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OAQ(Occasionally Asked Question)または 喜びも悲しみも幾星霜

平石 界
61号~ 「裏から読んでも心理学」連載 慶應義塾大学文学部 教授

平石 界(ひらいし かい)

Profile─平石 界
東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。東京大学,京都大学,安田女子大学を経て,2015年4月より慶應義塾大学。博士(学術)。専門は進化心理学。

驚いたのですが「裏から読んでも心理学」の連載開始からもう10年経ってました。連載開始が61号で今号が101号。毎年4号発行されるのですから計算は合ってる。他方でもっと長いこと書いているような気もするので,変なものです。ともあれ今回は特別編ということですので,「研究の背後にある流れ,論文の行間に現れる研究の楽しさや苦労なども紹介(連載初回より)」することを目指してきた当連載の背後にある楽しさや苦労などを,たまに寄せられることのあったご質問を手がかりに,紐解いてみたいと思います。

1.何を言っているのか分からないのですが。

数年前,うっかりエゴサして見つけたツイート。うろ覚えですが「前に履修した心理学の教授が書いてるらしいんだけど,ちょう意味不明(笑)」みたいな感じだったと思います。全く申し訳ないことです。「この文章の想定読者は誰なのか?」という質問ですよね。メインには認定心理士と日本心理学会の会員の皆さん,つまり学部で心理学を一通り学んだ方々を想定してます。だから心理学で卒論やる苦しみを経た方にとって「あるある」な専門用語の解説はかなり端折ってます。t検定とかANOVAとか。文字数厳しいのでご容赦いただければ。

2.文献情報は?

新聞とかで「◯◯大学が××という発見を報告した」みたいな記事を見かけるたびに「論文の情報を書けやあ!」「なんでデジタル版なのに論文へのリンクが全角アルファベットでベタ打ちなんじゃぁ!」と吠えている私ですが,当の自分の記事には書誌情報がない。これはですね,「原典が気になるなぁ」と思うような方にはですね,ご自分で原典を探すプロセスをも楽しんでいただきたいと,そうした深い配慮に基づいた行為なのです。…いやほんとすみません。文字数の問題です。探すの面倒な方は,文献情報付きの「まとめ」ページを作ってる方がいらっしゃるようなので検索してみて下さい。

3.どうやってネタを集めてるの?

連載開始から遡ること数年,某所に「ツイッターやってる人って信じられない」と語る人物がいたそうです。「ガンガン流れてくるつぶやきをずっと追いかけるとか,暇なの?」。はい,暇なのは私でした。いやほんとツイッターがなかったら過去のネタの大半は入手できなかったと思います。ただ最近ちょっと界隈が殺伐としてきている印象がありまして,新たなネタ元を開拓しようかとは思ってます。

4.どうやってネタを選んでいるの?

連載初期に友人から「うん,面白かったよ。なんの役にも立たなそうなのが良いよね」という言葉を頂きました。天啓というのでしょう。而来この言葉を頼りに,役に立たなくてこそ学問!という気概で,そういう原稿を書けそうな文献を選んでいます。

5.ひねりすぎ。

実は毎回の執筆はそれなりに苦労していまして,ふと我に返って原稿料を時給換算して「最低時給……」とか呻いたりするわけです。何を言いたいかというとですね,半分趣味だから持続できているようなものなので,無駄に凝った構成とか,誰にも分からない言葉遊びとか,そのへんのところは平にご容赦願いたい。それが楽しみで書いているようなものですので。

6.最後に一言。

これからもたまに読んでいただければ幸いです。

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