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ここでも活きてる心理学

認定心理士としての私

一般社団法人 発達・精神サポートネットワーク ボランティアスタッフ

兒玉 宣昭(こだま のりあき)

Profile─兒玉 宣昭
東京福祉大学社会福祉学部社会福祉学科福祉心理専攻卒業。医療法人社団双里会相談支援事業所や現職場で相談員として勤務したのち現職。東部入間福祉機構(認定成年後見人事務所)で相談員を兼任。

発達障害の成人当事者の憩いの場・Neccoカフェの店内
発達障害の成人当事者の憩いの場・Neccoカフェの店内

私は今,前職の職場でボランティアとして,発達障がい者に対する福祉心理学的・精神保健福祉論的なアプローチから支援をしています。もともとは職員だったのですが個人的な事情で退職しています。そもそもは精神障がい者の施設で働いていましたがふとしたきっかけでこの職場のお世話になっています。

認定心理士である私は大学では福祉心理学を専攻し,認定心理士・福祉心理士・精神保健福祉士・社会福祉士を取得しています。心理学を学習しようと考えたのは,ある心理学の先生との出会いがきっかけでした。その心理学の先生は,とてもよく学生さんの話を傾聴される方なのですが,なぜ人の話にそこまで熱心に耳を傾けられるのかに,私は強く関心をひかれたのです。

話は戻りますが,資格ばかり取得しても実践で活かせなければ意味がないかもしれません。しかし認定心理士と精神保健福祉士の取得を目指して学んできたことは,日々の実践で役に立っているように思います。例えば,心理学を大学で学んだことで,操作的診断基準という,精神障がいを分類する枠組みがあることを知ることができました。また,正常と異常には連続性があるという,スペクトラムの視点をもつようになりました。このような問題の見立て方は精神保健福祉士の視点とは異なるもので,双方ふまえることで,いま働いている施設の利用者様の理解をいっそう深めることができるように思っています。

精神障がい者の施設で働いている時も成人期発達障がい者の施設で働いる時も,大学で学んだ操作的診断基準という考え方は,当事者を理解するうえでたいへん役立つものであると思います。精神障がい者であっても,発達障がい者であっても本来スペクトラムであり誰にでも当てはまる可能性がある,という概念は支援する人にとって当事者の心性を理解しようとするうえで大切な何かを専門職に与えて頂ける発想に私には思えます。

認定心理士を取得しようと思ったきっかけは,大学院で心理学専攻のほうに進学したいと当時考えていたからです。しかし結局,精神保健福祉士を取得できる大学に絞って受験し,入学することになりました。当時は,国資格である精神保健福祉士が出来て間もない頃でした。ですので諸先輩方に意見を伺うと,その取得を勧められたのでそうしました。

心理学を大学で学んだことは,上述したように,私にとって実践面でプラスになっていると思います。ただし社会福祉学の学問としての純粋性を保とうとすると難しい面もあるかと思います。

昨今は,公認心理師の話題が世間で話されるようになりました。私の大学在学中は臨床心理士及び医療心理師構想が世間で話題になり,意見の相違をみていた頃なので,時代を感じます。今の学生さんは私たちの時代とは違っていて国資格が整備されつつある環境で学ばれているので恵まれているとも言えますが,逆に,きっちりと定められたカリキュラムを履修することがますます要求されるようになっていることは大変かもしれません。

私たち認定心理士取得者も,カリキュラムは異なりますが大学でひととおりの心理学を学んできた先輩として,新たな知識を継続して吸収しつつ,日々の実践を真摯にかつ謙虚に行っていかなければいけないと思います。

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