公益社団法人 日本心理学会

詳細検索

心理学ワールド 絞込み


号 ~

執筆・投稿の手びき 絞込み

MENU

刊行物

  1. HOME
  2. 認定心理士の方
  3. ニューズレター 2022 年度 No.2

The Japanese Psychological Association News Letter

vol.07

コロナ禍によりオンライン開催イベントが増えておりますが、状況によっては対面開催イベントの実施も増やしていく予定です。いずれのイベントも、お住まいの地域にかかわらずお申し込みできます。ぜひ多くのイベントにご参加ください。

    • 2023年2月19日(日)13:00~14:30(開場 12:50〜)
    • Zoomオンライン会場
    • 若島孔文先生(東北大学大学院教育学研究科、同災害心理支援室室長)
    • 日本は豊かな自然に恵まれた国である反面、大きな自然災害が起こることも少なくありません。「自分が住んでいる地域は大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、天災は忘れたころにやってくるともいわれます。本企画では、講師として東北大学の若島孔文先生をお招きし、大きな災害が起きたとき、私達の生命やこころの健康を守るために必要な準備について学び、考えていきたいと思います。
    • 13:00〜13:05 開会あいさつ・趣旨説明
      13:05〜14:05 講演
      14:05〜14:25 質疑応答
      14:25〜14:30 閉会あいさつ
      司会 前田駿太(認定心理士の会東北支部会運営委員)
    • 2023年2月15日(水)
    • 認定心理士の会イベントページよりお申し込みください。

    (東北支部会:前田駿太)

    • 2023年3月18日(土)14:00〜15:30(13:45受付開始)
    • ITビジネスプラザ武蔵研修室1(〒920-0855 石川県金沢市武蔵町14-31)
    • 伊丸岡俊秀先生(金沢工業大学 情報フロンティア学部心理科学科 教授)
    • 心という複雑なシステムの特性を明らかにするために、心理学という学問分野では以前からの中心的手法である行動実験や質問紙調査に加え、脳機能計測や生理計測などの生体計測技術の利用や大量で多様なデータ解析のための情報技術の活用など、周辺領域の技術利用が積極的に進められている。ここでは、講演者がこれまでに経験してきた行動実験と脳機能計測の例を中心に、異なる研究手法を用いることが心の理解にどのように役立ってきたかを紹介する。またそれと共に、解析手法の誤用や研究データに関する誤解など、他領域の研究手法を用いる際に起きがちな問題についても触れたいと思う。
    • 2023年3月11日(土)
    • 日本心理学会ホームページにてご案内しております。該当の「イベント名」をご確認の上、必要事項を入力してお申し込みください。
      久しぶりの対面開催での講演会です。申し訳ございませんが、Zoomでの配信はございません。北陸在住の認定心理士の皆さま、おまっとさんでした! ぜひともご参加ください!(もちろん、全国の認定心理士の皆さまもお待ちしております)

    (北陸支部会:伏島あゆみ)

    • 2023年2月26日(日)13:30~15:30
    • Zoom オンライン会場
    • 田中 みつる先生(ヤフー株式会社デザイナー)・横山 裕右先生(一般社団法人神戸太陽の風 代表理事)
    • 昨年の9月に開催された日本心理学会の大会にて社会連携セクションでポスター発表された認定心理士2名をお招きして、ポスター発表をオンラインで再現するイベントです。
    • 2023年2月19日(日)
    • 日本心理学会ホームページの「認定心理士の会イベント」にてご案内しております申し込みサイトにて、必要事項を入力してお申込みください。

    (オンライン支部会:竹中あかり)

  • ※中国・四国支部会企画については、現在計画中です。決まりましたら、認定心理士の会ウェブサイトのイベントページにてご案内いたします。
    https://psych.or.jp/authorization/ninteinokaievent/

【北海道支部会/東北支部会合同企画】認定心理士の会 公開シンポジウム「依存症の心理学:ハマってしまう、そのこころを理解する」

北海道支部会・東北支部会共催イベントとして、2022年11月5日(土)13:00〜14:30に北海道大学高等教育推進機構大講堂(札幌市北区北17条西8丁目)で講演会を主催いたしました。このイベントは北海道心理学会・東北心理学会2022年合同大会の共催イベントでもありました。

