公益社団法人 日本心理学会

詳細検索

心理学ワールド 絞込み


号 ~

執筆・投稿の手びき 絞込み

MENU

刊行物

  1. HOME
  2. 認定心理士の方
  3. ニューズレター 2021 年度 No.2

The Japanese Psychological Association News Letter

vol.07

2022年が始まりました。認定心理士の会にとっては6回目の新年ということになります。本年も会員の皆様にとって充実した、そして心身ともに健やかな1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

2021年に開催されたイベント15件は2020年に引き続いてすべてオンライン化されました。まずもってありがたかったのは、多くの機会に数百を数えるご参加をいただいたことです。会の中だけに閉じた企画とするのではなく、公開としましたので、会員の皆様のほか、幅広い方々が関心を示してくださったものと思います。認定心理士の会には感染禍以前から「オンライン支部会」があり、オンライン交流会を頻回に実施していたので、開催形態の切り替えは比較的スムーズだったように思います。尽力してくださった各位には心から感謝申し上げます。

しかし、オンライン化は情報交換・共有の機会の増加をもたらした一方で、その隙間で偶然生まれる人と人との出会いの機会は減らしてしまっています。「無用の用」という言葉がありますが、情報を効率的に伝えるという観点で考えると、休憩時間やそこでなんとなく生じる雑談は「無駄」なものかもしれませんが、実際はそこから私たちは大きな利を得ているのです。皆さんも、物理的な距離を隔てた、いわゆる「空気」を共有しないコミュニケーションの利点と欠点を、様々な機会に痛感されたのではないでしょうか。

なるべく利点を活かし、欠点を減らすことを考えて、2年続けてWeb開催となった日本心理学会の2022年度の年次大会は、対面とWebを併用するハイブリッド開催の方向で検討されています。対面会場は日本大学文理学部(東京都世田谷区)です。認定心理士の会主催の「社会連携セクション」も企画準備中ですが、可能であればぜひ対面で、と考えています。今後の情報にご注目ください。

ご挨拶の結びに明るいニュースをお届けしましょう。2020年度に前年比70%程度の2368名と大幅に減少した認定心理士の資格取得者ですが、2021年度は3000名ほどにまで回復する見込みです。認定心理士に求められる「心理学の基礎技能」の修得のためには、実験・実習の単位の取得が必須ですが、これを対面授業が許されない状況で十全に行うことは、授業担当者と受講者の双方にとって非常な困難を伴うものだったと推測されます。それを乗り越えた方々のご努力に心から敬意を表します。

(日本心理学会資格担当常務理事:三浦麻子)

2021年10月、認定心理士の会運営委員会の第3期委員会 (任期:2021年10月~2023年9月) が発足しました。北海道、東北、関東、東海、近畿、九州・沖縄、オンラインの各支部会を、新規委員の方々が担当されます。北陸と中国・四国は、第2期の委員が継続して担当されます。

この度、第3期委員会の委員長に就任いたしました、渡邊と申します。どうぞよろしくお願いします。認定心理士の会の準備段階から、運営に関与してきました。認定心理士の会の運営体制を持続的なものにすることが、僕に課せられた主な任務となります。

上記の通り、今回は委員の大部分が交代になりました。引継ぎに当たり、例えば役職の名称や組織における位置づけがわかりづらい、あるいは担当者が変わると継続しづらい事業がある、など、いくつかの問題が早速生じています。委員の引継ぎがスムーズに行われ、誰が委員に就任しても認定心理士の会の各事業を運営していける体制を整える、それが2年間の任期の中で、委員長としてすべきことだと思っています。

ご承知のことと思いますが、委員の仕事は全てボランティアです。各委員、各自の本業でご多忙のところ、合間の時間を縫って認定心理士の会の運営に関与していただいています。委員の負担をできるだけ最小限にして、かつ会員の皆様にこれまでと同様に学びと交流の機会を提供していけるような運営体制を、模索していきます。会員の皆様にも、一人でも多く、各支部会の活動にご協力いただけたら嬉しいです。無理なく可能な範囲で構いませんので、まずはイベントにご参加いただき、余力があれば運営のお手伝いを、という感じで、引き続き認定心理士の会に関わっていただくことを、心よりお願い申し上げます。

