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10. ガイドライン7: テストと評価(Guideline 7: Testing and Assessment)
心理士は,対面での実施を想定して設計されたテスト機器や評価方法を遠隔心理支援サービスで用いる際にで生じうる固有の問題を考慮するよう勧められます。
根拠:
心理検査やその他の評価方法は,心理士のような訓練を受け,実施のための資格を取得した専門家により実施されるべきです。症状スクリーニング法のいくつかはすでにオンラインで頻繁に実施されていますが,現在使用されているほとんどの心理検査やその他の評価方法は,元々は対面で実施するために設計・開発されたものです。したがって心理士は,これらの心理検査や他の評価方法が遠隔心理支援サービスのなかで検討・実施される際に,固有の影響や多様な集団への適合性,検査の実施や検査データとその他のデータの解釈における限界についての知識を持ち,それらを考慮するよう勧められています。また心理士は,遠隔でのコミュニケーションのための情報技術を使用する際にも,検査や評価を手順通りに実施するように努めます。さらに心理士は,遠隔心理学を利用した検査の実施において多様な集団に合わせた対応が必要である可能性を認識しています。これらのガイドラインは,教育および心理検査のための基準の最新版(アメリカ教育研究学会,アメリカ心理学会,教育測定協議会)に明記されている基準と同様です。
実践への適用:
心理検査やその他の評価方法を遠隔心理支援サービスで実施する場合,心理士はそれらの心理測定学的特性(例えば,信頼性や妥当性)や検査マニュアルに示されている実施条件を,情報技術を用いた遠隔コミュニケーションにおいても維持するよう勧められます。また心理士は心理測定学的特性や実施条件を維持するために検査環境や条件の変更が必要かどうかを検討するよう勧められます。例えば,検査中に携帯電話やインターネットを用いたり,他の人と連絡をとったりすると,検査の信頼性や妥当性が損なわれる可能性があります。さらに,受検者がコーチングを受けていたり,回答例やその評価尺度のスコアリング方法,結果の解釈などインターネット上で得られる情報を得ていたりした場合,検査結果は信頼できないものになる可能性があります。また,心理士は遠隔でのコミュニケーションのための情報技術を利用している場合には明らかではない,または目に見えないかもしれない,受検者の気を(例えば,視覚,聴覚,嗅覚的に)散らし,アセスメント中のパフォーマンスに影響を与えうる要素についても考慮するよう勧められます。
心理士は,遠隔心理支援サービスを提供する際には,多様な集団から生じる可能性のある特定の問題(例:言語や文化的な問題,認知的,身体的,感覚的なスキルや障害,年齢)を認識し,それらの問題に対処するために適切な手配をするよう勧められます。さらに,心理士は,クライエント・患者の身元確認の支援や,特定の検査やテストバッテリーを実施するために必要な現場でのサポート,安全な心理検査や評価プロセス実施のために,訓練を受けた アシスタント(例えば,検査監督者)を遠隔地に常駐させることを検討することがあります。
遠隔心理支援サービスで心理検査やその他の評価手続きを実施する際には,心理士は使用される技術の品質や,特定の心理検査や評価アプローチ実施に必要なハードウェア要件を考慮するよう勧められます。また,特定の心理検査を遠隔心理支援サービスで実施した場合と対面で実施した場合の結果の間に潜在的な差異があることを説明するか,説明できるように備えます。さらに,検査や評価の結果を文書化する際,心理士はそれらが遠隔心理支援サービスのなかで実施されたことを明記し,検査や評価実施の際に行われた対応や修正を説明するよう勧められます。
心理士は,遠隔でのコミュニケーションのための情報技術を用いた場合の検査基準がある場合には,それを使用するように努めます。心理士は,遠隔心理支援サービスで実施されるすべての評価プロセスの潜在的な限界を認識し,それらの手続きの限界と潜在的な影響に対処する準備をしておくよう勧められます。