ご講演者は村瀬華子先生(北里大学医療衛生学部 保健衛生学科 心理学研究室・教授)で、ご講演題目は「依存性の心理学―ハマってしまう、そのこころを理解する」でした。ご講演では、依存症の定義はやめたくても止められない病気であること、という基本から始まり、ギャンブル、酒、クスリ、ゲームでこうした症状が起こること、社会生活に影響が生じることなどが挙げられました。依存症になるのには性格の影響はあまりないというのが現在のコンセンサスと知りました。依存症が起こるメカニズムとして報酬系と行動の連合や、心理学的影響としての行動の強化(オペラント条件づけ)や、記憶の生成としての古典的条件づけ、依存症のリスク因子についてもご説明頂きました。ハマったときの抜け出し方、自助グループについても具体的なご紹介をして下さいました。また、もっと知りたい場合として、村瀬先生が作成に関与された依存症対策全国センターウェブサイトのe-Learning(https://www.ncasa-japan.jp/e-learning/)についても教えて頂きました。

最後の質疑応答では、ゲーム依存の相談で困っているなど多数の質問が寄せられ、村瀬先生にはお時間の許す限り丁寧にお答えいただきました。

本イベントの参加者は110名(うち認定心理士有資格者:23名)でした。過去2年はZoomのウェビナー形式での実施でしたが、今回は対面開催ができ、とてもよかったと思います。長かったコロナ対応がようやく終わりつつあるように感じられました(まだこの先はどうなるかわかりませんが)。来年度以降も状況次第ではありますが、可能であれば北海道心理学会大会と合同での開催を予定しておりますので是非ご参加ください。

最後に、本講演会でもアナウンスしましたが、北海道支部会のFacebookグループがございます。北海道地区にお住まいの認定心理士の皆さまは是非ご登録ください。

※認定心理士の会北海道支部会:
https://www.facebook.com/groups/801083160700345

(北海道支部会:川端康弘(支部会長)・河原純一郎(運営委員))
(東北支部会:阿部恒之(支部会長)・前田駿太(運営委員))

【東海支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム「心地よい休み方の心理学」

今回は「心地よい休み方の心理学」というテーマで、東海心理学会に協賛をいただき2022年8月7日(日)に公開シンポジウムをオンラインで開催しました。講師として、愛知淑徳大学心理学部の成澤元先生と神戸学院大学心理学部の河瀬諭先生にお話をいただきました。両先生のご専門はかなり異なるのですが、いずれも明日への活力になるという点で共通しており、一緒にお話を聞けると何か発見につながるのではないかと思って企画しました。

成澤先生からは「心と体を守る眠りの舞台裏」というテーマでお話をいただきました。睡眠段階や体温のリズム等、眠りの仕組みから始まり、私達はいったい何時間寝れば良いのか、寝不足にはどんな悪影響があるのかと続き、最後に、どのように寝不足についての問題を解消すれば良いのかという内容で構成されていました。いずれも詳細なデータに基づきつつわかりやすくご説明をいただきました。特に、寝不足の悪影響はデータで明確に示されておりドキッとしましたが、最後に寝不足に関わる問題について解決のヒントもお示しいただいたので実践していきたいと思います。

 
スライドイメージ(講演者の許可を得て掲載)

河瀬先生からは「音楽で楽しく過ごす心理学」というテーマでお話をいただきました。音楽と感情というお話から始まり、特に楽しいという感情に焦点を当てた内容となっていました。人間と音楽には多様な関わり方があります。音楽を聴くだけでなく、セッションやコーラスのように一緒に音楽を奏でることもあれば、音楽のグルーヴによっていつの間にか体が動いているということもあります。そういったことについて、データに基づくお話の他にも、思わず動きたくなる音楽ができあがる過程を音のサンプルで聴かせていただきました。最後に、音楽やダンスが社会的きずなにも効果があるというお話があり、音楽は人間同士のつながりをも育むのだと知りました。