2022年度も、会員の皆様に心理学の学びを深めていただく企画を、各支部会で検討しているところです。もうしばらく、オンライン開催が続きそうですが、ご自宅で様々な地域支部会のイベントに参加できるのは、会員の皆様にとっては好都合かと思います。この機会を積極的にご利用いただき、心理学の学びをさらに深めてください。

それにしても、オンライン開催せざるを得ない状況は、いつまで続きますかね……。オンラインは何かと便利ですが、やはり対面で直接顔を合わせて交流したいものです。在任中に対面での開催が再開できましたら、ぜひ会場で直接お話ししましょう。その日が来るのを楽しみにしております。

(認定心理士の会運営委員会委員長:渡邊伸行)

リアルタイムやオンデマンドによるオンラインのイベントは、支部会主催ではなく認定心理士の会主催となります。ご所属の支部会にかかわらず、ぜひ、多くのイベントにご参加ください。

    • 「災害とこころの健康」
    • 2022年2月27日(日)13:00~15:00(開場 12:50〜)
    • Zoomオンライン会場
    • 災害は目に見える被害を生じさせるだけでなく私達のこころの健康に影響を与えます。そしてその影響のあり方はその人の立場によってもさまざまです。これから起こりうる災害にどのように備え向き合っていけばよいのか考えていきましょう。
    • 13:00~13:05 趣旨説明
      13:05~13:35 臼倉 瞳先生「災害がこころの健康に及ぼす影響とその回復」
      13:35~14:05 新川 広樹先生「特別な教育ニーズを有する子どもの震災ストレスとその対応」
      14:05~14:45 大村 哲夫先生「子どもの慰霊と卒業証書:民間信仰と深層心理」
      14:45~ 質疑応答
      司会 前田 駿太(認定心理士の会 東北支部会 運営委員)
    • 無料
    • 500名(事前申込制・先着順)※認定心理士でない方も参加いただけます。
    • 2022年2月18日(金)までに認定心理士の会イベントページよりお申し込みください。

    (東北支部会:前田駿太)

    • 一昨年前に広島大学・東千田未来創生センターにて開催しました公開セミナーは、ワーキングメモリに関する内容でした。ワーキングメモリは、人間の知的活動を支える脳の機能であり、発達障害や学習に遅れを抱える子どもの多くがワーキングメモリに問題があることが分かっています。日頃より子どもと関わる臨床現場に携わっておられる方々、学校の先生方、そしてまさに子育て中の親御さんにとって重要かつ非常に関心の高いテーマであり、そうした方々を中心に多くの方がご参加くださり、好評をいただきました。

      今回、広島大学大学院人間社会科学研究科教授の湯澤正通先生に「ワーキングメモリを活かした学習支援」のテーマで改めてお願いし、このたびはオンライン実施にてご講演いただきます。中国・四国の方はもちろん、全国より多くの方のご参加をお待ちしております。
    • 2022年3月26日(土)13:00~15:30(開場 13:15~)
    • Zoomオンライン会場
    • 湯澤正通氏(広島大学大学院人間社会科学研究科教授)
    • 13:30〜13:35 開会あいさつ
      13:35〜15:00 講演
      15:00〜15:30 質問コーナー
    • 定員500名(事前申込制・先着順)
      ※認定心理士でない方も参加いただけます。
    • 日本心理学会ホームページにてご案内しております。
    • 2022年3月19日(土)

    (中国・四国支部会:山崎理央)

    • 2022年2月19日(土)14:30~16:30(開場 14:25~)
    • Zoomオンライン会場
    • オンライン支部会では、第18回目となる双方向コミュニケーションで心理学の学びを深めていくオンラインイベント「Net de交流!認定心理士」をZoom会場にて開催いたします。今回は映画監督の古新舜(こにい しゅん)氏にご登壇いただきます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
    • 映画製作におけるストーリーを通じた関係性のあり方と共創社会の実現に向けて
    • 古新舜 氏(北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程先端科学技術研究科在籍、デジタルハリウッド大学非常勤講師、コスモボックス株式会社代表取締役、映画監督・ストーリーエバンジェリスト)

