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国際交流活動

中国における学術調査ガイドライン

2025年7月22日付で外務省より発出された「中国の『反スパイ法』に関連する注意喚起」を受け,日本心理学会常務理事会は外務省に詳細な質問を行い,回答を得ました。これに基づき,中国における学術調査に関するガイドラインを策定しましたので,今後の研究活動の参考にしていただけますと幸いです。

会員の皆様には,以下のガイドラインを十分にご理解いただいたうえで,研究活動に臨んでいただくようお願いいたします。

中国における学術調査ガイドライン

1. 今後,中国において学術調査を実施する場合

中国国内法である「統計法」では,外国人による無許可での統計調査が禁止されています。そのため,中国での学術調査や,中国人を対象としたデータ収集(アンケート用紙の配布等を含む)を行う際は,以下の点を必ず遵守してください。

- 許可の取得:

共同研究者や協力機関を通じて,中国政府の関係当局から必ず許可を得てください。

「大丈夫」といった口約束ではなく,正式な文書で許可証を取得し,その存在を確認することが不可欠です。

- 情報共有:

調査実施前に,管轄エリアの日本の総領事館にも事前に相談し,学術調査の実施内容について情報共有を行ってください。

2. これまでに中国において学術調査を実施済みの場合

最近の行為(直近の中国滞在時の行為)のみならず,過去の行為(以前の中国滞在時の行為や中国以外での行為等)についても,調査等の対象になり得ることに注意する必要があります。

- 過去の調査データ:

無許可で収集したデータについて,中国政府にあらためて確認を依頼することは,事態を悪化させる可能性があるため避けてください。

- 中国への渡航:

無許可で学術調査を行った経歴のある方が,今後中国に渡航することを検討される際には,拘束のリスクが皆無ではないことを認識した上で,渡航の是非を慎重に判断してください。

- 渡航先の注意:

中国と犯罪人引渡条約を締結している東南アジアの国々(カンボジア,ラオス,タイ,フィリピン,インドネシア,ベトナム)に渡航した際に,中国の法律違反を理由に拘束された事例が報告されています。これらの国への渡航についても注意が必要です。

本件に関する詳細や最新情報は,以下の外務省海外安全ホームページにてご確認ください。

外務省海外安全ホームページ:

中国の「反スパイ法」に関連する注意喚起(2025年7月22日付)

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2025C029.html

発行日:2025年9月11日


中国に限らず,海外で学術調査等の研究活動を行う際には,現地の法律や文化,慣習を尊重し,十分に注意を払うことが極めて重要です。予期せぬトラブルを避けるためにも,調査開始前に現地の状況をよく把握し,必要に応じて現地の専門家や関係機関に相談するようにしてください。

引き続き,皆様の安全な学術活動を支援できるよう努めてまいります。

日本心理学会常務理事会