今回はもともと久々の対面開催として参加者100名限定で告知をしておりました。しかし、直前になってコロナの感染が拡大したため、急遽オンライン開催に切り替えました。その結果、事前登録は108名となり、当日は65名(関係者を除く)にご参加をいただきました。急な対応であったにもかかわらず、ご理解をいただきました会員の皆様、参加者の皆様、講師の成澤先生、河瀬先生、事務局の皆様に感謝申し上げます。お陰様で、当日は質問もたくさんいただいて活発な会となりました。

(東海支部会:松本友一郎)

【北陸支部会企画】認定心理士の会 公開講演会「発達認知科学におけるパーソナルデータ」

2022年12月17日(土)に、北陸心理学会の年次大会内において、北陸支部会との共催講演会「発達認知科学におけるパーソナルデータ」を開催しました。北陸支部会会長の松井三枝先生 (金沢大学)による開会あいさつに続いて、講師の開一夫先生(東京大学大学院 総合文化研究科)にご講演いただきました。

はじめに、先生の研究室の乳幼児における発達メカニズムの解明をメインテーマとした研究や、その成果をご紹介いただきました。赤ちゃんのための絵本である「もいもい」や、テレビ東京にて放送中の赤ちゃん向け番組である「シナぷしゅ」など、私達が日常的に目にするものに研究成果が活用されていることを実感しました。終了後のアンケートでも、研究内容が興味深く、勉強になったという意見が多く聞かれました。

また、後半には研究データの取得と管理に関して、分散PDS(Personal Data Store)を活用した枠組みについての解説と課題をお話しいただきました。認定心理士の皆さんも、参加者として様々な研究(アンケートへの回答など)に関与されることは少なくないかと思います。そのデータが、どのように取り扱われて、誰の役に立つのか、気になるのではないでしょうか。ある研究で得られたデータが研究参加者に還元され、かつ他の研究にも活用できる取り組みは、双方にとってメリットの多いものであると感じました。終了後のアンケートでも、この分散PDSにお話しをもっと聞きたかったという意見が聞かれました。

今回の講演会における参加者(Zoomと対面での合計)は166名(うち認定心理士87名)でした。アンケートは、112名の方にご回答いただきました。今回も、全国各地のみならず海外在住の方々など、多くの方にご参加いただきました。本当にありがとうございました。質問をいただいたにも関わらず、質疑応答の時間が足りずに全ての質問にお答えできず、大変申し訳ございませんでした。今後も北陸支部会は、北陸の心理学研究を皆様に紹介する機会と、認定心理士の皆様の相互交流の機会を企画していきます。次回もご都合が合うようでしたら、ぜひお気軽にご参加ください。

(北陸支部会:伏島あゆみ)

【近畿支部会企画】認定心理士の会 公開講演会「withコロナにおける発達の課題や今後の方向性」

近畿支部会のイベントとして公開講演会を11月20日(日)に対面とオンライン(Zoomウェビナー)のハイブリッド方式で開催いたしました。申込件数は533件で当日は講演者やスタッフ等を含めた243名が参加されました。

今回の公開講演会はいまだなお私たちの生活に影響を及ぼしている新型コロナウィルス・COVID-19を取り上げることとし「withコロナにおける発達の課題や今後の方向性」という演題で内山伊知郎先生(同志社大学心理学部教授)にご講演いただきました。

2019年12月の感染報告に端を発した新型コロナウィルスとその感染症(COVID-19)の問題は当初は「3年経過すれば以前の状況に戻る」と言われていましたが現在も第8波の時期を迎えており「afterコロナ」ではなく「withコロナ」の状況が今後も続くと考えられています。

そのような状況を踏まえ内山先生からはまず新型コロナウィルス・COVID-19やその対策に関するこれまでの流れをご説明いただきました。そして新型コロナウィルスの感染拡大が子どもに与える影響についてお話しいただきました。具体的には 1)マスク着用による表情認知力の問題 2)いじめの増加 3)体力低下の3点についてお話しいただきました。特にマスクの着用により相手の表情が見えにくくなることから相手の感情の推測や認知に影響があるというお話はまさに心理学的な観点からのお話であり大変有益なお話を伺えました。さらに子どもの発達に日々向き合う親への影響についてもお話しいただき子どもの望ましい発達において新型コロナウィルスがどのように影響しているのかを具体的に理解できるご講演だったと思います。