      「Give Life to Your Story!―物語を動かそう!―」をテーマに、映画と教育の融合を通じて、大人と子どもの自己受容感を共に育んでいく共育活動を行なっている。
      古新舜監督の作品は、犬猫殺処分を扱った「ノーボイス」、分身ロボットOriHimeを中心に物語が展開する前作「あまのがわ」そして現在制作中のパーキンソン病がテーマの「いまダンスをするのは誰だ」など、社会が見落としがちな問題をエンターテイメントの力で発信し、私たちに自分事として何ができるかを問い続けています。
    • 「不確実性が高まった現代社会において、ストーリーは人と人との関係性を生み出し、共創の力で社会を切り拓いていくポテンシャルを秘めています。そして、映画には作品とは別に、製作者の想いが結晶化された製作者のストーリーが存在しています。正解が決まらず、完成が保証されていない映画製作に挑戦し、創造性の実践を続けている古新舜が、如何にして関係性を大切に育みながら、観客と共鳴する作品を生み出していったかを制作過程の秘話を交えてお話いたします。映画が監督のみによって生み出されるものではなく、様々な関係者との相互作用によるものであるという視座を軸として、ポストコロナ時代を生きる上で必要な共創の知とマインドをお伝えいたします。他ではなかなかお話できないようなこともお伝えするつもりです!」
    • 無料(通信料は参加者負担となります)
    • 490名(事前申込制・先着順・どなたでもご参加いただけます)
    • オンライン会議システムZoomを使用します。
    • 日本心理学会ホームページにて詳細とお申込み方法をご案内しております。(https://psych.or.jp/authorization/net_de_koryu_18/
    • 2022年2月14日(月)

    (オンライン支部会:竹中あかり)

【北海道支部会企画】認定心理士の会 オンライン講演会

北海道支部会イベントとして、2021年11月7日(日)13〜14時にオンライン講演会を主催いたしました。本イベントは、従来は北海道心理学会の年次大会との合同開催で実施しておりましたが、昨年度に続いてコロナ禍で北海道心理学会がオンライン開催となりましたため、本イベントも単独でZoomのウェビナーにより実施しました。

ご講演者は、大塚由美子先生(愛媛大学法文学部・准教授)、ご講演題目は、「視線方向の知覚様式:視線知覚とその発達」です。ご講演では、まず視線方向の錯視であるWollaston錯視について紹介いただき、顔全体の向きに視線方向が引っ張られて知覚される現象について、多くの実験から興味深い知見をご紹介いただきました。また、このコロナ禍で始められたオンライン実験でも対面と一致性の高い結果が得られた点や、子供を使った現在進行中の実験結果についてもご紹介いただきました。最後の質疑応答では、ZoomのQ&Aから実験内容の詳細や発達障害での視線知覚、また視線に関する日常的な疑問など多数の質問が寄せられ、大塚先生にはお時間の許す限り丁寧にお答えいただきました。

本イベントの事前登録者は456名(うち認定心理士有資格者:347名)、当日の参加者は242名であり、昨年度に引き続きオンライン開催ということもあってか例年以上に盛況に終わりました。来年度は状況次第ではありますが、可能であれば北海道心理学会大会と合同での開催を予定しておりますので、是非ご参加ください。

最後に、本講演会でもアナウンスしましたが、北海道支部会のFacebookグループがございます。北海道地区にお住まいの認定心理士の皆さまは是非ご登録ください。

※認定心理士の会北海道支部:https://www.facebook.com/groups/801083160700345

(北海道支部会:小川健二・河原純一郎)

【東北支部会企画】認定心理士の会 共催シンポジウム(オンライン開催)

大会1日目 加藤 道代先生
大会2日目 行場 次朗先生

2021年12月11日、12日に東北心理学会第74回大会と共催で、特別公開講演を開催しました。大会1日目の12月11日には、加藤道代先生(東北大学名誉教授・尚絅学院大学)をお迎えして、「子育ての心理学―ベルスキーモデルからの展開―」というテーマでご講演いただきました。ご講演の中では、加藤先生がキャリアの中で一貫して取り組んでこられた、子育てを行う親の発達について、Jay Belsky先生の提唱されたモデルとその展開について、お話しいただきました。研究知見の蓄積による学問領域の発展と並行して生じる、時代とともに変化する「子育て」のあり方への研究上の対応の難しさや面白さをお伝えいただき、会場では活発な質疑も行われました。

