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公認心理師大学院カリキュラム 標準シラバスの作成と改訂

2020年1月21日
公認心理師養成大学教員連絡協議会
公益社団法人 日本心理学会

公認心理師養成大学教員連絡協議会(公大協)大学院カリキュラム検討委委員会では、2019年10月7日、公認心理師大学院カリキュラム9科目(心理実践実習を除く)について、「公認心理師大学院カリキュラム 標準シラバス(案)」を公表いたしました。

標準シラバスについて、公大協個人会員・組織会員・加盟団体の皆様、ならびに公益社団法人日本心理学会会員の皆様からのパブリックコメントを求めました。2019年12月10日までに、28通のコメントをいただきました。

これらのコメントには、日本学校心理学会、日本K-ABCアセスメント学会、日本高次脳機能障害学会、日本コミュニティ心理学会、産業・組織心理学会、日本神経心理学会、日本発達心理学会、日本ブリーフサイコセラピー学会、日本老年臨床心理学会からいただいたものが含まれておりました。コメントをお寄せいただいた加盟団体(学会)、および、先生方には大変感謝いたします。

いただいたコメントを委員会において確認し、改めて標準シラバスを検討いたしました。そして、下記のような改訂を行い、「公認心理師大学院カリキュラム 標準シラバス」を作成いたしましたので、ここに公開いたします。

大学院等で授業を担当している皆様の教育指針としてご利用いただければ幸いです。

なお、この標準シラバスは、授業に含まれる項目やキーワードを例示したものであり、各大学院での授業内容を拘束するものではありません。


公認心理師大学院カリキュラム 標準シラバス(2020年1月21日版)


いただいたパブリックコメントに対する対応

「保健医療分野に関する理論と支援の展開」

日本高次脳機能障害学会および日本神経心理学会からいただいたコメントにもとづいて、中項目「保険医療分野の基礎」において、小項目「神経系の構造と機能」を追加いたしました。

「福祉分野に関する理論と支援の展開」

日本老年臨床心理学会およびご専門の先生方からいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「家庭に関する問題への実践」を「家庭に関する問題や介護者(障害児・者、高齢者を含む)に対する実践」に変更しました。そして、小項目に「高齢者虐待問題への理解と支援」を追加しました。

中項目に「高齢者介護・福祉に対する実践」を追加し、その小項目として「高齢期の心理的問題の理解と支援」、「認知症の理解と支援」、「早期診断補助・介入」、「非薬物的介入(応用行動分析、回想法、認知活性化療法、認知リハビリテーションなど)」、「意思決定支援(財産管理、遺言、アドバンスケアプランニングなど)」、「アウトリーチ」にしました。

中項目「家庭に関する問題や介護者(障害児・者、高齢者を含む)に対する実践」の小項目「高齢者(認知症を含む)への心理支援」を「高齢者(認知症を含む)の介護者(家族・介護職)への心理支援」に変更しました。

中項目「障害児/障害者に対する実践」の小項目「養育者への支援(ペアレント・トレーニングを含む)」を「家族支援(ペアレント・トレーニング、きょうだいへの支援を含む)」に変更しました。

「教育分野に関する理論と支援の展開」

日本学校心理学会、日本K-ABCアセスメント学会、日本コミュニティ心理学会、および、ご専門の先生方からいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「教育分野の基礎」において、小項目「ユニバーサルデザイン」を「ユニバーサルデザインと合理的配慮」に変更しました。そして、小項目に「学習支援の基盤」、「インクルーシブ教育」、「多文化的背景を持つ子どもの心理的理解と支援」を追加しました。

中項目「学校での実践」において、小項目「コンサルテーション」を「コンサルテーションとコーディネーション」に、「不登校の理解と支援」と「いじめ問題の理解と支援」をまとめて「不登校およびいじめ問題の理解と支援」に、「学習支援」と「移行支援」をまとめて「学習・発達支援」に変更しました。そして、小項目に「スクールカウンセリング」と「心理教育的アセスメント」を追加しました。

「司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開」

ご専門の先生方からいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「司法・犯罪分野の基礎」において、小項目に「高齢者犯罪(加齢や認知症に伴う犯罪)」を追加しました。

中項目「司法・犯罪分野での実践」において、小項目「司法面接と供述分析」を「認知面接と司法面接」に変更しました。

「産業・労働分野に関する理論と支援の展開」

産業・組織心理学会およびご専門の先生方からいただいたコメントにもとづいて、全ての小項目を変更しました。

「心理的アセスメントに関する理論と実践」

日本高次脳機能障害学会、日本神経心理学会、および、日本発達心理学会からいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「神経・生理学的検査」を分割して、「神経心理学的検査」と「生理学的検査」に変更しました。そして、中項目「神経心理学的検査」の小項目を「認知症・認知機能障害スクリーニング検査/神経心理学的検査」に変更する。

中項目「アセスメント」に、小項目「生態学的・活動論的アセスメント」を追加しました。

「心理支援に関する理論と実践」

日本学校心理学会、日本コミュニティ心理学会、日本発達心理学会、日本ブリーフサイコセラピー学会、および、日本老年臨床心理学会からいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「その他の心理療法の理論と方法」において、小項目に「コミュニティ心理学に基づく心理支援の理論と方法」、「ブリーフセラピー、解決志向アプローチの理論と方法」、「発達論に基づく心理支援の理論と方法」を追加しました。

中項目「心理支援の実践」において、小項目に「コンサルテーション、チーム支援の応用」と「コンサルテーション、チーム支援の事例検討とスーパービジョン」を追加しました。

「家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践」

日本学校心理学会および日本コミュニティ心理学会からいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「地域社会や集団・組織に働きかける心理学的援助に関する理論と方法」において、小項目に「コミュニティアプローチ」と「多文化支援」を追加しました。また、小項目の「地域社会のアセスメント」を「地域社会のアセスメント(コミュニティリサーチ、システムレベル、ニーズのアセスメントなど)」に、「地域社会への支援」を「地域社会への支援(コンサルテーション、サポートネットワーキング、自助グループなど)」に変更しました。

「心の健康教育に関する理論と実践」

日本学校心理学会、日本コミュニティ心理学会、および、ご専門の先生方からからいただいたコメントにもとづいて、以下のように改訂しました。

中項目「心身の健康への支援」において、小項目に「インターネット、ゲーム依存への支援」、「生活習慣(食・運動・睡眠)の改善の支援」、「高齢者の孤立・閉じこもりへの支援」、「ひきこもり対策への支援(アウトリーチを含む)」、「心の健康を促進させる自助グループの実際」を追加しました。

中項目「災害からの回復支援」において、小項目の「災害直後の支援(サイコロジカル・ファースト・エイドを含む)」を「危機介入(サイコロジカル・ファースト・エイドを含む)」に、「災害後の中期・長期的支援」を「コミュニティへのエンパワーメント(ボランティア、NPO、NGOを含む)」に変更しました。

全体として

頂いたコメントの中には、本シラバスに対するご意見ではなく、公認心理師カリキュラムそのものに対するご意見も多数ございました。こうしたご意見については、公大協において集約し、5年ごとの見直しに向けて提案していきたいと考えています。

なお,2018年8月に公益社団法人日本心理学会と公大協の連名で,「公認心理師大学カリキュラム 標準シラバス 」を作成いたしました。こちらもご参照ください。
http://psych.sakura.ne.jp/psych_sub/qualification/shinrishi_info/shinrishi_syllabus