また講演会終了後には会場校である立命館大学のサトウタツヤ先生によるキャンパスツアーを急遽実施いたしました。対面で参加された方々(認定心理士)のうち数名の方が参加され心理学の学びに改めて触れる機会になりました。

認定心理士の会の企画では初のハイブリッド開催でしたが対面会場に遠方から参加された方もいました。物理的・時間的制約に強いオンラインのみならず対面での実施の重要性を改めて認識した講演会でした。

(近畿支部会:岸 太一)

【九州・沖縄支部会企画】認定心理士の会 公開シンポジウム(オンライン開催)
「紛争の心理学―戦争や暴力はなぜ起きるのか?私たちはどのように対処すればよいのか?―」

 

2022年8月27日(土)の13時から16時まで、「紛争の心理学-戦争や暴力はなぜ起きるのか?私たちはどのように対処すればよいのか?」と題して、認定心理士の会 九州・沖縄地区支部会による2022年度公開シンポジウムが開催されました。会場はZoomオンライン会場で、当日の開催の挨拶および司会進行は本企画を担当した一人である福岡女学院大学の宮島が行いました。当日の参加者は380名で、認定心理士の方は200名でした。話題提供の先生方は、主に社会心理学の観点から「紛争」について研究をされている3名の先生でした。概略とまとめは、当日の講演順に以下の通りとなります。

最初に高知工科大学の三船恒裕先生からは、「“戦争本能論”に反論する」というタイトルで、社会的アイデンティティ理論や内集団ひいきの研究をご紹介いただきながら、人間に戦争する「本能」があるとする戦争本能論について批判的にご講演いただきました。

次に大阪大学の釘原直樹先生からは、「紛争とスケープゴーティング現象」というタイトルで、しばしば社会的弱者に対して向けられるスケープゴーティング現象が、人類の歴史において繰り返されてきたことや、その原因について、社会心理学の視点からお話いただきました。

最後に福岡大学の縄田健悟先生からは、「暴力と紛争の“集団心理”」というタイトルで、人々が「集団モード」になることで引き起こされる暴力や紛争について、2つのメカニズムをご説明いただき、これまでの社会心理学者たちが蓄積してきた紛争解決のアプローチについてお話をいただきました。

今回のシンポジウムは、昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響でオンラインによるシンポジウムとなりましたが、話題提供の3名の先生方ならびに多くの認定心理士の方にサポートをいただきました。末筆ながら、今回のシンポジウムに携わっていただいた全ての皆様に心から御礼申し上げます。

(九州・沖縄支部会:宮島健)

【オンライン支部会企画】認定心理士の会 公開講演会 (オンライン開催)
「認定心理士に期待する~心理学知の伝道者とは~」

2022年9月23日(土)の13時から14時半まで「認定心理士に期待する~心理学知の伝道者とは~」と題して、日本心理学会常務理事(資格担当)で大阪大学大学院人間学研究科三浦麻子先生にご登壇いただき、認定心理士の会オンライン支部会講演会を開催しました。当日の参加者は603名、認定心理士の方は396名でした。参加者の408名に講演会後のアンケートにご回答いただき、「非常に良かった」「良かった」のいずれかを回答された割合は92.6%でした。

三浦先生から、認定心理士へ「『心理学知の伝道者』となってもらいたい。」とメッセージがありました。伝道者として「正しさは1日にして成らず、長年の諸研究者による積み重ねが自ずと教えてくれるだろうもの。そのプロセスを経ていないものを『正しい』ものとして伝えるのは、誤り。」と冒頭から最後までわかりやすく丁寧にお話をしていただきました。

また、日本心理学会の現在の立ち位置と今後の方向性のお話があり、「心理学は変わりつつある。あるいは、そもそも心理学は(他の科学と同じく)常に“is changing”である。何をどう教えるかも“is changing”であってしかるべきだろう。実際に、話題提供者(三浦先生)がどのように教え方を変えたかを紹介する。」ということで具体的な紹介をいただきました。そして、三浦先生が心理学知の伝道者としてどのように教えているか(何を学んでほしいか)のお話がありました。内容は、心理学とは・心理学における「構成概念」「統計的に差がある」のもつ意味・心理学の再現性問題・典型的な「問題のある研究実践」・人間の認知的バイアス・心理学(科学)研究に重要な3要素(妥当性、信頼性、再現性)でした。