大会2日目の12月12日には、行場次朗先生(東北大学名誉教授・尚絅学院大学)をお迎えして、「感覚知覚心理学と視覚芸術」というテーマでご講演いただきました。ご講演の中では、クオリアとアウェアネスという軸から、種々の絵画作品にみられる効果的な表現についてお話しいただきました。著名な作家による芸術作品から、アニメ「巨人の星」まで様々な具体例を取り上げて説明していただき、最初から最後まで参加者の興味を惹きつけてやまないご講演でした。

両日ともに200名近くの方にご参加いただき、盛会のうちに終了しました。

(東北支部会:前田駿太)

【関東支部会企画】認定心理士の会 公開セミナー(オンライン開催)

関東支部会イベントとして、2021年11月23日(火・祝)の13:00~17:00に公開セミナー「心理学「再」入門講座 ~ もう一度学びたい心理学の基礎と臨床 ~基礎編PART2(学習心理学・心理学史)」を開催しました。昨年度に続いてコロナ禍のためにZoomによるオンライン開催となりました。事前登録は673名、当日参加は412名(うち認定心理士有資格者267名、全体の参加率61.2%)と、事前からの申し込み人数も多く、当日も多くの方に参加頂くことができました。

今回は、2020年度に引き続き基礎編のPART2としての開催となり、学習心理学と心理学史の2つのテーマが設定されました。登壇されたのは、澤幸祐先生(専修大学)と高砂美樹先生(東京国際大学)です。澤先生には、学習心理学について基礎的なメカニズムをはじめ、動物の例など具体的な例をまじえつつ環境の重要さも含めて丁寧に紹介頂きました。高砂先生には、心理学史についてブントやワトソンのこと、そして、孫引きによる問題などをご紹介頂きました。お二人の先生方へはZoomのQ&Aをとおして非常に数多くの質問が寄せられ、質疑応答の時間には、先生方から時間の許す限り多くのコメントへの丁寧な返答がおこなわれました。

質疑応答が活発であったこと、また、事後アンケートの内容のコメントから、参加者に非常に満足頂いたことがうかがえました。特に、テキストではわからないことや、知れないような内容について講演頂いたことについての満足度が高かったようです。Zoomによる開催ということで、参加の時間や物理的なハードルが低くなったことも高評価のようでした(今後もZoomでの開催を期待する声が散見されました)。そして、心理学の基礎的な部分の学ぶことの重要性を再確認したというコメントが多く、今回のような企画のニーズがあることが確認されました。

コロナ禍の状況次第ではありますが、開催方法を工夫しながら来年度も企画をおこなっていく予定です。是非ともご参加ください。

(関東支部会:鈴木公啓)

【東海支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(オンデマンド配信)

 
スライドイメージ(講演者の許可を得て掲載)

今回は「高齢者の社会生活と支援」というテーマで、中京大学心理学部の藤掛和広先生と中京大学現代社会学部の中原純先生にお話をいただきました。2021年9月15日(水)から9月30日(木)にかけてYouTube によるオンデマンド配信で実施しました(事前申込制、無料)。

藤掛先生からは「ドライバエージェントによる高齢者の運転支援」というテーマでお話をいただきました。高齢者の運転支援をテーマに、運転中の情報提供や注意喚起をしてくれるドライバエージェントの効果について実証データに基づくご説明がありました。小さなロボットのエージェントによる情報提供は、人間から指摘されるのとは違いドライバにとって受け入れやすく運転行動を改善させる効果があることなどが示されました。

中原先生からは、「高齢者の対人関係~活動理論を心理学的に考える~」というテーマでお話をいただきました。高齢者の対人関係について、高齢者の社会活動と主観的well-beingの関連を中心に、詳細な調査結果のご説明がありました。高齢者にとって他者との関係はポジティブな意味を持つのか、むしろネガティブな意味を持つのか、自己概念や自己複雑性という観点から示されました。

アンケートでは、ご高齢の参加者、高齢者を支援されている参加者からもご意見や感想を賜り、「納得のいく内容であった」、「勉強になった」など、好意的な感想をいただきました。藤掛先生、中原先生には貴重なお話をいただき、感謝申し上げます。

