセージ』(分担翻訳,東京大学出版会)など。

20年以上前の大学祭でのステージにて,ハトを出してドヤ顔の瞬間。
20年以上前の大学祭でのステージにて,ハトを出してドヤ顔の瞬間。

マジックに最初にときめいたのは,小学生の時。ミスターマリックの「超魔術」ブームでした。中学生の時には友達の間でちょっとマジックが流行って,自分でもやり始めました。そして高校時代,メチャメチャ手品が上手くて頭のいいイケメンの同級生と出会い,猛烈に刺激されてドはまりしました。その頃は,本や海外のレクチャービデオから情報を収集して,四六時中トランプやコインの練習をしていました。大学ではマジックサークルに入り,大学祭ではテーブルマジックをしたり,ステージでハトも出しました。その後は,数年に一度ぐらいの周期で熱が上がり,新しいマジックを収集したり,練習したりしていました。

そんな折,「実験用に,好奇心をくすぐるマジック動画がたくさんほしい」と研究者の村山航さんに声をかけていただき,100以上のマジック動画を撮影し,論文にもなりました[1]。趣味と研究がつながり,感無量でした。また,大学の授業でも,本題に絡められそうな時は,ちょいちょいマジックを披露しています。その実践の一部は,以前「心理学ワールド」に寄稿しました[2]。最近は,本題に関係なくても,ただ見せたくて見せることもあります。今のところ,たぶん学生からは好評ですが,マジック・ハラスメントにならないように注意します。娘たちが独立したら,空いた子ども部屋でハトを飼って,ハト出しマジックを地域のイベントとかでやるのが夢です。妻は意外に乗り気で,マネージャーをしてくれるそうです。

マジックは,パフォーマンスを見る,タネを知る,練習する,披露する,自分なりに工夫・創作するというそれぞれの段階で,異なる面白さや難しさがあって,自分にとっては本当に魅力的です。

学生からはよく,「心理学の研究をしているのは,マジックが好きだからですか?」と聞かれます。「マジック好きの心理学者」なんて,ミステリー小説や漫画などでいかにも出てきそうなキャラ設定だし,関係がありそうな気もしますが,自分の中ではそこまで明確なつながりはありません。研究者としての主な専門は「協力関係(社会的ジレンマ系)」なので,マジックとはほとんど関係ありませんし,自分以外の心理学研究者で,ガチのマジック好きにはほとんど出会ったことがないので(知らないだけかもしれませんが),マジック好きと心理学好きには,実はそこまで大きな共通項はないのかもしれません。

とはいえ,マジックと心理学に関係がないことはもちろんありません。錯覚,注意,驚き,好奇心,自由意志,推論,ステレオタイプなどなど,さまざまな心理学的トピックとマジックは関係します。実際に,マジックに関する心理学的研究は増えており,10年ほど前には,SoMA(Science of Magic Association[3])という国際団体もでき,研究大会も開かれています。少し前まではブルーオーシャンだったのに,いつの間にやらそうでもなくなっており,研究の発展がうれしくもあり,先を越されたのが悔しくもあり。

でも,まだまだやれそうなことはたくさんあります。特に,「マジシャンが効果的と考えている要素の実際の効果をきっちりデータで検証する」というのをやっていきたいです。熟達したマジシャンによる経験則や理屈は,もちろん正しいことも多いでしょうが,実際とはズレていることもあるでしょう。例えば,「カードにサインさせることの効果は?」「腕まくりの効果は?」「同じ現象の繰り返しは問題か?」などなど。それらが,心理学的にどう面白いかはわかりませんが,少なくとも不思議さを追求するマジックの発展には有益に思います。ひょんなことから,心理学的にも面白い現象に出会えるかもしれません。これまでも少しずつデータを取っていたのですが,今回の執筆を機に投稿サイトnoteにて研究紹介を始めてみました[4]。どれだけ続くかはわかりませんが,もし興味があればご覧ください。

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