最後に認定心理士に期待することとして「言い切ることが難しいのは『ある』も『ない』も同じで、だれであれ『定まった見解』を出すことは常に困難。となれば、常に『今どんな感じ?』を調べてほしい、あるいは調べている人たち=専門家との接点を持ち続けてほしい。『認定心理士の会』やイベントにご参加いただくことは、その『手っ取り早い』かつ『確実な』手段!」とのお話があり、認定心理士へ「認定心理士の会運営委員会による新企画も計画中。乞うご期待!」とのメッセージで終了しました。

Zoom参加の皆様から様々な質問が挙がり、一つ一つ丁寧にお答えいただき、白熱した講演会が終了しました。

今回の講演会でご登壇いただきました三浦麻子先生、挨拶をいただきました坂田省吾先生、司会を行っていただきました認定心理士の会オンライン支部会幹事の目片晃子さん、皆様、事務局の皆様、お力添えをいただきましたすべての皆様に、末筆ながら心から御礼申し上げます。

(オンライン支部会:荻野貴美子)

【認定心理士の会運営委員会企画】日本心理学会第86回大会
大会企画シンポジウム(オンデマンド開催)「変化する心理学」

2022年9月8日~11日、日本心理学会第86回大会が、対面とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。大会期間から10月末まで、大会企画シンポジウム「変化する心理学」を、オンデマンド形式で一般公開しました。話題提供者として、三浦麻子先生(大阪大学)、山田祐樹先生(九州大学)、サトウタツヤ先生(立命館大学)にご登壇いただきました。指定討論者を河原純一郎先生(北海道大学)にお願いしました。司会は渡邊伸行(金沢工業大学)が務めました。冒頭で企画主旨の説明を行い、それから3件の話題提供と、全員参加の座談会を行いました。本シンポジウムの企画趣旨については、ニューズレター2022年度No.1をご参照ください。

三浦先生のご講演のタイトルは、「変化する心理学 PSYCHOLOGY IS CHANGING」でした。心理学が常に変化し続ける学問であること、その変化にどう向き合っていくか、といったお話を、ご自身が授業で取り上げている事例を示しながらお話しいただきました。山田先生のご講演は「心理学を広く報せる」というタイトルでした。心理学が一般的に誤った形で流布している事例を取り上げ、何故そのような変容が起こるのか、考察されていました。後半では、山田先生が最近立ち上げられた、世の中で取り上げられている心理学のトピックを検証する取り組みについて、ご紹介いただきました(心理学のあれこれ再検証:https://reresearchpsych.simple.ink/ )。サトウ先生のご講演のタイトルは「変化しないものと変化するもの 心理学史・質的研究の立場から」でした。前半は「日本の心理学黎明期における情報発信活動 心理学通俗講話会・『心理研究』 」というテーマで、日本で学問としての心理学が導入されていく過程や、当時の卒業論文や心理学通俗講話会で取り上げられた研究テーマなどが紹介されました。後半では「心理学で学ぶことは何か身につくものは何か オープンキャンパスの経験から」というタイトルで、高校生や保護者にどのように伝えているか、また卒業後に心理学がどのように役立つか、といったお話をしていただきました。座談会では河原先生と渡邊が加わり、3件の話題提供の内容を深掘りしたり、認定心理士の会として今回取り上げた問題にどのように対応していくか、といったことを議論しました。

Facebookの「認定心理士の会グループ」(認定心理士のみ参加できるコミュニティ)で、このシンポジウムの同時視聴企画を試験的に実施しました。当日、数名の方々がリアルタイムで参加して、議論にお付き合いいただきました。後で動画をご覧いただいた方々からも、感想やコメントをいただきました。

今回のシンポジウムを通して、認定心理士や認定心理士を目指す方々、大学で心理学を学ぶ学生の皆さんに、心理学がどのような学問で、現在進行中の心理学の変化にどのように向き合っていくか、ということを考える材料を提示することができた、と考えています。大変有意義なシンポジウムとなりました。ご協力いただいた三浦先生、山田先生、サトウ先生、河原先生、そしてご視聴いただいた全ての皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

今年9月に開催される、日本心理学会第87回大会でも、認定心理士の皆様に心理学の学びを深めていただくような企画を実施します。テーマや開催形式など、次号でお伝えします。お楽しみに!