今回は、認定心理士の会のイベントとしては初のYouTubeによるオンデマンド配信で開催しました。そのため、どのくらいの方にご参加いただけるか心配しておりましたが、申込者数は517名、視聴者数は420名、再生回数は849回と多くの方にご視聴いただくことができました。また、アンケートでは、「予定を合わせやすい」、「何度も視聴できる」、「メモをとりやすい」など、オンデマンド形式を支持するご意見もいただきました。オンデマンド配信にはZoomとは違う需要があることがわかりましたので、今後の参考にさせていただきたいと思います。

(東海支部会:松本友一郎)

【北陸支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(オンライン開催)

2021年12月18日(土)に、北陸心理学会との共催で、公開講演会「日本の若者とサブカルチャー:オタクの心理学」をオンラインで開催しました。203名(うち認定心理士121名)の方にご参加いただきました。講演者は菊池聡先生 (信州大学)、岡田努先生 (金沢大学・北陸心理学会会長) でした。講演の後、社会学がご専門の田邊浩先生 (金沢大学)、小林大祐先生 (金沢大学) に、指定討論をしていただきました。司会は荒木友希子先生 (金沢大学) にご担当いただきました。

本講演会は、北陸心理学会第44回大会の公開講演会として開催しました。北陸支部会会長の松井三枝先生 (金沢大学) による開会あいさつの後、菊池先生、岡田先生にご講演いただきました。

菊池先生の講演タイトルは、“社会的相互作用としての「おたく」の系譜学”でした。「おたく」という人々が社会の中でどのように位置づけられてきたか、1980年代から2000年代までの変遷を、その当時の事件や社会現象と関連づけながら、また心理学の概念と紐づけながら、説明していただきました。岡田先生の講演タイトルは、「鉄道オタクの心理学」でした。「撮り鉄」、「乗り鉄」などの鉄道オタクの分類についてご説明いただいた後、岡田先生が行われた、鉄道趣味者の自尊感情や対人関係などについての調査をご紹介いただきました。岡田先生の既発表論文 (岡田努 (2021). 鉄道オタク青年の対人行動と自己に関する探索的検討 金沢大学人間科学系研究紀要,13,27-44.) で、調査の詳細をご覧いただけます。また、菊池先生、岡田先生が講演された内容は、いずれも「サブカルチャーの心理学」(山岡, 2020) で執筆された内容に基づいているとのことです。当日参加できなかった方は、ぜひご参照ください。

講演会の後、北陸心理学会名物 (?) のオンラインお茶会を実施しました。30名弱の方々にご参加いただきました。講演者の菊池先生と、上記の「サブカルチャーの心理学」の編者である山岡重行先生 (聖徳大学) もご参加いただきました。先生方には、おたくやサブカルチャーについて、認定心理士の皆さんからの質問に回答していただきました。当初、1時間程度で終了の予定でしたが、中締めの後、30分延長しました。もう少しお話したい、という声もありましたが、運営の都合上、90分で閉会とさせていただきました。このお茶会が講演会の延長戦となり、参加した認定心理士の皆様にとっては貴重な時間を過ごしていただけたことと思います。

末筆ながら、ご講演いただいた菊池先生、岡田先生、お茶会でお話しいただけた山岡先生、講演会を企画運営していただいた北陸心理学会の関係各位に、心より感謝申し上げます。

(北陸支部会:伏島あゆみ)

【近畿支部会およびオンライン支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(オンライン開催)

  • 「SNS等の功罪を心理学から考える」

  • 第1部13:40~14:50 「いち抜けた!」と言えない心理 ―SNS・ネット依存の研究から―
     綿村英一郎先生 (大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
    第2部15:00~16:10 フェイクニュースを科学する
     笹原和俊先生 (東京工業大学環境・社会理工学院准教授)
  • 2021年9月11日(土)13:30~17:00

近畿支部会のイベントとして、オンライン支部会との合同開催の公開シンポジウムを9月11日(土)13:30~17:00にオンラインのウェビナー形式にて開催いたしました。申込件数は533件で、当日はパネリスト等を含めた437名が参加されました。

今回の公開シンポジウムは「SNS等の功罪を心理学から考える」というテーマで、綿村英一郎先生(大阪大学大学院人間科学研究科)および笹原和俊先生(東京工業大学環境・社会理工学院)のお二人の先生からお話を伺いました。

