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認定心理士の方

シチズン・サイエンスプロジェクト終了のお知らせ

この度,認定心理士の会の事業の一つである,シチズン・サイエンスプロジェクトを終了することになりました。本プロジェクトに関心を寄せていただいた皆様には,ご期待に添えず,本当に申し訳ありません。

認定心理士の会では,発足当初から,シチズン・サイエンスプロジェクトを主要事業の一つとして位置づけ,認定心理士による市民科学 (シチズンサイエンス) の実践に向けた取り組みを行ってきました。具体的には,以下の6つのプロジェクトを企画・実施してきました。

  1. (1)潜在的連合テストによる「ジェンダー」-「科学」ステレオタイプの測定
  2. (2)アプリケーション「マイME-BYOカルテ」に実装された「未病指標」の操作性の検討
  3. (3)災害碑発掘プロジェクト -災害の記憶を未来に届けるために-
  4. (4)高齢者の社会参画を促進する方法を検討するための,人との繋がり状況の調査
  5. (5)サイコロロジック・プロジェクト
  6. (6)シチズンサイエンスワークショップ

ご承知の通り,(1),(2),(4)は多くの認定心理士の皆様に,調査協力者としてご参加いただきました。(3)は全国の災害碑の情報を共有していただくプロジェクトでしたが,投稿がゼロのまま終了しました。(5)は既にご案内の通り終了しております。(6)はシチズンサイエンスの実践に向けて,認定心理士の皆さんに学びと議論の場を提供しました。本ワークショップも,既に終了しています。

認定心理士の会運営委員会 (以下,本委員会) といたしましては,これまでの取り組みとその成果について振り返りました。今後の継続可能性について議論した結果,これ以上継続するのは難しい,という結論に達しました。

市民科学は一般的には,非専門家が研究者として,専門家と組んで様々な取り組みを行うものであります。しかし,(1),(2),(4)は,一般的な市民科学の取り組みとは異なり,認定心理士の皆さんには調査に協力していただくだけの取り組みでありました。

(5),(6)では,認定心理士の皆さんに研究を実践する機会を提供することを模索しました。ここで,研究倫理の問題に直面しました。通常,人を対象とする研究を実施する場合,研究実施者は所属機関の倫理委員会による倫理審査を受審しなければなりません。しかし,大部分の認定心理士の皆さんが所属する一般企業等には,倫理審査を行う機関がありません。そこで,(6)の参加者のうち希望者を対象に,日本心理学会の倫理審査小委員会で,倫理審査を試験的に行いました。その結果,1件の審査に対して想定をはるかに超える人的コストが掛かることがわかりました。現状の日本心理学会や本委員会の組織体制において,この倫理審査を行う機関を新たに設置して,定常的に倫理審査を実施する仕組みを作るのは,極めて困難なことであります。また,本委員会においてそれを担うのも,「認定心理士に学びと交流の機会を提供する」という本委員会の業務から逸脱するものであり,正式導入は不可能であると判断しました。

こうした経緯から,認定心理士の方々に,人を対象とした研究を実践していただくのが困難であること,そのための倫理審査の体制を日本心理学会の中で作るのが極めて難しいことがわかりました。さらに,実現可能性の高い新規企画の提案が現状ではございません。これらのことから総合的に判断して,誠に残念ですが,シチズン・サイエンスプロジェクトを終了させていただくことにしました。本プロジェクトに関与いただいた認定心理士の皆様,研究者の皆様,一般企業や官公庁の関係者の皆様に,これまでのご協力に厚く御礼を申し上げますと共に,継続がかないませんでしたことを,心よりお詫び申し上げます。

今後は本プロジェクトに代わる企画を検討していきます。引き続き,認定心理士の皆様に学びと交流の機会を提供できるよう,本委員会の委員一同,努めてまいります。認定心理士の皆様には,今後も認定心理士の会の企画にご参加,ご協力いただきますよう,よろしくお願い申し上げます。

令和4年11月16日

公益社団法人日本心理学会・認定心理士の会運営委員会

※シチズン・サイエンスプロジェクト(実施当時)のページは,下記の通りです。

https://psych.or.jp/authorization/citizen/