(委員長:渡邊伸行)

社会連携セクションでは、「認定心理士として社会で実践していること」をテーマに、認定心理士が日常の生活や業務の中で、心理学を実践している事例や、心理学について考えている/行っている実践・研究内容などをご発表いただいております。第三回目の今回は、2022年 9月10日(土)12:30〜14:30に日本大学文理学部にて、対面ポスター発表形式による社会連携セクションを開催いたしました。

12名の認定心理士の方々に、多様な内容をご発表いただきました(1名はオンライン発表)。なんと、社会連携セクションの過去発表者(第1回、第2回)の方々も参加してくださり、認定心理士同士の交流が活発に行われていました。また、一般発表のポスター会場と同じ場所で実施されましたので、学生参加者や会員参加者など、認定心理士以外の方とも交流いただいたように思います。

 

終了後には、発表された皆さまに以下のご意見をいただきました(一部抜粋)。

①心理学の専門家の特に若手の方々が発表に興味を持ってくださいました。話をするなかで交流ができ、さらに今後、コラボレーションができる可能性や、いろいろと貴重な情報を提供していただける可能性が見いだせました。貴重な機会をありがとうございました。

②いろいろなタイミングで来訪されるため、多くのポスターを見たい方には、事前に説明のチラシを準備できたことは良かった。またポスターも、文字が大きく見やすくまとめられたことは、良かったと思う。聴聞に来訪された皆さんからも好評であった。

③発表内容的には無いのですが、発表方法でポスターサイズに対し、スライド枚数が多かったため、よく見えなかった(読めなかった)のではないかと思った。

④文字数が少なめでした。先行研究の提示をもっと増やせばよかったです。

⑤ポスター発表について、対面式により親近感が高まり、お互いの知見など、共有事項が増える場になることを感じました。お互いが全力で自己表現できる場。初めて出会った方々と未知について思いを語りあえる、心理学を学ぶ共有の志である同士に出逢える、自己を受け止めて下さる方々がいる、参加当初から発表後も、自身が関わって下さる方々より、カウンセリングを行っていただいているようでありました。今回、私に参加させていただける機会を与えて下さり、一つ一つ丁寧に分かるようご教示下さり、そして励ましと共に多くをご支援下さり、誠に有難うございました。

⑥ポスターのタイトル欄に一言「研究計画」と書くべきだった。それがなかったために、ご観覧頂いた方に「結果が無い」と驚かれてしまった。ポスター発表の場には、どんな方がいらっしゃるか分からない。また、必ずしも発表テーマの概念について、予備知識があるとは限らず、そこを見極めて、相手に伝わるように話すことの難しさを実感しました。コロナの感染者が増大している時期だったので、発表日の10日ほど前まで対面発表するかどうか悩んだが、WEB発表だけでは得られない、貴重な経験をしました。

⑦「支援員の存在を全く知らなかった」と仰る他県小学校教諭の方、「以前、他の形で支援員をしていました」と仰る方、「家族が支援員でした」と仰る大学教員の方、「特別支援教育コーディネーターをしていて日々悩みながら活動しています」と仰る小学校教諭の方等々。想定していた以上に様々な立場の方から、気持ちのこもったたくさんのお話を伺うことができ、大変勉強になった。業務上の研修などでは得られない多様なご意見をいただけたことが本当に嬉しく、発表は実り多き場となった。

⑧発表までは不安や緊張もありましたが、当日までの段取りや、資料内容の科学的な側面での審査など、丁寧にサポートいただけたので、安心しました。当日は、研究者以外にも、企業家の方や、看護師、学校包括支援員の方など、多くの方が聞きに来てくれて、嬉しかったです。議論も有意義だったように思います。良い刺激になりました。

⑨学会自体が大学関係の方が多く、興味を持ってもらえる内容では無かったと感じました。

⑩質的研究における信頼性や妥当性の確保はやはり難しいです。しかし、同時に質的研究や混合研究法の可能性も感じました。

 