まず、綿村先生から「『いち抜けた!』と言えない心理―SNS・ネット依存の研究から―」というテーマでご講演いただきました。近年、SNS依存という言葉を耳にする機会が増えています。SNS、そしてSNS依存に関する現状についてデータを示しながらお話しいただいた後、SNSのポジティブな側面とネガティブな面についてお話をいただきました。そして、SNS依存に関する要因(個人特性、環境要因など)についてお話しいただいた後、現在研究されている「既読無視」について研究中のデータなどを示しながらお話しいただきました。

次に、笹原先生から、「フェイクニュースを科学する」というテーマでご講演いただきました。笹原先生は計算社会学がご専門とのことで、まず、計算社会学とはどのような学問であるかについてお話しいただきました。その後、フェイクニュースの定義や特徴、具体例などを解説があり、フェイクニュースが拡散される要因や拡散されやすいフェイクニュースの特徴についてお話しいただきました。その中で、特にエコーチェンバーについて詳しくお話しいただきました。そして最後に、フェイクニュースの拡散を防ぐ方法について先生のお考えについてお話しいただきました。

今回取り上げたSNS依存やフェイクニュースといった問題は参加者の方々にとって身近な問題であり、興味深く聞くことができたようです。物理的な対人接触・交流に制限がある現在ではSNSやオンラインコミュニケーションツールは人間関係の維持などに一定の有用性があると考えられます。「SNS等の功罪」について、心理学の観点から取り上げた今回のシンポジウムが参加者の方々の今後のSNSとの付き合い方に参考になることを願うばかりです。

(近畿支部会:岸太一)

認定心理士の会主催 公開オンラインシンポジウム「SNSの功罪を心理学から考える」の講義を受けた参加者による~『Net de ディスカッション』開催

  • 2021年9月11日(土)16:30-17:00

参加者は19名でした (スタッフ含む) 。

コロナ禍において在宅時間が増える中、多くの方々の興味関心を引き寄せるインパクトのあるタイトルで大盛況の公開オンラインシンポジウム終了後、引き続き事前申し込み制によるディスカッション(「Net de ディスカッション」)を開催。

綿村先生グループでは①電車やバスでスマホを見てしまうのは何故か②世の中からSNSがなくなったらどうなるか③既読無視がどうでもよくなるように感じる工夫を一つ、笹原先生グループでは①フェイクニュースの拡散を防ぐにはどうしたらよいか②エコーチェンバーを改善するにはどうしたらよいか③フェイクニュース時代の情報リテラシーに求められるものは? というテーマで、2グループに分かれて意見交換をしました。

コロナワクチンの話題から始まり、「フェイクニュースを見破ることはできない」「フェイクか真実かは個人の価値観による」「フェイクニュースの拡散を止めることはできない」という意見に対し、「真実は面白くなくびっくり度が低いが、フェイクニュースはびっくり度が高いため飛びつきやすい、それを知ったうえで“拡散”を防ぐために、個人として出来ること、またSNSシステムとして出来ることはないか?」との問いかけがあり「不確実な情報と思ったら、リツイートボタンを押さない」「保留にしておく」「倫理観が重要」「匿名をやめる」「正しい情報をどう選ぶか、科学的根拠を大切にする」「AIを進化させて情報を客観的に可視化する」等々次々に意見が飛び交いました。

今回のシンポジウム参加者の中でも特に心理学に関心度が高い熱心層の参加によって、SNS社会にある人間心理の理解とともに、今後私たちがどう向き合っていくべきかを改めて考えさせられる意義ある時間となりました。

(オンライン支部会:目片晃子)

【九州・沖縄支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(オンライン開催)

 

2021年8月7日(土)の13時から16時まで、「感情-我々はどのように向き合うべきか?」と題して、認定心理士の会 九州・沖縄地区支部会による2021年度公開シンポジウムが開催されました。会場はZoomオンライン会場で、当日の開催の挨拶および司会進行は本企画を担当した一人である西南学院大学の分部が行いました。当日の参加者は603名、うち408名にシンポジウム後のアンケートにご回答いただきました(なお、「非常に良かった」「良かった」のいずれかを回答された割合は92.6%でした)。また、603名の参加者のうち、認定心理士の方は396名で、昨年度の同会オンラインシンポジウムを上回る人数となりました。話題提供の先生方は、教育・社会心理学、生理心理学・神経科学、教育・発達心理学の各観点から感情について研究をされている3名の先生でした。概略とまとめは、当日の講演順に以下の通りとなります。

最初に鹿児島大学の榊原良太先生からは、「よりよく生きるための感情との向き合い方」というタイトルで、感情の負の側面と正の側面や感情のコントロールに関する知見などを通じて、感情への向き合い方についてご講演いただきました。聴衆の方からは、「自分の考え方が感情に対する一面的な理解であったことを学べた」などの声が多数寄せられました。

次に大分大学の村上裕樹先生からは、「感情調節の認知神経科学的メカニズム」というタイトルで、自身の感情に向き合い、コントロールする働きについて脳神経活動や遺伝子の観点からお話いただきました。「感情は心理学が主たるアプローチ方法となると思っていたが、生理・神経・遺伝子という全く別の方法があることが驚きだった」という旨の感想が複数寄せられました。

最後に九州産業大学の小田部貴子先生からは、「気づかれにくい感情体験の影響」というタイトルで、非難されたり見下されたりするという感情体験が心理的不適応にもたらす影響や感情との向き合い方についてお話をいただきました。「教育に携わっているが、児童・生徒に対してどのように自身の感情に向き合うように伝えればいいかというヒントが得られた」といった感想が多く寄せられました。

今回のシンポジウムは、昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響でオンラインによるシンポジウムとなりましたが、話題提供の3名の先生方ならびに多くの認定心理士の方にサポートをいただきました。また、認定心理士の会運営委員会委員である九州大学の光藤宏行先生には、企画から当日の司会進行まで幾度となくお力添えいただきました。末筆ながら、今回のシンポジウムに携わっていただいた全ての皆様に心から御礼申し上げます。

(九州・沖縄支部会:分部利紘)

2021年9月1日~8日にオンライン開催された日本心理学会第85回大会にて、日本心理学会企画シンポジウム「認定心理士の会のこれまでとこれから―オープンサイエンス時代におけるシチズンサイコロジストの役割―」を実施しました。話題提供者に、科学史がご専門の隠岐さやか先生 (名古屋大学) をお迎えして、髙瀨堅吉先生 (自治医科大学・認定心理士の会運営委員会委員長 [当時])、隠岐先生、渡邊の順番で話題提供を行いました。指定討論者を、三浦麻子先生 (大阪大学・日本心理学会資格担当常務理事) にお願いしました。事前に動画収録を行い、上記期間中にオンデマンド配信形式で一般公開しました。

髙瀨先生は「認定心理士の会のこれまで―心理学ワールド全体の動向とシチズン・サイエンスとの関係―」というタイトルで、認定心理士の会設立後から現在に至るまでの取り組みを振り返りました。後半では、企画したけど実現に至らなかった取り組みを挙げ、それらを実施することの意義を述べました。

隠岐先生には「制度化された科学とオープンサイエンス」というタイトルで、科学が17世紀以降に制度化されていった過程や、21世紀に入ってからのオープンサイエンス推進の流れを、講演していただきました。最後に、日本におけるシチズン・サイエンスの課題を提示していただきました。

最後に渡邊が「認定心理士の会のこれから」というテーマで、今後の認定心理士の会の活動についての展望を述べました。髙瀨先生が紹介されたこれまでの取り組みを維持しつつ、“アクティブな認定心理士を、一人でも多く!”を目標に掲げ、それを実現するための機会をこれからも提供することを結論としました。

三浦先生の指定討論では、シチズン・サイエンスプロジェクトに関わる問題や、社会における認定心理士の会の役割について、様々なご意見をいただきました。3名の話題提供者が見解を述べることで、有意義な議論となりました。個人的には、今後の認定心理士の会をどのように展開していくか、ということの宿題を多くいただいた機会となりました。

 (認定心理士の会運営委員会委員長:渡邊伸行)

2021年9月1日~8日に日本心理学会学術大会内において、二年ぶりに第2回社会連携セクションが開催されました。動画は一般公開されましたので、認定心理士の皆さまにもご視聴いただけたのではないでしょうか。今回は5名の発表者の方々からは日常の活動や研究計画などに関して、大変有益な内容のご発表をいただきました。第1回は現地でのポスター発表でしたが、第2回は動画配信という異なる形でした。今回は、直接的な交流はかないませんでしたが、一般公開ということもあり、多くの皆様や発表者の関係者にも見ていただけるというメリットもあったかと思います。