多くの方と発表内容やお仕事、認定心理士を取ったきっかけなどをお話させていただき、認定心理士の多様さや可能性を感じました。ある方は人を率いる立場として、またある方は一支援者の立場として、それぞれが感じる思いや問題意識があり、周囲の人や社会をより良くしていこうという熱意を持っていらっしゃいました。そのような「熱意」が飛び交う場面を見せていただいた今回の参加者の皆様には、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。やはり、対面ならではの交流はいいなあ、と強く感じました。皆様も来年度は、ぜひ日本心理学会学術大会にお越しください。

(社会連携セクションWG長:伏島あゆみ)

このコーナーでは、各方面で活躍されている認定心理士の会のメンバーの方より、自由な思いを語っていただきます。

「社会連携セクションって、何だろう?」
横山裕右

この度は、執筆のお声掛けをいただき誠に恐縮です。

30年近く社会人をしながら、大学に編入学して認定心理士の資格取得が2021年6月。
認定心理士って何だろう? しかし、思うところはありました。

わたしは現在、障がい児者の福祉サービスの申請代行やサービス調整を行うことを専らの生業とした相談支援専門員という職種で仕事をしています。

現場では基礎的技術として「傾聴」「受容」「共感的理解」「自己実現」に意識を置くよう言われており、クライエントを適切な社会資源につなぎ、生活の質を高めることが求められています。

しかし、いくら頑張ってサービスの調整をしてもクライエントは満足しませんし、不安や不満を多く抱えます。そしてクライエントも支援者も疲弊し、燃え尽きていきます。

そこに何が足りないのでしょう…。

「サービスありき」で話を進めると「ニーズ」が置き去りになり、「ニーズ」で話を進めると制度枠外になるなど、多大な費用が発生したりします。これ、相談援助職あるあるだと思うんですよね。

どうも要の「傾聴」が、クライエントの思いを先読みし、経済的負荷も考えて、どうやってサービスにあてがうかを考えてしまう流れになっているようです。

ここからは、心理学の導入の部分を学び、認定心理士になってみて意識するようになったことですが、「聴く」前にありのままを素直に「聞く」姿勢が大事だな、と思うのです。

これはカウンセリングにも共通していて、「聞く」ことで信頼関係を強くし、“自分の中にある答え”を見つけやすいように工夫します。

そして、「聞く」ことに専門性は必要ないこと、でした。

初めに求めているのは専門性じゃない、ということです。

例えば私たちが幼いころ、課題を課題と気づかず、考えても解決しなかったことがあります。それらは、何も言わなくても周りの大人たちが手を差し伸べてくれていました。

もし、すべての人に心理学の知見があったらどうでしょう。認定心理士が「聞く」を担ったらどうでしょう。難しい理論も大切ですが、地域に対してできることとして「聞く」ことを継続しつつ、心の専門家に「つなぐ」ことを大切にできたらいいな…「お! これ社会連携!」というところから思い立ちました。

「社会連携セクションって何だろう?」がこのように結実しました。

末筆になりましたが、貴重な場をいただき心より感謝申し上げます。皆さんもぜひ!

ついコロナ禍の話題になってしまいますが、始まってもうすぐ三年が経つのですね。三年と言うと、多くの人が「石の上にも三年」という言葉を連想することでしょう。

ここで言う「三年」は具体的な期間を指しているわけではないのでしょうけれど、私たちはそれほどの長い間、「ニュー・ノーマル」の試行錯誤を続けてきたわけです。

その上に座り続けていれば、冷たい石もだんだん暖まってくるように、私たちはこの間いろいろと辛抱しつつ、一方では何か少しずつ大事に暖めてきたこともあるような気がします。

石の上には何年座っても痛いわけですし、まだまだ辛抱は続きますが、そろそろ何かが暖まってきたことが感じられたら、その感じもじっくり確かめてみたいですね。

(運営委員会委員:山崎理央)

  • 認定心理士の会運営委員会〒113-0033 東京都文京区本郷5-23-13田村ビル内公益社団法人日本心理学会事務局jpa-ninteinokai@psych.or.jp

PDFをダウンロード

1