今回の発表によって、普段の取り組みの振り返りや学びを得られた発表者の方も多くいらっしゃいました。今後も、認定心理士が発表する場を設けてほしい、と本企画の継続を希望する声も多く、来年度も何らかの形で実施を予定しております。皆さまのご参加をお待ちしております。

参加者の方々の声(アンケート回答より、部分的に抜粋)

・「研究計画」と「本研究」の違いも判らないままに、指導についていきましたが、発表エントリーをするまでの過程(例えば、パワーポイントスライドを動画にする)は、ハラハラドキドキの連続でした。”何事も経験だから”という気持ちで、発表エントリーしました。修正の連続で疲れた感も致しますが、他では得られない多くの学びを頂けたことに感謝しています。

・少しでも多くの方に取り組みを知っていただきたく思ったため、発表エントリーをしました。もっと笑顔を出せば良かったです。

・自分の生業としていることを伝えてみたいなという気持ち、それが「社会で心理学を生かしていること」というテーマでしたので、心理学を学ばせていただいて生業でたくさん役に立っていることへの感謝の気持ちみたいなものもあり、前向きな気持ちなってエントリーさせていただきました。そして、これまで何かをどこかで発表するという経験がなく、新たな挑戦を少ししてみたいなという気持ちもありました。ですので、もし選ばれなくても良い経験をさせていただけたという気持ちでいようと思っていたので、採択していただきとても光栄でした。今回の発表スライドを作成することによって、改めて自分の生業について振り返ることができました。今までやってきたことや自分の役割、子どもたちへの想いを再認識する場になりました。

・認定心理士として普段から何か役立てることがないかを考えていることを発表したいと考えているとともに、他の認定心理士取得者に対しても社会との接点の中で新たな地平を拓くことができそうと思ってもらえたらいいなと思いました。

今回発表させて頂いて多くの方に相談員の仕事について感じられることなどをお話しいただき、大変貴重なご意見をたくさんいただきました。そのことがとても嬉しく、学びにもなりました。また、指定討論の先生、 Slidoでいただいたご質問、準備委員会の先生からのアドバイスや運営委員の先生にもメールで相談にも乗っていただきました。自分の発表に対して多くの専門家の先生からコメントいただけましたことが大変光栄で、参加した意義が多くあったと感じることができました。あまり心理学を実践している話ができなかったことは反省かなと感じています。ただ相談員としての生業を知っていただくことができ嬉しかったです。発表資料をつくるということを通して、自らの考えをまとめたり、提出前に他の方に見てもらうなど、自らが心理学を学び、新たな知識を習得する場ともなった。内容についてはまだまだ粗削りでしたが満足いくものでした。また、リアルの場で発表する場面もいいですがオンライン上での工夫も今後考えてみたいと感じました。

・仕事を辞めて放送大学で認定心理士をとったので、何か役立つことはないかと探していました。今の仕事で、役立つのではないかといろいろ本を読んでいました。学んだことを確かめる意味で応募しました。仕事をしていると自分を振り返ったり、高めたりする機会がなかったので、勉強になりました。おぼろげながら感じていることも、文にしてまとめると、新しいものが見つけられると思いました。

(社会連携セクションWG長:伏島あゆみ)

渡邊伸行新委員長の挨拶でも触れられているとおり、認定心理士の会はこのたび、多くの新たなスタッフを迎えて第3期がスタートとなりました。今年度もコロナ禍が続く中、オンラインでの活動を中心にさまざまなイベントを展開し、おかげさまで会員のみなさん同士の新しいつながりを活性化する機会が充実してまいりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

また、この機会に本号とあわせて、これまでのニューズレターのバックナンバーもせひご覧ください。(https://psych.or.jp/authorization/ninteinokai02/

(ニューズレターの編集は本号より運営委員の山崎が担当します。よろしくお願いいたします)

(認定心理士の会運営委員会委員:山崎理央)

  • 認定心理士の会運営委員会〒113-0033 東京都文京区本郷5-23-13田村ビル内公益社団法人日本心理学会事務局jpa-ninteinokai@psych.or.jp

PDFをダウンロード

1